悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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リンカーンvsゾンビ

ネタバレしてますが、アサイラムなのにあまりdisってはいません。




 リンカーン大統領も、亡くなって1世紀以上もの後、吸血鬼ハンターにされたり、ゾンビハンターにされたりするとは思ってなかったやろうなぁ。

 アサイラムが、リンカーン大統領が吸血鬼ハンターだったというお話の映画『リンカーン/秘密の書』に便乗して、あっちが吸血鬼やったら、こっちはゾンビだって感じで、いつものように勢いと、あっちと間違ってレンタルしてねという気持ちで作ったものにしては、悪くはなかった内容にビックリですよ(笑)。

 もうちょっと脚本というか展開を練って、スピード感があれば、カルト的なものになったんじゃないかなって思うと、少し残念ではありますね。

 決めのポーズというか、幾つかのカットもかなり胸熱だったりするんですよ。それが本編中ずっと続かないのは、アサイラムクオリティなんでしょうけど。

 『リンカーン/秘密の書』にもありましたが、こちらにも、大統領専用武器が用意されています。うん、戦う大統領って、米国人は大好きなんかもしんない。

 リンカーン大統領は、9歳のときにゾンビ騒動があって、両親をそれで亡くしているという設定です(史実ではないですw)。そのときに、ゾンビ化していた母親を、自らの手で始末しています。
 時は流れて、大統領に就任後、ゲティスバーグの演説の少し前、ゾンビ騒動がまたもや発生します。この問題を解決出来るのは自分だけだということで、組閣し訓練を終えたばかりのSSを引き連れて、リンカーン大統領は自らその現場に赴きます。

 つかさ、ゾンビの弱点っていうか始末の仕方を知ってんだから、ずっと付いてきてくれた中佐に前もって助言しておくとか、SSにも説明しとけよ。無駄な死者が出てるやんけ。

 というツッコミにもめげず、ゾンビに噛まれた仲間を躊躇なく始末したりと、リンカーン大統領はクールな表情とは裏腹に、アドレナリン全開でゾンビと戦い続けます。

 その中で、元カノと再会したり(元カノの娘は多分リンカーン大統領の子供っていう設定っぽい)、ルーズベルト大統領までゾンビハンターにしちゃったりと、なかなか楽しませてくれます。

 で、まぁ、色々とありまして、最初は協力してくれなかった南軍の伍長(実はSSメンバーよりも使える奴)が味方になってくれたり、南軍の名の知れた将軍まで最後は折れて味方になったり、かと思うと、SSメンバーの中に南軍のスパイがいたりで、それらを実にうまく物語に組み込んだり、組み込めなかったり(笑)しつつ、やっとのことでゾンビをほぼ壊滅させて、事件を収束させます。

 元カノはゾンビと交戦中に、ゾンビの血を目と口に入れてしまって、感染しちゃいます。本作では、噛まれたり、目や口に血が入ったら、24時間以内に感染しちゃうという設定です。

 最後、非情になって元カノを始末したのかと思いきや、元カノをモルモットにして、ある小屋で極秘に治療の研究をさせていたのでした。

 時々会いに来ていたリンカーン大統領ですが(浮気じゃんw)、すっかりゾンビになっちゃった元カノへの待遇を医者に詰ったりしながら、甲斐甲斐しく世話をしようとするのですが、自分の腕を強く掴まれて感染してしまった途端、あっさりと銃で頭を打ち抜くっていうのはどうなのよ。保身全開じゃんかよー。っていうか、それでも感染しちゃうのか。

 自分も間もなくゾンビになると悟ったリンカーン大統領は、SSのメンバーで、今はリンカーン大統領を暗殺しようとしているグループの一員になっている元役者家系の奴に対して、多分、自分の行動を教えて、暗殺されようとするところで終わります。

 リンカーン大統領が感染してしまうことで、史実の暗殺に絡めようとする展開はいいのですが、上記のように、いきなり銃で始末するっていうのが保身にしか見えないので、ハァ?としか思えないんですよねー。

 ちょっと後味が悪いというか、最後の落とし所の演出を間違えちゃったなぁというかね。

 恐らく、本作における冷静沈着なリンカーン大統領の描写は、時には冷酷な印象を与えてしまうかもという懸念から、人間味を加える演出をしたかったんだと思うのですが、それなら、1分程度時間が長くなってもいいので、即座に元カノを殺すのではなく、感染させられても元カノを暫くは抱擁するような形とかの方が、もっと最後は綺麗に落とし込めたと思うんです。

 ただ、B級というか、アサイラムにしては悪くはないですし、ゾンビ映画が好きな人には、ツッコミながらも楽しめるとは思います。