悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2017©りょんりょん) ※映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。

愛、アムール

ネタバレしています。ちょっとだけdisってるかも。




カンヌや米アカデミーで受賞したっていうことで観に行ったわけではなかったのですが、なかなか評判もよかったので、なんか観たいなぁという気持ちが沸き出してきましたので、観に行きました。

個人的には、子供や老人が主役の映画ってあんまし好きじゃないんですよね。この映画の主人公は老夫婦二人で、まさに好きじゃない映画の類いなんですけどね。なんで、興味が湧いたんやろー。

内容は、老夫婦の女性が突然意識がなくなって宙を見つめるようになり、血栓が原因だったのか、それを手術したら失敗して右半身マヒとなってしまい、徐々に老いも重なってか意識も不明瞭になる時間が多く、ついには寝たきりになってしまうという経過を追うもので、それを男性が介護するという(途中介護士を雇ったり、揉めたりという展開もありますが)、かなり重いことを取り扱っているのです。ですが、観終わった後は、そんなに重い、ズシンとくるような印象は持ちませんでした。

その理由として、恐らくですが、一貫して客観的に主人公(老夫婦の男性)を描写しているということがあると思います。主人公に感情移入させようとしていないやり方ではなかったでしょうか。構図をカチっと決めることで、それを徹底していたと思います。醒めた視点というか、客観的視点というか、とにかく一枚の壁を観客と映画の世界の中に立てているように感じました。

フランスと日本との国民性の違いなだけかもしれませんが、老夫婦の元に来訪してくる娘にしても弟子の扱いにしても、なんかズケズケと人の心に土足に踏み込んでくるよなってプロットを織り込ませているのも、主人公を突き放して、観客が過剰に主人公側に肩入れしないようにしているのではないでしょうか。

最後にしても、老夫婦の男性が介護に疲れたのか、女性の死を待つしかない姿を見ていられないと思ったのか、衝動的な感じで枕で窒息させて殺すのですが、男性がその後どうなったのか(自殺したのか、捕まったのか、行方不明なのか)を提示していないというのも、かなりイジワル(いい意味で使っています)な演出だなと思いました。娘が最後に部屋にやってきて、感慨深くなっている姿から、恐らくその後自殺したんだなとは思うのですけどね。

色々と考えさせられる映画でした。それに、この映画は、構図、カット割り、長回しという映画技術の部分でかなり勉強になる素材だと思います。そういう面でも楽しめたのか、2時間少し超えの時間も余り苦にはなりませんでした。もうちょっと短くしてくれてもよかったとは思いましたけどね。