最後をちょこっとネタバレしてますし、disっています。
自称映画マニアを狙い撃ちにした、あざとい映画ですね。この映画を楽しめないと映画マニアとは言えないよっていう無言のオーラ。このオーラを醸し出してる点だけは賞賛します。
最初の場面からハッタリかましてきてるんで、あぁ、昔のATGをもっと拗らせて、巧妙にオサレな雰囲気で包んで拗らせたものを隠すという映画だなと思っていたら、そのとおりでした。知的欲求を刺激させるやり方というか。
分かりずらくしたら芸術になるわけではないし、そもそも芸術が必ずしも素晴らしいわけではないということに気付かない、芸術家ポーザーが多過ぎます……。あ、ポーザーだから、そうなるのは仕方がないのか……。
映画としてはつまんなかったけど、映像の質感は凄く良かったです。また、役者陣の演技も素晴らしかったですが、特にベン・ウィショーの演技が素晴らしかったです。彼があんな下品な胡散臭さを、爽やかにさり気なく醸し出して演じられるとは。元々うまい役者さんだとは思っていましたけど、さらにボクの中での評価は急上昇しました。
コリン・ファレルは、あれ、わざと太ったんですよね。勿論、彼も素晴らしかったです。存在感がないようであるような難しい役だったと思います。自己主張しないけど自己主張してる役というか。
映画を観ている間気になっていたのは、そもそも、ロブスターって動物なのだろうか。ちゃうよね。
最初は、コリン・ファレルは独身者のままでロブスターになりたいのかなって思ってたら、なんか違ったし。コリン・ファレルに好意を寄せてきてたおばちゃんを無視したら、そのおばちゃんが宣言通りに自殺を図って、そこからやっぱりロブスターになりたくない、人間をやめるのが怖くなったということなんだろうか。ここら辺りは観客の想像じゃなくて明確に提示してほしかったけど。してたのかな。
最後も、コリン・ファレルと一緒に逃げた女性がレア・セドゥの策略に嵌って盲目となったことで、コリン・ファレルも同じようにナイフ(バターナイフじゃなくて、肉を切る方のナイフねw)で自分の目を刺して盲目になろうとしてたけど。あれ、最終的には目を刺さずに逃げたんだろうか。コリン・ファレルのあの役ならそうしたような気もします。
それとも、エンドロールで波音が聞こえますが、ロブスターになって海に行ったってことなんだろうか。いや、やっぱり、コリン・ファレルは逃げたな。盲目になるくらいなら、ロブスターの方がいいやってなったかもしれない。つか、なんで一緒に盲目にならないといけないのかが分からんわ(笑)。
っていうか、この映画を真剣に考えても仕方がないですわ。危うくボクも策略に嵌ってしまうところでした……。