ネタバレしています。
想像以上に面白かったです。主演のダン・スティーブンスのプロモ映画でもあります(笑)。
展開は、もう観客の予想通りというか、観客の観たいことをそのまま映像化しましたというノリなのですが、これは、製作側の映画の世界に観客を引きずり込むためのテクニックだったと思います。
米陸軍と民間企業のKGP社(監査法人みたいな社名だ)が共謀して内密に進めていた、「オレ達だってキャプテン・アメリカを作りたいんだよ(百歩譲ってジェイソン・ボーンを作りたいんだ)」プロジェクト(←キャップを作りたいとは言ってなかったw)実験の犠牲者になった主人公は、実は異常者でもあったんですよね。米陸軍少佐は、異常者でも兵士としては優秀だったから選んだみたいこと言ってますが、アホですよね(笑)。今までの映画でも、そういう人物をコントロールしようとして失敗ばっかりしてただろうがー。米陸軍少佐は、映画好きではなかったみたい(マテ)。
主人公は、キャップみたいな超人レベルまではいかなくても、通常の人よりも腕力も体力も(恐らく持久力も)向上してるし、武器の扱いは元々兵士なので普通にこなせるし、思考がシンプルというか、きちんと論理立てて、優先順位も立てて状況に対処出来るようになってるし。
この思考の組み立て方が、悩んでしまうキャップとは大違いなんでしょうね。それに、なんか言葉に説得力があるというか、言いくるめられるというか。それはミュータント能力なんじゃないのか、なんて思ったりもするんですけどね。人心掌握術の一つなんでしょうけど。
観客が、映画の中で一番疑問とするところは、何故主人公は友人家族の元を訪れたのかということだと思います。そうしないと映画は始まらないじゃん、というのは置いておいて(オイ)、映画の中で主人公が語っていることが事実だと思います。
主人公と同じ被験者で、その中でも家族兄とは、本当に仲が良かったんだと思いますし、死ぬ間際に友人として家族への言葉を託されたのも事実だったのではないかと。
主人公は、それを馬鹿正直に実行してしまったのが、実験場所の爆破とその後の逃亡とかじゃないでしょうか。任務に忠実であることっていうプログラムがなされていて、主人公は友人である家族兄からの言葉を、愚直にも命令(というより使命かな)と捉えてしまったのではないでしょうか。
じゃぁ、どうして、最終的に家族を殺してしまう、殺そうとしてしまうのかという部分については、米陸軍少佐も言ってたように、主人公は計画された実験内容と自身を守ることをプログラムされていて、自身もそれに抗うことが出来ないように改造されています。
このことから、友人家族を守るよりも、自身を守らないといけない状況になってしまったことで、実験内容を広範囲に漏らさないようにするために、家族を殺してしまったんだと思います。
というか、主人公的には、もう友人家族とか地域住民とか自分を殺しに来る米陸軍とかの区別はなくなっていたんでしょう。全て、排除すべきものである、と一括りにカテゴライズしちゃったんです。
簡単に言えば、別のスイッチが入ってしまったということではないでしょうか。別の命令を実行しないといけなくなってしまったのではないかと。
うん、家族妹が電話さえしなければ惨劇は起きなかったな(笑)。
笑えたのは、友人弟がいじめっこに逆襲して、高校の校長から退学させられそうになったとき、主人公が友人母と共に校長に面談して、校長を話術で攻撃して追い込んで、放課後の奉仕活動で手打ちにした場面ですが、最後に校長が主人公に対して「ところであなたは誰ですか」って問い掛けたところですね。ここ、ギャグシーンとして流してますけど、主人公の能力を端的に観客に謎解きみたいな形で提示してるんですよね。まぁ、謎解きにはなってなかったけど(ダメじゃん)。
米陸軍少佐も、もうちょっとなんとかなると思ってたのに、あっさりとカッターでヤラれちゃいました。一応、ラスボス(つか、主人公がラスボスなんだけど)扱いなんだから、もうちょっと頑張って欲しかったところです。
観る前は、スリラー映画だと思ってたんですが、これはね、もうホラー映画です。しかも、80年代のホラー映画を現代風にアレンジしたというか、いやいや、新感覚、新解釈なホラー映画ですね。
特に、最後の高校の文化祭用のハロウィンステージのセットなんて、80年代の空気感が満載ではないですか。主人公も、80年代スラッシャーのように、不死身属性もあるみたいだし。最後は、アレ、絶対死んでないですよね。つか、あれ、主人公じゃん。歯も持ち去ってるし。米陸軍少佐と高校教師の歯を。
こうして、新たにイケメンスラッシャーが誕生したのでした。このまま、このシリーズが続けば、ジェイソン・ボーヒーズ、フレディ・クルーガー、マイケル・マイヤーズ、レザーフェイスと、スラッシャー版エクスペンダブルズを結成出来るじゃないですか。わくわくどきどき。