悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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それでも、愛してる

ネタバレしてますし、少しdisっている上に、嘘というか妄想まで付け足しています。

原題:The Beaver
監督:Jodie Foster、脚本:Kyle Killen、編集:Lynzee Klingman
出演:Anton Yelchin(長男)、Mel Gibson(メルギブ)、Jodie Foster(ジョディ・フォスター)、Riley Thomas Stewart(次男)、Jennifer Lawrence(長男の同級生)


メルギブ主演で、ジョディ・フォスター出演・監督の鬱病を題材とした映画です。僕も、実際に鬱病になっていることから、大変気になる映画でした。

鬱病は人や環境によって、どういう風に発症し、症状をみせるのかがかわからない病気であるというのが、僕の経験したことからの考えなのですが、この中でのメルギブも、家庭環境は悪くないし、仕事もCEOという重職であり、外から見る限りでは成功しているとしか思えないような人でも悩みはあるし、それが重荷となって鬱病になることもあるという状況を、うまく描いていたと思います。

観る人の状況や環境等によって、かなり観た後の印象が左右されるような映画ではありますが、果敢にその題材に挑戦したことは素晴らしいと思います。

ジョディ・フォスターが監督も兼ねているというのも影響しているのか、映画内でのジョディ・フォスターの存在感が希薄だったのは、彼女のファンには不満だったのではないでしょうか。まぁ、映画の展開自体が、メルギブと長男を対比させて、家族の再生へのとっかかりを描いていくというものなので、仕方がない部分もあるとは思いますが。演出するという視点から、自然とバランスを取った結果なんだろうと思います。

メルギブの演技には凄まじさを感じました。偶然にゴミ箱からビーバーのぬいぐるみを拾い、何故か左腕に装着した後の躁状態と、装着していない時の鬱状態の落差の瞬間的な切替のうまさには驚きました。また、全編を安定した演技で支えるジョディ・フォスターも流石です。

ビーバーのぬいぐるみは、結局メルギブの二面性というか、躁鬱部分の躁の部分を極端に露出させただけで、本来は躁鬱部分が中和してこその個性、というか彼自身だったんですよね。振り幅が大きかったのと、二年間見れなかったであろう彼の覇気ある言動と行動に、家族も含めて周りの殆どの人は鬱病が治りかけていると勘違いしてしまうのですが、長男は最初からそうじゃないことがわかっていて、ジョディ・フォスターも徐々に気付き始め、次男は新しい父親の面を見てノリノリになったまま、という描き方も、メルギブと家族との距離感というか、家族のメルギブへの関係性が描けていたと思います。

ただ、メルギブよりも、どちらかと言えば、長男の方が映画的には主人公であったのですが、大人の事情もあってか、どうしてもメルギブを中心に据えて展開させようとしている為、ちょっと焦点が散漫になってしまったかなという印象を受けました。そのことによって、個々のプロットの収束のさせ方に失敗してるのかなと。結局、他の部分がよくても相殺されているように感じちゃったんですよねー。

最後に、「絶対解決する」という言葉は大人の嘘ではあるが、それを信じるしかないし、誰に対しても言えるのは「人は独りでは生きていけないということだ」、という説教臭い演説で強引に纏めようとして終わってしまうのは、ちょっと投げっ放し過ぎやしませんでしょうか。一応、この映画なりの解決、みたいなものは、もっとはっきりと提示して欲しかったなぁとは思います。あの遊園地の場面がそうですって言われても、淡白過ぎやしないでしょうかねー。

メルギブは、独走し始めて、メルギブ全体を乗っ取り始めたビーバーを始末する為に自分の左腕を電ノコでカッティングしちゃうわけですが、ビーバーは既に、ジョディ・フォスターが宇宙と交信した結果やって来た宇宙人に寄生されていて、メルギブを取り込もうと襲い始めた為、切断した左腕にショットガンを装着して戦うメルギブという展開が、マジであったのにはビックリしましたね。いやー、これを待っていたんですよ、うんうん。

そして、激闘の末にビーバーを抹殺したメルギブは、ラスボスとなったジョディ・フォスターと宇宙人軍団を始末する為に、自家用車を黒くペイントして、スプレーで平仮名で「いんたーせぷたー」って書いて戦いに出向く、という場面で終わったのは、続編を期待しろっていうことでしょうかね。

長男の頭突きは最強ですよ。