悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら

※ネタバレしています。




こちらもテアトル梅田で一週間限定公開している【未体験ゾーンの映画たち2012】の一つで、実は、同日上映している『ザ・フィールド』がメインで、こちらは観ようかどうか迷っていたのですが、夜にネットでチケット予約をしていたせいか、勢いでこちらもポチったのでした。


そういった事情から、あまり期待はしていなかったのですが、最高でした。期待していても、恐らく同じ感想だったと思います。


この映画は、サイモン・ペグとニック・フロストのコンビのバッタもんのような、タッカーとデイルのコンビが、田舎のキャンプ地にやってきた大学生の若者達に殺人鬼と勘違いされて起こるスプラッターホラーコメディです。


最近、コメディ映画が苦手になってきて、出来ればシリアスな方がいいのですが、この映画は、コメディ演出に逃げるのではなく、スプラッター描写や細かい設定、伏線も絡ませて、全体的に楽しませてくれたのが、僕の苦手意識を超えたのかもしれません。


初対面の印象というのは、人にとってはかなり重要な要素らしくて、なかなかそれを払拭するのは難しいそうです。この映画は、それを悲劇として見せつつも、どこかでそういった人間の性質を嘲笑っているように思えました。


また、激しい思い込みも、正しい現実を見え難くさせてしまうのだなぁということが、痛いほど伝わってきました。


ここまでデフォルメされてはいないですが、実生活においても、こういうような状況ってよくあるよねって思うと、別の意味での怖さも感じました。


タッカーとデイルの視点、大学生の若者達の視点、劇中ではこの二つの視点をいったりきたりするのですが、その切替の見せ方がうまいんです。ほとんどを対比させる手法がよかったのだと思います。


登場人物についても、見た目も含むスレテオタイプキャラを配置することで、初対面の思い込みからくる悲劇をより明確に提示しています。あなた達も、こういうキャラはそう見てしまうでしょ?っていう問いかけのようにも思えました。


大学生の若者達のリーダー格の人物がその象徴で、自分は人よりも優れていると思い込んでいて、ヒロインに対して想いを寄せています。彼は、実は、昔にこのキャンプ地で起こった大学生連続殺人事件の唯一の生き残りの子供という設定なのですが、そのせいで、余計に思い込みに拍車が掛かり、惨劇が加速していく様はブラックな味わいも感じさせました。


タッカーとデイルは、本当に強い絆で結ばれた幼馴染み同士なんだなぁというのが、画面から伝わりまくっていて、微笑ましくなりました。それを、ホモネタと絡ませるということも忘れていないのが、この映画に広がりを持たせています。映画の冒頭にこのネタを放り込むことによって、観客はよりこの二人を意識して映画を観ていくことになるんですよねぇ。こういう演出的なうまさと、適度な強引さがこの映画の推進力となって、最後まで途切れなかったところが、大きなパワーをこの映画に与えていたのではないでしょうか。


細かく見ていくと、ツッコミどころはありますが、それは、この映画をネタにして、ファン同士でお話が出来る切っ掛けになると考えると、わざとツッコミどころとかも入れているんじゃないかと思えてしまいます。


ラストも、あぁ良かったなぁと思える展開で、かなりほっこりしました。