ネタバレしています。ちょこっとdisってますが、良い映画だと思います。
原題:Predestination
監督・脚本:The Spierig Brothers
原作:Robert A. Heinlein
出演:Ethan Hawke、Sarah Snook、Noah Taylorほか
ハインラインの『All You Zombies(邦題:輪廻の蛇)』を原作とした映画。予告編からは、SFアクション映画と想起する部分がありますが、実際はそうではありません。タイムマシンとか出てきますけど、SFは世界観を構築するための小道具という感じ、SF感をバリバリ求めている人には向いていないかもしれません。
原作は超有名らしく(ボクは未読)、ほぼ原作通りの映画化のようです。ネタバレ全開で言うと、主人公の自作自演劇なわけです。マジで。
元々がある程度難解なのか、この映画では分かりやすいようにしようという意図があったと感じ取りました。イマジナリーラインという映画のテクニック用語があるのですが、それを久し振りに思い出させてくれました。というように、これまでの映画のテクニックというか手法を通じて観客に対して説明している、提示している構成になっていて、難解な映画という雰囲気はありません。
原作未読のボクですら、両性具有の話とか、爆弾魔も結局主人公なんだろっていうのが、割とあっさりと序盤で分かりましたから。それもスンナリと。
原作がどうだったかは別として、この映画としてのテーマは、人の生き様、自分は自分でしかない、自己の確立、アイデンティティーといったものだったように思います。それを観客に分かってもらうために、主人公の生い立ち等も含めて、特に秘密にしよう、それを過剰なほどにミステリー仕立てにしようという意図はなかったのでしょう。
この映画には2つの大きな欠点があります。敢えて、欠点だと言います。
1つ目は、イーサン・ホーク演じる人物とサラ・スヌークが演じる人物は同一人物なのですが、劇中でサラ・スヌークがイーサン・ホークに対して自分達と同じ系統の長い顔と言う台詞があるのですが、いやいや、サラ・スヌークは丸顔じゃん。違うじゃんって。
ここは、もしかしたら、製作陣が二人は実は同一人物なんですよって分かりやすくするため、わざとギャグっぽく挿入したのかもしれません。
2つめは、サラ・スヌーク演じる人物が男性になってる場面で、どうしてもオナベくらいにしか見えないということです。これも、ギャグなのか……。
主人公は最初は女性として育てられたけど、実は両性具有者で、出産時の体へのダメージによって、女性の身体機能が損なわれ、男性の身体機能をメインにするようになったっていう設定を、観客に分かりやすく提示していただけなのか。うーん。
主人公の父親と母親は主人公だし(←パッと読んで???かもしれませんが、マジです)、赤ん坊時代の主人公を攫って孤児院に放置するのも主人公だし、爆弾魔も主人公です。これが、ネタバレ。(笑)