悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2017©りょんりょん) ※映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。

アーティスト

2012年のアカデミー賞作品賞を受賞した映画ということと、今の時代にサイレント映画形式で撮ったということで、興味はあったのですが、観に行くことはないなぁと思っていました。毎月14日は、TOHOシネマズはTOHOの日ということで入場料が1,000円になるのですが、たまたま別の映画館で映画を観る予定だったので、どうせ出掛けるならついでにTOHOで何か観ようと思って、『マンイーター』の時間をチェックしたら合わず、『タイタニック3D』の時間もチェックしたんですが合わず、で、消去法でこの『アーティスト』を観ることになったんですが、いやー、観てよかったです。感動しました。

なんかね、久々に映画らしい映画を観たよなぁって感じました。小さい頃によく観た映画(サイレントじゃないけど、雰囲気がね)ってこんな感じのものが多かったよなぁって観てる間、ずっと思っていて、感動と共に感傷にも耽りました。

物語は単純で、1930年前後の、映画がサイレントからトーキーに移り変わる時代の、サイレント映画時代の大スター男優の凋落と再生、その彼の抜擢とアドバイスによって、トーキー時代幕開け期の大スターとなった女優の、男優への片時も忘れることのない感謝の念を描いているだけなんですよね。ワンアイデアをここまで豊かに膨らませて素晴らしい映画を作ることが出来るんだなぁって。凡百のゾンビ映画製造業者に、この映画の制作者の爪の垢を飲んで欲しいよ。

いやー、悪人が全くいない映画も久々かなぁ。そのせいなんかどうかわかんないけど、なんかね、ほっこりしました。大スターの男優も、映画スタッフや使用人にも慕われていて、決して他人を見下すことなく、尊厳と自信を持っている人物として描かれていますしね。だからこそ、凋落した時にも尊厳を忘れられないという伏線にもしているという部分もそうなのですが、細やかで丁寧な作り方が全編に渡って施されているっていうのも、安心して観ることが出来た要因かもしれません。

出演している俳優さん達がね、また素晴らしい演技なんですよ。もう、表情や仕草とか、全てを使って演技していて、逆に今の時代には新鮮に映るんじゃないかなぁと思いました。

サイレントからトーキーって、映画の技術的な変遷ではあるのですが、役者の技術的な変遷でもあったわけで、モノクロからカラー、2Dから3Dという変遷よりも、各方面の大きな犠牲と可能性を強いることだったんだなと、この映画を観て思いました。

ちょっと、男優の大スターの時期と、凋落していく対比のメリハリに欠けている(というか、配分かな)のと、大スターになる女優との、女優が手助けしたい気持ちの大きさに比べると、両者の接点が少な過ぎるのではと思ってしまう部分が残念なところですが(あれ?超感動したのにdisってるぞ)、観終わった後は、本当に、本当に素晴らしい映画をありがとう、という感情しか湧いてきませんでした。