悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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絶狼<ZERO>-BLACK BLOOD-

微妙にネタバレdisを散りばめていますが、ボクは楽しんで観ましたよ。




 映画館では、〔白ノ章〕と〔黒ノ章〕という前半後半をスライド公開スタイルで上映、ボクは二回にわけて観てきました。クオリティは流石の一言なんですが、テーマでの細かな部分の煮詰めの甘さというか、逃げみたいなものが目に付いたのも事実です。

 全てを観終わった後で思ったのですが、今回のように映画館で前半後半と観た場合、前半後半ではなく一気に観た場合、テレビ(?)で観るような1話形式で観た場合とでは、かなり印象が異なるのではないかなと。

 ボクの場合は、最初に書いたように、前半後半と日を置いて(約二週間)観たので、それに基づいた感想となります。

 先ず、思ったことを、箇条書きみたいに書き出してみます。

◯前半後半で、零の印象がかなり異なりました。前半は、これまでのシリーズの零がちょっぴり大人びたって感じ(特に外見)でした。後半は、これは映画館でも最後に流れた、主演の藤田玲氏に冴島鋼牙役の小西遼生氏がインタビューする映像の中で、小西氏がおっしゃられていたことなのですが、冴島鋼牙というキャラを藤田氏が演じる涼邑零がかなりリスペクトしているということです。それによって、零というキャラクターの個性が少しシリーズのウネリに埋没してしまったように感じました。

◯今回の新規キャラ、ユナとカインですが、後半は存在感が皆無(は言い過ぎかw)になるというか、零のキャラの比重に喰われてしまっているというか。これは、役者としてのキャラの掴み方もあると思いますし、物語の最初を転がす為の新規キャラで終わってしまったということもあるのかな。カインは仕方がないとしても、ユナまでそうなってしまったことで、最後の戦いの重みがかなりなくなりました。

◯これは、今回の絶狼というか牙狼シリーズに限ったことではなく、平成仮面ライダーシリーズにも言えることなのですが、敵に負ける、敗北することによる悲壮感、絶望感というのが皆無なんですよね。まぁ、次を頑張れじゃいいじゃんっていうことなんだろうけど、それってこういうバトルがメインの場合、どうなのよ?って。スポーツか格闘技かっていう選択に似てるような気もします。

◯テーマの煮詰め方が甘いというか。人間は欲望の塊で、自分本位であり、ヒーローが人間は守るべき対象なのかと苦悩するっていう話はこれまでにもありましたが、映画としても、はっきり答えを言わないし、ユナとカインもその問いにはあまり触れないような展開にしていました。ホラーのリングが問いかけるこの命題に対して、零が劇中で述べる理由よりも、本心は別としても、ホラーを狩ることで英雄気取りをしたいとした方が、より零というキャラを現したんじゃないかなという疑問が残ります。

◯演技力はさておき、ラスボス役のセイン・カミュ氏の胡散臭さ(褒めてます)、ガダルカナル・タカ氏の雰囲気、ユナ役の梨里杏さん(めっちゃ好み)とユナの母親イユ役の野本かりあさんの似具合とか、高野八誠氏のどうしようもないまとめ役とか、俳優とキャラのマッチング具合が素晴らしかったです。

◯イユは家出の浮気妻じゃないか(マテ)。イユの最後の翻意が、これまでキャラとしては抽象的に描かれていたことによって、まるで活きてないというか、単なる無駄喰われ……。

 箇条書きになってないや(汗)。同じこと何回か書いてるし。

 特に気になったのが、零のキャラの印象がかなり変わってしまったことです。これなら、零でやらなくてもいいんじゃないのってところまではかろうじて変わってないとは思いたいけど、バイアスがかかってそう思ってるだけかもしれないし。

 リングが問いかける人間の業について、バクラの問いかける魔戒騎士の存在意義に対して、台詞で一言、「あいつ(鋼牙)なら、こう答えただろうな」って付け足していれば、鋼牙をリスペクトする零というのが、もっと的確に明確に表現出来たんじゃないかなと。

 わかんなったのは、バグラはユナの父親クラウドと関係あるのかな。右腕を失くした者同士ですが。劇中で何か語ってましたっけ???

 個人的には、最初から映画だけにする形で、もっとキャラと時間を絞って、展開をスピーディーにまとめた方が、零というキャラにも合っていたように思います。駆け抜けるような疾風感を纏えたんじゃないかなー。

 梨里杏さんがかわいかったので全て許す。そんな映画でもありました。