悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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ダブリンの時計職人

少しのネタバレと、結果的に少しのdisが入ってしまいました。


 鈍臭い現実逃避の初老のおっさんと、甘えん坊の青年との交流を、締まった空気の質感を背景に描いた映画でした。まぁまぁ楽しめました。

 原題は『Parked』で、この映画のタイトルに合ってるなと思いましたが、邦題の『ダブリンの時計職人』は合ってないのではないでしょうか。原題のままか、カタカナに変えたとしても、日本では伝わり難いとは思いますが、『ダブリンの時計職人』は合ってないように思えます。

 主人公はホームレスで、イギリスで失職し、故郷のアイルランドに戻り、ダブリンの海岸沿いの駐車場(ここは無料なのかな)に停めた唯一の財産である車の中で日々過ごしています。

 失業保険が出なくて困ってるにしては、スポーツジムに通うし(下心ありですが)。かと思えば、どこかのトイレをお風呂(?)代わりに使ったりとかの描写があったり。

 日本と(アイルランドの)事情が違うのはわかりますが、なんか貧乏な描写がチグハグしてるよなぁと思えて、そういう部分で少し映画とボクとの間に壁が出来てしまい、それを乗り越えることは結局叶いませんでした。

 映画で描かれる外国のホームレスの人って、日本のホームレスの人より余裕(生活にも経済的にも)があるような描写が多いんだよなぁ。お金に困ってるのか困ってないのかわかんないというかね。映画と現実は違うというのはわかりますが、どうも映画の世界の中でのリアリティすらなくて、そこの描写だけファンタジー(その映画世界の中において異質)になっちゃってるような。

 この映画も流行なのか、まさかの時系列組み替えでしたが(冒頭のみほぼラストの場面から開始)、これまた意味がない時系列のいじりでしたね。

 ハっと思ったところは、初老のおっさんが、今までの殻を破って(飛び込めなかったプールに飛び込んだり、今の生活の拠点であった車を廃棄したり)、新しい世界を新しい自分の目で見ようとしたのに対して、青年は過去を夢見て野垂れ死んでいき、ヒロイン(つってもおばはんですが)は初老のおっさんと結ばれそうでいて、すれ違って去っていくという部分ですね。

 なんか、そこだけ現実感がバリバリにあるなぁと思いました。演出や表現は控えめで淡々としていましたが、それによって、逆に余計にリアルだと思ったのかもしれません。

 映画のことを思い出しながら感想書いてたら、初老のおっさんがなんか中途半端に浮世離れしてるような描き方が、観る人を選ぶような映画かなと思えてきました。