悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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幸せへのキセキ

※豪快にネタバレしていますが、disってはないです、多分。




予告編で観た時は、こんな映画観るかよって思ってました。原題が『We Bought a Zoo(我々は動物園を買った)』って知った時も、ケッ、つまんねぇタイトルだぜぇって思いました。でも、なんか評判良さげだし、スカヨハ出てるし、ネタにはなるかな、なんていう軽い気持ちで観たのですが、涙腺が緩くなったのは内緒ですよ。えぇ、よかったっす。面白かったっす。

実話を基にしており(舞台となった動物園は現在もあります)、突撃レポーターだった主人公(男性)が配偶者に先立たれ、仕事も軌道に乗らず(というか、新しい仕事のやり方に馴染めず)に辞職し、14歳の長男は一学期での停学記録を作って自動的に退学処分となり、住んでいる街は配偶者との思い出が詰まっているので配偶者を思い出して寂しいといった様々な理由から、心機一転、環境を変えてリスタートしようと引っ越し先に選んだ家は、実は動物園が付いていた、という内容です。

いきなり冒頭のマット・デイモン演ずる主人公ベンジャミン・ミーの突撃リポート振りが笑えます。中東(なんかな)の過激派とのインタビューで、「好きな映画は?」との主人公の問いに「トイ・ストーリー」と答える場面とか、ごっつ気に入ってます。

配偶者に先立たれて、14歳の長男、6歳?の長女の面倒を自分なりに精一杯やりながらも、心にポッカリと空いてしまった穴の為か、前に進むことが出来ないでいたベンジャミン・ミーですが、偶然にも動物園付きの家を買ってしまったが為に、これまでの突撃レポーターの精神を活かして取り組んでいるうちに乗ってきてしまい、資金が底をついた時も、配偶者が残してくれた定額預金でなんとかピンチを脱したりというミラクルも起きて、とうとう動物園を再開させます。

マット・デイモンと長男役の俳優さんがね、なんとなく似てるんですよ。マジで親子なんちゃうの?って感じで。長女は似てないけど……。プラス会計士の兄貴とも似てないけど……。子供役二人がね、いい表情、演技をかましてくれるわけですよ。マット・デイモンとかスカヨハとかエル・ファニングを相手にして。長男なんて、イケメンだからっていうのもあるんですが、エル・ファニングに惚れられる役ですよ。羨ましいやんけ(違)。

長男が書いてる絵があるんですが、それが首チョンパとかだったりして、個人的には気に入ってます。そっちの方の個性を伸ばそうよって思いました。つか、学校の課題の絵に、首チョンパを題材にしたらあかんやろ。ほんでから、学校もそれを廊下に張り出すなよ(笑)。

動物園が舞台なので動物も出て来ますが、主人公一家と動物との関わりを描くのではなくて、あくまでも主人公一家の再生というかリスタートに焦点を合わせて描いていて、動物達や動物園スタッフ達との交流を軸にしなかったのも、映画が綺麗に纏まる為のよい選択だったと思います。確かに、登場人物の掘り下げもないし、そのことも影響して主人公一家の周りの状況は十分描かれているとは言えないですが、2時間程度の映画でそこまで詰め込んでしまうと、某スパイ映画みたいな情報過多になってしまって、この映画のテーマには合わないような気がしますので、この取捨選択には僕は賛同です。

ちょっといらないかなと思ったのは、マット・デイモンとスカヨハのロマンスっぽい部分なんですが、実話が基になってるのでしゃーないのかなぁ、と。でも、映画的には省いた方が、長男とエル・ファニングとの淡い恋のサイドストーリーがより活きたと思うのですけどね。それに、亡くなった配偶者が幽霊となって登場する最後の場面(違うだろ)も、もっともっと感動的になったような気がするのです。

まぁ、それによって、主人公と長男が実は似ているっていうことを、間接的にも描けているんですけどね。そして、二人が選択する「これから」の違いも明確になるので、なかったらなかったで、長男パートの重みが薄まってしまう危険はあるのですが。

上にチラって書いちゃいましたけど、この映画のラスト、大好きです。主人公や長男が口癖で言う「why not」が、実は配偶者と主人公が初めて出会った時に、配偶者が主人公に言った言葉だったんですよね。その言葉を主人公は一度は封印しようとしたけど、また受け入れることで、新しい一歩を踏み出すっていう終わらせ方のところで、ほんまに涙腺決壊するんちゃうかって感じでした。

20秒の勇気を持つことがどれだけ大事なのか。この言葉を主人公に教えた兄貴役の会計士が悪人にしか見えなかったのですが、この人も好人物でした。そして、衛生局(だったかな?)の審査官も、嫌みを言いつつも、仕事は仕事としてきっちりとやり遂げるというタイプで、珍しく悪人という悪人が登場しない映画だったので、観終わった後の爽快感は最高でした。

実は、物語はそんなんではなくて、元スパイだったマット・デイモンと現スパイのスカヨハが、軍が秘密裏に開発していた液体が漏れたことによって、動物達が巨大化し襲ってきたので戦いを挑むという内容で、最後の場面では、なんと幽霊まで登場してのバトルは鳥肌ものでした。普段は日和見主義の何も出来なさそうなマット・デイモンとスカヨハが、バリバリと巨大動物達を撃殺していく場面は、かっちょよかったです。