悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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奇蹟人間 The Man Who Could Work Miracles

※ネタバレしてます。


H・G・ウェルズ原作・脚本の『奇蹟人間』をDVDを購入し、鑑賞しました。ウェルズの著を元にこれまで数多の映画が作られてきましたが、ウェルズ自身が脚本も書いた映画は、3本しかないようです。その内の1本が、1936年(1937年?)制作のこの映画です。同じウェルズが脚本を書いた『来るべき世界』(1936年、原題:Things To Come)と同時期に作られた模様で、セット等をかなり流用しているらしいです。


物語は、3人の神様(神様だから、「人」じゃないよね)が、地球の人間に自分達と同じ力を与えたらどうなるかという井戸端会議をし、その結果、人間擁護派の神が一人の人間に対して、自分達と同等の力を与えて様子見しようということになりました。


洋服屋で勤務する中年男(50歳過ぎてるよね)のフォザリンゲイは、いつものように酒場に行く途中、一瞬体に異変を感じます。酒場での他愛もない話から、自分の思ったように出来る力を持つことに気付いたフォザリンゲイは、その力の使い方について、洋服屋の店員、雇用主、銀行家、宗教家(牧師?)に意見を求めます。


また、密かに想いを寄せている同じ洋服屋の女性店員さんに、自分のことを好きになるように得た力を使いますが、その力では人間の心までは変えられないようで、かなり落ち込みます。


その地域の副総監である陸軍大佐にもフォザリンゲイの力の話が伝わり、陸軍大佐はフォザリンゲイを自宅に呼びつけて話をします。フォザリンゲイは、宗教家の計画を実行し、世界に秩序と平和をもたらす準備をしていることを告げます。


陸軍大佐は、雇用主、銀行家等のその地域の有力者を集め、フォザリンゲイが宗教家の計画を実行すると、自分達は用済みになってしまうので、自分達を守る為には、フォザリンゲイを殺すしかないという結論に達し、計画実行前に暗殺を試みますが、力によって不老不死になったフォザリンゲイの前に暗殺は失敗に終わります。


フォザリンゲイは、宗教家の計画ではなく、自分の考えた計画を実行します。それは、宮殿を作り、ハーレムを作り、世界を動かせる人間をそこに集め、争いを止め、平和な世界をすぐに実現するように迫ります。世界を動かせる人間達は時間が必要だと訴えますが、フォザリンゲイは、この世界は今までそれで失敗してきたので、時間をかけるという提案に難色を示しますが、最低限の時間を要求する提案に、地球の自転を停止して応えようとします。


自転を停止した地球は、地上の全てを吹き飛ばし、消滅しようとします。フォザリンゲイは力を使って、自分が力を得た前の時間まで戻ります。そして、こんな自分では扱えないような力は必要ないと、力を放棄します。


一部始終を見ていた神達は、それみたことかという言いますが、力を授けた神だけは結果に満足だったようで、徐々に力を与えていけばなんとかなるさと言うところで、映画は終了です。


戦前の映画なので、かなり古めかしいですし、テンポも今の映画に慣れた人にはちょっとゆっくりし過ぎているかもしれませんが、テーマは今でも十分通用するものですし、現状はほぼ変わってないことに驚きを隠せませんでした。


今でも、戦争は世界のどこかで行われ、一部の人間が力を行使し、貧富の差が激しく、扱いきれない力を持て余すという、本当に進歩はしているのかと悲しくなるような現状です。


一部の力を持った人間が主導していくこと、独裁者がいた方が物事は早く進むだろうけど、その独裁者が間違ったことをしたら、すぐに滅びますよということを訴えたかったのか、と最初は思ったのですが、僕は、独裁者というかリーダーがいて引っ張っていくことは大事だけど、一人ひとりが考えて行動することはもっと大事ですというメッセージを投げているように思えました。


この映画でよかったのは、奇蹟というのはただ起きるのではなく、そこに意志が存在して初めて奇蹟と呼べるのだということを、主人公に言わせているところです。深い言葉のように思えます。


もし、僕がフォザリンゲイのような力を持ったとしたら、誰にも言わずに、自分の範囲内だけで、自分の為に、他人にバレないように使うだけに留めるでしょう。


アクションをたくさん加えて、リメイクしたら面白そうだとも思いました。テーマは今でも十分通用しますから。


風体の上がらない独身男のドニー・イェンは、毎日役所の仕事を淡々とこなすだけで、趣味も持っていません。ある日の仕事帰り、天から雷がドニーを直撃します。その直後から、運動音痴だったのに、超人的な動きが出来るようになり、自分が念じたことは実現するようになりました。但し、人の心だけは変えることが出来ませんでした。


ドニーは人助けをしたいと思い、色々なボランティア活動を行い、人命救助も当然のようにやりましたが、それが人間離れした能力であると話題になります。それに目を付けたある宗教団体のリーダーは、ドニーに自分の理想を叶える為に、その能力を使うように依頼します。リーダーの話に感銘を受けたドニーは、そのことに能力を使うことを承諾します。


一方、アメリカを裏で操るセガールは、強い者が暴力で支配する世界の構築を着々と進行中でした。セガールは強く、何人もの暗殺者がこれまで彼を殺そうとしましたが、全員返り討ちにしているほどでした。


セガールの耳にもドニーの能力のことが入り、ドニーを呼び寄せます。人を疑うことを知らなかったドニーは、セガールにもリーダーの計画を実行しようとしていることを話します。セガールは、その計画が実行されれば、自分の地位が脅かされると考え、世界の実力者達を集めて、ドニーの暗殺を試みますが、全員返り討ちにされてしまいます。


セガールは、もはや彼は自分で殺すしかないということで、ドニーと対決します。ドニーは能力を駆使して抵抗しますが、セガールの力は圧倒的で、ドニーは殺されてしまいます。世界は、セガールの天下となったのでした。お終い。え?