悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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トロール・ハンター

ネタバレしていますので、ご注意ください。

 

 

ネット上でも話題になったりして、以前から気になっていたPOV形式の映画だったのですが、日本ではビデオスルー(今はDVDスルー、いや、ブルーレイスルーですね)やろなぁと思いながら、早く観たいなぁ、いつ出るのかなぁと待っていました。映画館で上映するとしてもミニシアター系だろうなぁという予想を覆されての、まさかのシネコン上映。最初にシネコンでポスター観た時は、別の映画だと思いましたよ、マジで。凄い。というか、いいのか、それで(いいのら)。

事前にわかっていたことは、POV(Point Of View)の映画であること、ノルウェーが舞台であること、トロールが出てくること(notムーミン)程度で、POV形式ということから、低予算でハッタリだけかました、手ブレ全開の映画かなと訝しがりながらの鑑賞態度となってしまったのですが、実際には、かなり設定を作り込んでいて、細かい配慮もし、お金も適度にかけているっぽい映画でした。

手ブレもほとんど気にならないですし(終盤はほとんどないし)、きっちりと画面にトロールが描写されるところは押さえているし、時折手ブレとかトロール全体を映さないようにしてみるという小技を出して、それを臨場感に変化させているところは職人芸かよと思いました。

序盤は、なんかダラダラしていて、「この映画大丈夫かいな」なんて思っていたんですが、トロール・ハンターが出てきて、実際にトロールが暴れ出してからは俄然面白くなり、最後まで映画にのめり込んで楽しめました。序盤のダラダラさも、実は中盤以降にボディブローのようにじわじわと効いてくるんですよね。序盤がダラダラしているからこそ、トロールが実際に出て来てからの登場人物の右往左往振りがダイレクトに観客に伝わるように(劇中の登場人物との擬似感情の形成)なっているんです。多分、そこらへんはきちんと計算してやってるところにも好感を持てました。

この映画の肝心要のトロールも、大型から中型、小型と色々なタイプが登場し、POV形式の映画にありがちな出し惜しみもなく、これでもかというくらい画面に登場します。また、単体戦、集団戦も織りまぜながら、飽きさせない戦いを提示してくれています。

トロール・ハンターの親父さんが、恐らく手製の鉄製鎧(パワードスーツ、というかマジでアイアンマンですわ)を装着して、トロールと一騎打ちするところとか、最後のデカいトロールとの電磁スピアみたいなものを担いで立ち向かっていくところの勇壮さとか、ヒーロー映画としての側面も感じさせてくれます。

トロール・ハンターの親父さんがね、かっちょいいんですよ。ノルウェーの人気コメディアンが演じているらしいのですが、トロールの設定もこの親父さんがアドリブで色々と喋って勝手に作った部分もあるらしいです。ノルウェーではトロールは有名らしいので、従来の設定をある程度は役者も製作者も観客も知っているという前提だからこそ出来たことかもしれませんが。

粗というか、ツッコミどころは満載です。でも、映画を観ている時は気にならないですしね。設定は作っているけれども、決して映画的な流れを止めてまで設定にこだわらないっていう部分もよかったです。これこそ、ライブ感ですよ。

この映画のいいところは、特定のターゲット層を意識しながらも、全方位に向けての制作姿勢も忘れていないところです。きちんと、映画としての面白さを意識しながら作っているところです。怪獣映画としても面白いですし、トロール・ハンターの親父さんの哀愁漂う生き様も素晴らしいですし、ノルウェーの景色もいいですし、観て損はない映画です。POV形式の一つの規範となるような、そんな映画になっているのではないでしょうか。

続編として、ムーミン谷に囚われた速弾きギタープレイヤーのスナフキン(演者:Yngwie J. Malmsteen)を救出に向かうスウェーデンの特殊部隊と、ノルウェーの軍隊、ムーミン谷のトロール軍団の三つ巴の戦いを描く映画が作られるようです(嘘です、妄想です)。

最後に、本物のノルウェーの首相が登場するのにはびっくりしましたけどね(ツイッターの公式アカウントで本人であると返事を頂きました)。

ほら、disってないじゃん。disらなくても感想書けるじゃん、ボク。