悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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ビーストリー

※ネタバレしてます。




ずっと、タイトルは『ビーストーリー』だと思ってました。勝手に、化物(beast)と、ただの物語ですよ(be story)という言葉を掛けあわせたタイトルだと、マジで思い込んでました。本当のタイトルのbeastlyには、ひどい、とか、獣のような、という意味があるみたいです(by グーグル大先生)。えぇ、鑑賞時にタイトル(原題)が出てきた時に、唖然としましたよ。ある意味、一番泣きましたよ。


超イケメンの男子高校生が、自分の容姿、外見を武器にして、それしか信じない、容姿しか重要視(ギャグじゃないです)しないという気持ちで、イケイケに学園生活を堪能していましたが、それが、同級生の魔女(本物なのがびっくり)の気に触って、容姿を化物にされて、1年以内に誰かに本当に愛されないと、ずっとそのままの姿になるという魔法(つーか呪い)をかけられてしまいます。


初対面の人の第一印象っていうのはとても大事で、人間は本能的に容姿、外見で先ずは他者を判断するようです。勿論、その後の接し方によって、最初に下した判断は変わっていったりもしますが。なので、この映画の主人公やその父親のように、容姿、外見が大事だという姿勢は、実は間違ってはないんですよね。


個人的には、外見なんて関係ないっていうセリフは素晴らしい、みたいな風潮は気に入りません。外見も、中身というか内面も大事だし、それをきっぱりと線引きする必要なんてないんじゃないのと思うからです。外見は内面からの影響もありますし、内面は外見からの影響もあります。というか、それらが、ミックスジュースみたいに攪拌されたのが人間でしょうに。人を外見で判断するなは正しいですが、人を中身で判断するなも正しいのですよ。人を外見だけで判断するな、人を中身だけで判断するな、ですね。


映画の話から逸れましたが、客観的には、この映画自体の中身はペラッペラというか、正直出来がよいとは思いません。でも、僕は大好きです。なんか、妙に自分の波長に合ったというか。何度もウルってくるところがあったし。


展開は王道というか、ほぼ何の捻りもありません。唯一、中盤にヒロインを主人公と同居させる為のトンデモ展開がありますが、これが逆に妙に浮いてしまっているというか、この映画の風味に沿わないんですよ。ヒロインの父親が、自分の都合でヤクの売人を銃で撃ち殺してしまうのですが、なんか、父親もヒロイン(あ、ヒロインは父親が殺人者だって知らないのか)も、ノホホンとしているというか。殺人の重みを映画の中に持たせたくないのなら、もっと他の方法を選択した方がよかったように感じました。


ヒロインの人は、人を外見では判断しないというステレオタイプな人物造形なのですが、お腹がぽっこりしていたというか、太っていたのが気になりました。妊娠してるみたいで。あ、そんなところは注目するべきポイントではないですよね。


えっと、でも、このヒロインは、実は、超イケメンだった時代の、嫌味な頃の主人公のことを好きになっていたんですよね。この設定はよかったんだけど、心変わりして、少しだけ嫌味なところがなくなった主人公のことを好きになっていくという過程の描写が下手というか、突然過ぎて、観ている人の脳内補完に頼り過ぎなのはどうなんだろうと思いました。


主人公も、ヒロインとの最初の出会いから、なんとなく惹かれていたこともあって、化物になった後も、ストーキングしたりとかしてましたけどね。それが、なんとなく切ないというか、うん、こういうところが僕がはまった部分かもしんないです。


そして、主人公も、結局は大きな変化なんてないんですよね。元に戻ったことを喜んでいるし(ということは、容姿のよさを求めているっていうことだし)、ヒロインも喜んでいるし(笑)。一体、映画としては何が言いたかったのかっていうのがきちんと提示されていないんですよ。容姿で惑わされるな、ということなのか、容姿じゃなくて中身が大事なんだよ、ということなのか、容姿も中身も大事だよ、ということなのか。


つかさ、魔女は本物の魔女なんだけど、魔女も勝手というか、自分の信条と違う人を暴力(つーか魔力か)で痛めつけるっていうのは、最低ですよね。いや、まぁ、自分の容姿を大勢の人の前でバカにされたけど、それにしても酷い仕打ちだと思いますよ。容姿だけを気にする人にとっては容姿だけが大事だろうし、中身だけを気にする人は中身だけが大事だろうし。でも、同じことなんですよね、それって。


盲目の家庭教師が身嗜みを整えているのを、主人公はどうしてなのかと問いますが、盲目の家庭教師は、他者にどう見えるかではなく、自分をどう見せたいかが重要だからと答えます(多分、うろ覚えですが)。それって、この映画のテーマとして一番提示しやすいものだと思うのですが、あっさりとそんなことはどうでもいいぜって感じでスルーするっていうのは、個人的には大歓迎です。そんな哲学的な話は、この映画には似合わないですもん。


大層なテーマもなく、ほぼ単純に転がっていくストーリーは、濃い内容を求める人には物足りなさ全開だと思いますが、薄味で、頭を使わずに、なんとなく恋愛映画を観たい人にはお勧めです。主人公が超イケメンなので、イケメン好きな人にもお勧めです。あ、大半は化物姿で出演してますけどね。