かるーくネタバレしてるかもしれませんし、ちょっとdisっちゃいましたが、いや、普通に傑作ではあります。うんうん。
う、うん、悪くはなかったよ。クオリティは高いし。普通に傑作なんですよ。でもね、前編があれほど凄い映画だったことを思えば、落差が酷くて、前作と一緒に作ったはずのこの映画が、どうしてここまでになるのかっていうのが、どうしても心に大きく引っ掛かってしまうのです。
ただのアクションだけが凄い映画に落ちぶれていると思わされちゃうんですよね、前作が凄かっただけに、余計にね。冷静に、可能な限り客観的になってみると、本作はほんまに傑作という評価で何ら問題なんてないのに。
何が悪かったんだろう。いや、悪く感じてしまったんだろう。オリジナルな展開になったからでもないし。
前作は、原作をベースに、その雰囲気や流れを壊さずに、最大限配慮しつつ、映画オリジナルの物語を構築していました。今作は、オリジナルをベースに、原作を配慮しつつ、映画オリジナルの物語を構築していました。
うん、ベースは違うけど。そこが原因なんだろうか。映画オリジナルにするっていうのがダメってわけじゃないけど。
前作の怒濤の展開に比べると、今作は落ち着いて、剣心の心の機敏と決意みたいなものを描くことに注力していたと思います。それが、前作の勢いを知ってしまって、そのままの勢いを求めてしまうというか、まだ鉄が熱いうちだったっていうボクの鑑賞に対しての心構えの問題はあったとは思います。
そう、『キル・ビル Vol.1』を観て感動して、続編を心待ちにして 『キル・ビル Vol.2 』を観た後の落胆に似ています（ 『キル・ビル Vol.2 』も悪い映画ではありません）。
本作を観て、思ったことを書き上げてみます。
◯師匠の比古清十郎との奥義伝承の場面が長過ぎた。1/3程度の時間で十分だった。
◯蒼紫はやっぱりいらんかった。操も結果的にいらん子に。お庭番衆の残党だけでよかったかも。
◯瀬田宗次郎がただのおかしい子に成り下がってしまってた。これは、神木きゅんの瀬田宗次郎で、スピンオフを作るための試金石だと思い込みたい。
◯蒼紫が剣心のことを最強とつけ狙っていますが、師匠の比古清十郎や、志々雄真実の方が最強に相応しい描かれ方をしているので、なんか白けちゃうんですよね。これ、実はスターウォーズでもあるんですよね。アナキンが最強とか、選ばれし者なんて言われてますが、皇帝やヨーダやメイスの方が強いっていう描かれ方してるし、結果、全部オビワンのせいになっちゃってるし。
◯瀬田宗次郎、駒形由美、方治、安慈以外の十本刀のモブ化（前編の張なんて、本作基準では大抜擢ですよ）。単なるちょっと強い雑魚キャラ程度の扱いに落ちぶれちゃってるのが。宇水さんなんてまだいい方かも。ネームドキャラに一撃でやられるとはいえ、絡めるんですから。
◯処刑場面なんていらんよね。あれで、また流れが停滞しちゃうし。普通に乗り込むのでいいじゃんか。その途中で十本刀と戦うっていうので、十本刀さん達も浮かばれたかもしれないのに。
◯剣心は、薫殿、薫殿ってうるさい。最後は、なんか求婚（？）してるし、剣心（爆）。
テンポのよさというか、前編のような疾走感をなくしてまで、剣心の感情を描くというスタイルは否定はしませんが、観客は本作のような形でそれを望んでたんでしょうか。そういうエクスキューズが、制作側には足りなかった結果じゃないかな。策士策に溺れるというか、単なる自己満足の押し付けになっちゃってしまっていたというか。
観客が望んでいたのは、一作目や前編でも前面に押し出して提示されていたチャンバラアクションだろうし、制作側もそれを目玉にしている以上、本作でもそれを求められるのは十分にわかっていたでしょうし。しかも、本作は後編というスタイルでやってるんだから、より強く求められるということを、きちんと受け止めないとあかんかったと思いますねん。
ラストの志々雄真実VS主人公含むネームドキャラの戦いは凄まじかったですが、あれだけで帳消しにするにはね……。
伊藤博文が最後に侍達に敬礼ってしたのは、あれは、痛烈な批判（つかイヤミ）でしょ。あの光景を見つめるネームドキャラ達の呆れた顔をアップにしてるのは、そういう演出だったからだと思います。
不思議なのは、薫殿というか武井咲が、前編よりもごっつ綺麗なんですよ。時期的には同じなのに。よくわかんない。衣装とか髪型のせいなのかな。うーん。
あ、天翔龍閃（あまかけるりゅうのひらめき）はよかった。左足から踏み込んでるし。ちゃんと必殺技名も剣心が言うしね（笑）。
挽回のためにも（何の挽回やねんw）、瀬田宗次郎のスピンオフを早急にお願いします。
