悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024@りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

桜並木の満開の下に

※若干ネタバレしています。disってもいますが、この映画、たまんないくらい大好きです、ボクは。





もう予告編を観た時から、美しい風景にやられていたのかもしんない。

特に期待もしてなかったけど、偶然に観た予告編。そこに映し出されているのは、本当に美しい、けど物悲しい、そんな風景。そして、日本だなって感じる風景。

同時に、演技がかなりヤバイけど、大丈夫なのかな、この映画は、と思ってしまいましたが……。

ボクはかなり大好物な映画ですが、じゃぁ、誰かに自信を持ってオススメ出来るかと言われれば、出来ません。好きな映画、嫌いな映画、愛せる映画、愛せない映画って、もう本当に個人の感情、捉え方なんで、ボクも今の時期に、ボクの今の感情で観てなかったら、好きになってなかったかもしれないです。

映画としてはかなり出来が悪いというか、プロならもうちょっとなんとかせぇよってレベルです。でもね、でもね、なんかね、この映画の世界に引きずり込まれてしまって。映画の中の世界が居心地がいいってわけでもないのに。

先ずはよかったところを。

冒頭にある、バイクが海岸沿いの道路を走る場面があるのですが、幻想的で、かつ緩やかな絶望みたいなものが顔を覗かせ、煌めくような幸せの欠片が埋め込まれているような風景が、この日本にあるなんて、そして、それを映画の中に封じ込めることが出来る製作陣がいるなんて、ほんまにビックリですよ。

勿論、桜並木の、儚いまでの美しさ、永遠じゃないからこその美しさ、は、もう筆舌に尽くし難いですけどね。

後で矛盾したことを書いちゃいますけど、風景(場面)が語りまくっているんですよ。まぁ、ボクが脳内妄想しているだけかもしんないですが。でも、映画の楽しみ方の一つですよね。こういう映画に出会えたことはほんまに嬉しいです。

で、悪かったところ。

メインの二人の演技がたどたどしかった。最後の方は慣れてくるし、あの二人じゃないとダメだったんだよなとは思うんですけどね。

メインの二人が急に親密になってしまっている結果だけを提示していること。時間の関係もあるんだろうけど、ここはもっと注力して描写しないといけない部分でしょう。ここを観客任せにしたら、映画としての意味はないっていうか、それなら自分で妄想しますよってことになっちゃいます。

風景(場面)が雄弁な分、役者全体の陰の薄さが際立ってしまっているというか、映画の中に溶け込んでないと思わせてしまうところ。だから、飛び抜けたキャラ設定の人しか出せなくなってしまってるんですよ。

全体的にアンバランスなんですよ、悪い意味で。

それでも、ボクはこの映画が大好きです。この映画の世界が。居心地は悪いんだけどさ。

最初の場面に対になる、終盤に差し迫ってきたところでの、メインの二人があの海岸沿いの道路をバイクで走る場面があるのですが、ここから先にはもう絶望しかなくて、未来なんて感じられないんだけど、進むしかないよなっていう風景がね、最初の場面とラップしてボクの脳内で再生されましてね、泣きそうになりましたよ。

結局、最後、あの二人はどうなるのか、それは観客任せでいいと思います。あ、ここでも矛盾が(笑)。

ボクは、あの二人は、過去を忘れることなく、でも過去に囚われることなく、前に進めるような気がするんです。でも、でもね、あの二人は一緒に居て欲しいな、とも。それが、どんなに色々な人を傷付けることがあっても。自分自身を傷付けることがあっても。