悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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ドライヴ

ネタバレしている上に、かなりdisっていますので、この映画を気に入られた方は、下記を読まれないのがいいかと思います。

 


予告編での煽り方とか、感じられる雰囲気から、かなり期待はしていたのですが……。主人公の役者さんは、最近人気のある方らしいのですが、僕は初見でした(多分)。誰かに似てるよなぁと思うんですが、それが誰かが未だに思い出せない。誰やー、似てる奴、誰やー、誰なんやー。

映画は終始淡々と進みます。雰囲気的には、『マイアミ・バイス』のテレビシリーズに似ているなぁと思いました。『マイアミ・バイス』は乾いた風景の中で、主役二人が熱いという感じで、実はこの『ドライブ』とは正反対なんですが、醸し出されている雰囲気に同じ質みたいなものを感じました。何故そう感じたのかは、本人ですらわかってないので聞かないでください(何)。

面白かったのかって問われれば、映画を作っている人や、映画の技術的側面が好きな人には面白かったんじゃないかなぁと思うんです。それほど、この映画は技法に凝っています。映画製作者にはかなり参考になるというか、教材に最適な映画だと思うのです。でも、そういった面に興味のない人にとっては、あまり面白くなかったのではと思います。

あ、僕は、面白いとは思いませんでした。映画としての完成度は高いとは思いますが、上記のように技法に拘り過ぎて、映画として重要な要素である映像を見せるという部分が若干おざなりになってしまってるんですよね。策士策に溺れる、といったところでしょうか。確かに、映像を直接的に見せないで観客に想像してもらうという方法自体は、効果的な映画の技法だと思いますし、僕も大好きです。ただ、それが多過ぎると、それなら全部自分で妄想していればいいじゃんってなっちゃうんですよね。商業映画なんだから、観客が期待する映像を見せるのも要素の一つなのだということを、恐らくオサレに、というか凝った方法で撮りたかったが為に忘れてしまったんじゃないかなぁと。

この映画は原作小説があり(原作小説も『ザ・ドライバー』という映画にインスパイアされて書かれているようです)、そちらではもう少し主人公の背景等が書かれているらしいのですが、映画本編では全く触れられてもおらず、ミステリアスな人物像を構築することには成功していますが、物語を動かす説得力の付与が欠けているんですよね。

中盤での、ヒロインの旦那が質屋泥棒をして、バーンって銃で撃たれて殺された時だけ、一瞬この映画のテンポが変わるんですよ。あのインパクトを出す為に、それまでは敢えて淡々と演出していたんだなって思ってしまうほどに。でも、一瞬だけで、また淡々とした演出に戻ってしまって、結局、一発屋インパクトで終わってしまったのが一番残念に思いました。あそこから、物語が劇的に動き出すと思ったのに。期待させるなよー。

あれ?かなりdisってるぞ(笑)。いやいや、うんうん、悪くはない映画です。あの雰囲気に痺れる人もいるだろうし、それもわかるのです。なんていうんだろう。制作者の情熱も込められているし、役者の演技も素晴らしいし、音楽もいいし、物語自体も面白いんですよ。でも、何かが足りないんです。大抵こういう場合は、情熱が足りないっていうことが多いというか、心とか魂が込められていない、という理由になるんですが、そうじゃないし……。不思議な映画やなぁ、そう考えると。

disってばっかりはアレなので、気に入ったところも書きます。エレベーターの中での主人公の妄想なのか現実なのかわからないヒロインとのキスからの(監督によると妄想じゃないみたいです)、自分とヒロインを殺そうとしている刺客へのワイルドな頭へのストンピング攻撃の場面は大好物でした。この映画では、主人公とヒロインはプラトニックラブを貫いてますよね、多分。

そうそうこの場面の後の、ヒロインの表情に、やっぱりあなたも旦那と同じ人種なのねっていう主人公に対する残念な気持ちと、そういう異性に惹かれてしまう自分に対する呆れた感情が合わさって出ていたのがよかったですよ。あの微妙な表情、苦笑なのか驚いているのか引いているのか、どうなんかわからない表情はよかったです。ただ、それでも主人公は突っ走っていくっていう説得力のなさで台無しなんですけどね(結局、disってる)。

それと、何故主人公は爪楊枝をずっとくわえていたんやろか。そして、何故サソリなのか。その秘密が明かされなかったのが悔しい(違)。