悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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顔のないスパイ

※ネタバレしています。


予告編を観て、これは面白そう、と興味を惹きつけられたので、そそくさと観てきました。主演はリチャード・ギアで、名前は超有名ですけど、僕はあんまし彼が出演している映画を観たことがないんですが、第一印象は、老けたなー、でした。


上院議員が殺され、その手口がソ連のスパイで暗殺者だったカシウスに似ていることから、元CIAでカシウスを追っていたポール(演:リチャード・ギア)が、現CIA長官のチャリパパ(別名:エミリオパパ)の依頼もあって引退から復帰し、カシウスを調べるうちにカシウス大好きっ子になってしまい、カシウスの論文まで発表してしまったFBI捜査官のベン(演:トファー・グレイス)と共に、事件の行方を追うことになります。


ポールは、これはカシウスを模倣した手口だと言い、ベンは、紛れもなくカシウスの仕業だと言い、二人の意見が合わずに、最初はポールがベンを敬遠していますが、次第にベンの熱意に態度を軟化させ、ベンに家族がいることもあって、二人で協力していくようになります。


実は、カシウスはポールでしたというのは、最初の方で明らかにされます。予告編でも、ネタバレされちゃってますしね。ポールは、自分が上院議員を殺してはいないので、誰がカシウスを騙っているのかが気になります。


ベンは段々と、ポールが実はカシウスではないのかと疑い始めます。ただ、その辺りがあっさりと描写されてるだけなので、それを含めてミステリーとしたかったのか、それをきっかけとしてサスペンス(というかスリラーなのかな)として展開させたかったのが曖昧なままに物語を進行させてしまったので、最後のドンデン返しも、あぁ、そうなのね、としか思えなかったのは残念なところです。もうちょっとプロットを整理し、幾つかのプロットを積み上げていく作業が必要だったんじゃないかなと思います。


ベンは、ロシア生まれで(つか、年齢的にはソ連時代かな)、子供の頃にロシアでスパイの訓練を受けて、二重スパイとしてFBIに侵入したのでした。FBIに入局する為に、カシウスの論文まで書いていたのです。これって、ジョリ姐の『ソルト』と同じ設定ですよね。こういうことってほんまにあって、有名なのかな。ジョリ姐は、ガン=カタVer.3を駆使出来るほど強かったですが、こちらのベンは弱いです。お前、ほんまにスパイなんかっていうほどに。


ポールは、昔、家族がいたのですが、暗殺者が家族を持ってはいけないという掟を破ってしまったことで、ロシアのスパイ(仲間だけど、顔はお互いに知らない)に殺されてしまったのでした。その復讐の為にCIAに寝返り、カシウスを追跡する振りをして、復讐を実行していたのでした。多分。映画を観ている最中はわからなかったですよ、この設定は、正直言って。


カシウスには弟子が6人いて(カシウス本人含めてカシウス7と呼ばれていました)、ポールはその弟子が家族を殺したと考えていたみたいですが、弟子ならお互いに顔くらいわかるだろって思うのですが。整形してたのかな。でも、昔の写真はリチャード・ギアのままだし。わざと端折ったとは思うのですが、説明不足というか整合性に欠けてしまってんじゃないかなと思います。


ポールは、昔、殺したつもりだった一人が生き残っていたことを知り、捜査状況を利用して殺し、ベンも口封じの為に殺そうとしますが、ベンに家族がいることを知り、昔の自分と重ね合わせて殺すのを思い留まるのですが、そういうのも観終わった後になんとなくわかるのであって、劇中でわからないのはダメだと思うんですけどねー。余韻を持たせるポイントでもないと思いますし。


ポールは、カシウスを追う過程でカシウスと同じ思考をするようになったという嘘(本人なので)をつきますが、ベンもまたカシウスが好き過ぎてカシウスと同じ思考を試そうとしていますが、ポールはカシウスなので、ポールもまたベンの思考がある程度はわかるようになったのかなぁ。あぁ、ややこしい。こういうところを、きちんと描けてないんですよねー。


ベンの使命もわからないんですよねー。ロシアのスパイがアメリカに潜入して、警備員の仕事をしているのですが(こいつがポールの家族を殺した奴)、こいつを守る為だったんやろか。上院議員を殺すことが目的だったとしても、それでロシアに帰るってことがわからないし。バレそうにないんやから、アメリカにいた方がスパイ活動しやすいだろうに。故郷に帰りたいってことなんかな。一応、カシウスを炙り出すっていうことも目的としてあったみたいだけど、なんで?っていう疑問が解明されてないと思うし、映画の中では。見逃しているだけかなぁ。うーん。


物語を二転三転させるつもりが、制作側が転がってしまって立ち上がれなかったという感じでしょうか。というか、もしかして、後から色々考えることが出来るようにという作り方の映画だったんかなぁ(絶対違う)。


そうそう、ベンは結局、家族の為にロシアを裏切るんですが、これも『ソルト』なんですよねー。ここら辺りの教育というか洗脳もしとけよ、ロシアよ、と思う僕はアメリカから標的にされそう。ガクガクブルブル。