悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト

うん、ネタバレはそんなにしてませんが、自分が思っている以上にdisってしまったかもしれません。




 パガニーニを題材にした映画っていうよりも、なんかインギーを19世紀後半の時代に放り込んだらどうなるかっていう実験をしたような映画みたいでした。インギー好きな人は結構楽しめると思いますが、この映画が実際に何をしたかったのか、どこに焦点を当てようとしていたのか、さっぱりわからなかったので、演奏場面とかは凄いんですが、もっと映画としても楽しませて欲しかったなというのが、正直な感想です。

 ダークな雰囲気の映画だと思い込んでいたのですが(予告編すら未見でした)、想像以上に明るい空気感の映画でした。

 パガニーニ役を、有名(らしい)なヴァイオリニストのデイヴィッド・ギャレットが演じています。プラスして、製作と音楽監修も兼ねてます。当然、劇中のヴァイオリンの演奏も。

 バーナード・ローズが、監督と脚本と撮影監督を行っています。デイヴィッド・ギャレットとバーナード・ローズの二人がこの映画を作ったといっても過言ではないのでしょう。

 デイヴィッド・ギャレットは、俳優としての仕事は初めてということですが、ヴァイオリニストの役がアドバンテージになったのか、いい雰囲気を出してますし、演技も悪くはありませんでした。

 ヒロイン役のアンドレア・デックも、自身で歌ってるらしいです。うまいわー。

 パガニーニの数十年間を追っているお話なのに、演じているデイヴィッド・ギャレットの外見がほぼ変わらないので、観客の脳内変換が必要なのは、映画の作り方としては不誠実に思えます。

 実際のパガニーニのスタイル(演奏や興行も含めて)は、悪魔的な演出だったらしいですが、この映画はそれをエッセンスとして取り込みたいだけだったのか、前面に持ってきたかったのか、どうにも中途半端な印象です。先述した想像外に明るい空気感というのも、中途半端さに拍車を掛けてしまったように思えます。

 物語の進行は、少年時代の練習風景から、成人してからの演奏を誰も聴こうとしてくれないもどかしさ、まるで悪魔のようなウルバーニとの契約、ウルバーニがもたらす成功の美酒という矢継ぎ早な展開の序盤から、この映画の話の中心となるロンドンでの滞在をじっくり描く中盤、終盤にさらっと描かれる晩年というものですが、配分が計算されてないのか、バランスが凄く悪く感じるのです。

 パガニーニの半生を描きたいのか、ロンドンでのヒロインとの出会いによって起こるパガニーニとウルバーニとの関係の破滅を描きたいのか、迫力ある演奏場面をメインに据えたいのか、もうちょっと考えてバランス配分した方がよかったように思えました。

 まぁ、力の入れ具合はどうみてもロンドン滞在記部分なんですが、史実を再現という映画じゃなくて、あくまでもパガニーニを題材としたフィクションなんですから、全ての要素をロンドン滞在の話に組み込んでみたらと、素人ながらに考えてしまいます。

 クラウス・キンスキーがパガニーニを演じた映画『パガニーニ』を、久々に観たいなぁ。映画館で観たっきりだし。あの映画では、アッカルドがヴァイオリン演奏を提供してたんですよねー。それで、アッカルドパガニーニを演奏しているCDを何枚か買ったなぁ。