※ドキュメンタリー映画ですが、ネタバレしてるはずです。
スウェーデンのテレビ局にあった、1960年代末期から1970年代中頃までのドキュメンタリー映像を纏めた映画です。
40年近く前は、まだまだこんな状況だったのかということに唖然としたと同時に、未だに完全に解決しているわけではないという現実に呆然としました。
映画は、一人の人物を追いかけるというものではなく、一つのムーブメントの、その中のまた一つの側面を、時系列に編集して提示しています。
映画の冒頭でも述べられていますが、あくまでもムーブメントの一つの側面を捉えただけで、全容を捉えたものではないということは、きちんと観る前に認識しておく必要があると思います。そうでないと、黒人目線過ぎるとか、もっと他にも運動があっただろうとか、暴力も肯定しているのか、といった誤認識をしてしまうかもしれませんので。
僕が感じたのは、最終的な目的・目標は同じなのに、選ぶ手段・武器(暴力だけじゃなくて、弁論技術とかも)によってこうも活動が違うのかということです。非暴力でいこうとする者、暴力も厭わない姿勢の者、どちらにも賛否はあるのでしょうが……。
気になった部分は、キング牧師の活動が、アメリカの富裕層にも影響を与えるようになってきたので、アメリカが本腰を入れて対策(迫害と言った方がいいのかな)を行ってきたというところです。昔も今も、権力構造と富裕層・中間層・貧困層という分け方によってしか、表面上の秩序を守るという方法しかないのだろうか、と。
富裕層にとっては、自分達の権利を脅かす存在は敵でしかないわけですからね。ただ、そのロジックは、黒人差別をなくす為に運動していたブラックパンサー党の人達とも、同じベクトルなような気がしたのです。どちらの立場に自分が属しているか、という違いなだけだと。
人間って、敵(仮想でも可)を作らないと一致団結出来ないんだろうなぁと、かなり悲しくなりました。そういう部分では、宗教もまた同じなんでしょうね。
製作にダニー・グローバーの名前があったんですが、まさか俳優のあの人だったとは。別人だと思ってました。
そ、そんなことよりもね、もっと気になることが、というか、もっと印象に残ることがあったんですよ。途中から登場される、アンジェラ・デイヴィスさんのアフロヘアーがね、もう見事で見事で(大事なことなので、二回繰り返しました)。いやー、あのアフロヘアーを観るだけでもこの映画を観る価値がありますよ。つか、あのアフロヘアーを観る為だけにこの映画があると言っても過言ではありません(嘘)。
あ、真面目なドキュメンタリー映画なのに、ギャグで締めたらあきまへんよね。かなり良質なドキュメンタリー映画でした。
公式サイト:http://www.curiouscope.jp/BLACKPOWER/