悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2017©りょんりょん) ※映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。

美しき獣

ネタバレしてますし、disってます。

原題:KISS OF THE DAMNED
監督・脚本:Xan Cassavetes
出演:Joséphine de La Baume(Djuna)、Milo Ventimiglia(Paolo)、Roxane Mesquida(Mimi)、Anna Mouglalis(Xenia)ほか



シネ・リーブル梅田で鑑賞
未体験ゾーンの映画たち2015


 冒頭はチープな感じだったので、「あっ、やってもうた」って思ったんですが、映画が進むうちに、なかなか雰囲気があるなーと思い直しました。

 ジム・ジャームッシュ監督・トム・ヒドルストン主演の『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』を、より退廃的な雰囲気で作ってみましたっていう感じかなー。『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』が好きな人は気に入るかも。

 この映画に流れる雰囲気は70年代っぽいなと思いました。そこに、現代の、当たり前となったテクノロジーが装飾として付けられているという趣きです。

 最後になるに従って面白さが尻すぼみになっていったのは、かなり残念なところ。特殊メイクとかも良かったし、これでもうちょっと主人公が主人公として動いてくれれば、と。主人公、一目惚れした男性を仲間にした以外、特に何もしてないし。『ブラッディ・パーティ』のアクション部分のようなインパクトがあればなー。

 それと、制作側が考えた吸血鬼の設定を、作ってる間に忘れたんじゃないかなって思うところがちょこっとあって、それも途中で興ざめする結果になってるんですよね。そこのところの精査にはお金はそんなに掛からないと思うので、低予算映画でも労力を惜しまずに頑張って欲しいところです。

 失禁する吸血鬼(しかも、主人公ですよw)を初めて見ました。これは面白かったけど、主人公がそのあと、負け犬のように失禁させられた相手(妹です)に罵詈雑言を浴びせる場面まで含めて、全く主人公としての威厳がなかったですね。(苦笑)

 主人公の妹がやんちゃというか、周りの迷惑を考えない奴で、吸血鬼コミュニティが守ってるルールなんて、「何それおいしいの?」感覚で破っていきます。そのことが遠因となって、結局、主人公と、仲間にした男性のアベック二人組は、妹から逃げて海外に住もうとするのです。逃げるだけの主人公グループ……。

 妹は妹で、明け方近くに車で帰宅途中、道路にのそっと出てきた鹿を避けたんですが、そのままハンドルを取られたみたいで車は横転し、事故っちゃいまして、妹さんは意識を失います。

 気付いたらもう夜明け。陽の光を浴びて燃えながらも、這って家の近くまで来ますが、ちょうど出勤時間でやってきた人間の家政婦さんによく思われてなかったことから、目の前でタバコをぷかぁーって吸われて、見殺しにされます。

 そして、主人公と、仲間にした男性のアベック二人組は、呆気なくそのままローマに旅立ちます。ちゃんちゃんで終了。おい(w

 あ、妹はゴミ袋に入れられていたみたいで、ゴソっと動いたから、体を切断されているだけかもしんないけど。

 この最後のところで、吸血鬼は傷(多分外傷のみ)は一瞬で治るという設定を無視したほか、妹の性格では、道路に出てきた鹿なんて轢き殺すか、車の損傷を考えて避けたとしても、あんなに大回りな避け方はしないと思うのですよ。こういうのは、プロとしてはちょっといただけないミスです。しかも、ラストの大事な場面なのにね。

 雰囲気は良かったんだけど、物語の展開のさせ方と、主人公の不甲斐なさに辟易としてしまって、面白みはかなり薄まっちゃってるなと思いました。これなら、元から妹を主人公に据えて、自暴自棄による破滅っていう、よくある展開の方がまだマシだったような気がしますね。