悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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ピアノマニア

期待以上に面白かったです。勢いでパンフレット買っちゃいましたもん。


スタインウェイ社のピアノ調律師であるシュテファン・クニュップファー氏を追ったドキュメンタリー映画なのですが、そのまま、彼を主人公としたドラマ映画というか、昔のヨーロッパ映画のような趣きも兼ね備えていて、時間的には1時間半程度なのですが、分量として2時間を超えている映画を観ているように感じました。


楽しい時間はあっという間に過ぎるとばかり思っていたのですが、ずっと浸っていたいと感じた時間は、思ったよりもゆっくりと流れることもあるんだなぁと、この映画を観終わった後に思いました。


ドラマ的な編集を施すことで、モキュメンタリー的になっているかなと思う部分もありましたので、それが鼻につく人には向いてないかも。結構、観る人を選ぶタイプの映画かもしれません。


シュテファン・クニュップファー氏は、劇中で自分で病的なマニアかもと揶揄してたりしますが、氏のレベルは相当高いのに、それでも、まだまだ探求しようという研究心と、ピアニストの要望に応えよう(というか、戦おうとするっていう言葉の方が正しいかも)とする向上心(対抗心)には、感服しました。


映画は、全体的には緩やかな、ほんわかとした空気の中で進んで行くのですが、それによって、ピリリとした緊張感ある場面が、より映えていたのではないでしょうか。


ピアニストのピエール=ロラン・エマールの、シュテファン・クニュップファー氏の作業を見つめる目が、優しさと尊敬に溢れた眼差しなんですが、シビアな要求をしているのに、このおっさんはどSかと思いましたよ(笑)。というか、ピエール=ロラン・エマールのアルバムジャケットと、この映画の中でのくたぴれたピアノのうまいおっさんが結び付かない(爆)。


個人的に興味を惹かれたのが、ピエール=ロラン・エマールのフーガの技法の録音で、スタッフらが自分の意見を言いつつも、他人の意見もきちんと聞いて、妥協するのではなく、チームとしてのコンセンサスを見出すという行為を、いとも簡単にやっている部分でした。実生活での経験上から、日本人だけならダラダラ議論だけしてしまうことが多い場面なんですが、短時間で自分の意見と他人の意見を咀嚼して、実行してみないと始まらないではないかというスタンスが、西欧人は自然と身に付いているのかなぁと、羨ましく思いました。