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悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2016©りょんりょん) ※映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。

春、一番最初に降る雨

※かなりdisっていますが、個人的には今年観た映画の中では、『アベンジャーズ』を除いたら、暫定1位なくらい、気に入っております。




日本とカザフスタンの共同製作の映画で、監督は日本人、撮影、照明等のスタッフの大半はカザフスタンの方々という布陣で撮られたようです。出演者の大半は恐らく、地元の人(俳優さんじゃなくて素人)を起用していると思います。

個人的にはかなり好きなタイプの映画なのですが、上記のように俳優さんを使っていないことが、この映画にグサリと突き刺さっています。刺さった部分から、大流血してます。

ファンタジー要素を日常の中に紛れ込ませて物語を展開させるのですが、この映画の展開において匙加減が難しいであろうこのプロットを活かすことは出来てなくて、それなら別にそういうプロットは入れなくてよかったんじゃないかなっていう部分も残念なところでした。

ファンタジー要素を担うシャーマン役のお婆さんはカザフスタンのタレントさんのようで、この人だけは撮影慣れをしているのがはっきりとわかるほど、周りの出演者は撮影慣れしていないのがくっきりとわかってしまって、恐らくリアルさを求めて地元の人を出演させたであろうことが裏目に出てしまっています。ごっつ目線がカメラを意識してるんですよね。これが、映画に集中するというか、のめり込むことを拒否しちゃうんですよね。意図的にやっているならいいのですが、意図的じゃないですよね……。

何か起こりそうで起こらない、その地域の人達にとっての平凡な日々を淡々と描くのって、かなりな丁寧さと技術力がいると思うのですよ。この映画のレベルははっきり言ってそこまで高くはなくて、それならそれで何かしらのイベントを放り込んだ方がよかったと思うんです。ロシア人父娘のプロットはありますけど、イベントとして機能していないので、結局、平凡な日常の風景に上書きされちゃって、ロシア風味が消えちゃってるんですよね。あぁ、勿体ない。

ロシア娘がバイクで転倒した時に、シャーマン婆ちゃん(の霊魂かな)に意識が乗っ取られたんかな、とも思ったんですが、そういうような描写がありつつも(ここは恐らくわざと匂わす程度にしたのだと思うのですが)、曖昧な感じにしてしまったのが、その他の描写もメリハリを付けていないので、効果が現れてないんですよね。シャーマン婆ちゃんが、死んだ後に転生して主人公の配偶者になるよって冒頭で台詞で語ってますけど、そこまでの展開も描いてくれてた方がもっと効果的にロシア娘を使えたのにねぇ。

と、冒頭に書いたようにかなりdisってますし(いや、全く褒めてないですよね……)、映画としての完成度はかなり低いと断言しますが、僕はこの映画は大好きです。矛盾してますが、ごっつ気に入ってます。雰囲気とテンポがいいんですよ、僕にとっては。だからこそ、余計に粗が目に付いてしまうのですよー。

観終わった後は、ほっこりとした気分になりました。そして、春に一番最初に降る雨が、またいつもの日常へと、でも、少しずつ変わっていく日常が続いていくんですよと告げているんですよね。


※この感想内での「プロット」は、物語の構成、物語や登場人物の設定、(映画の全体の物語と比較して)小さい物語という意味として使っています。「イベント」は、物語を転がすような展開や場面、そのような切っ掛けを作る登場人物の動きという意味として使っています。