悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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ランダム 存在の確率

ネタバレかましてます。


原題:Coherence
監督・脚本・原案:James Ward Byrkit
原案:Alex Manugian
出演:Emily Foxler(Em)、Maury Sterling(Kevin)、Nicholas Brendon(Mike)、Lorene Scafaria(Lee)、Elizabeth Gracen(Beth)、Hugo Armstrong(Hugh)、Alex Manugian(Amir)、Lauren Maher(Laurie)


シネ・リーブル梅田で鑑賞
未体験ゾーンの映画たち2015


 これは拾いものでした。低予算で、出演者はメインの8人だけだし、ほぼ家の中での展開ということや、使い古されたアイデア一発勝負にも関わらず、ここまで面白くさせる手腕は素晴らしいです。

 他の方の感想では、ドッペルゲンガーという記載があったりしましたが、個人的にはこれはドッペルゲンガーではないと思います。ドッペルゲンガーは、実在の人物との主従というか、実在の人物が柱として存在するっていうものとボクは思っているのですが、この映画は、あくまでも平行世界の中の自分であって、主従関係もないし、どこかの世界の誰かが柱でもないですから。

 さわりは、主人公らは友人宅に8人で集まってお食事会をしていましたが、そこにミラー彗星が地球に接近して、いろいろとおかしな現象が発生。なんと、近くに全く自分達と同じ存在がいることが分かります。

 そして、複数の世界が混在しているということが分かります。主人公はその中から、自分が一番幸せそうな世界を選んで、そこの自分自身を殺して入れ替わろうとします。

 それは一見うまくいったかのように思えましたが、結局、主人公は元々自分が住んでいた世界ではなく、別の平行世界に取り残され、その世界の自分自身もまた生き残っていたのでした。ちゃんちゃん。というものです。

 多分、家から外に出たら、そこで平行世界との接点が確定してしまうんじゃないかなと思います。それぞれの平行世界では、8人で集まるという前提までが同じで、ふとしたことで、同じ事象は起こるものの時系列が変わっていたり、登場人物の行動も違っていたりと、結果はかなり平行世界によって差異が出ます。

 面白くて怖い場面だなと思ったのは、主人公が平行世界の自分達の生活を覗くのですが、そこには暗い結果が出ている世界、自分がいた世界と似たような状況になっている世界、自分が憧れてた結果が出ている世界と、様々な世界を見せるところです。同じ人間で、同じ状況でも、少しのズレが結果を大きく変えることがあるというのを、短い場面の中で見せています。

 怖いと感じたのは、主人公はその平行世界の一つに、恐らく自分が本当は望んでいた結果が出ている世界を見つけ、あろうことか、上記したように、そこの世界の自分自身と手段を問わず入れ替わろうとすることです。

 主人公は、登場人物8人の中では、比較的落ち着いて客観的に俯瞰して状況を見ていて、複数の平行世界が存在していることも真っ先に気付いたりするのに、急に人が変わったかのような行動を実行してしまうというのは、この映画のテーマを端的に表してもいると思えます。