悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2017©りょんりょん) ※映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。

グリーンルーム

かなり期待していたことの反動でかなりdisっているかも。ネタバレも一部しております。




 昨年、27歳で亡くなってしまったアントン・イルチェンの晩年の主演作の一つが、大阪でもやっと公開されました。バンドものであること、なんかと戦うお話(笑)であることから、かなり期待していました。予告編は未見での鑑賞です。

 全体的な設計が甘いと思いました。それが原因で、場面ごとのキレも、登場人物の行動のキレも甘くなってしまったように思います。ところどころ、種明かしというか説明している場面もあるのですが、そこもキレの悪さが影響して、そうじゃない場面との違いがよくわからないという渦に巻き込まれてしまっています。観客に提示してこその種明かしであり、説明なんですけどね。そう、この映画の製作者の目線の先に観客がいないのです。

 それから、移民、人種差別、ネオナチ、音楽区分としてのパンク、そういったものへの知識と関連性をある程度は知っておくことが、この映画を観るうえでの前提条件となっているので、一般観客にとってはかなり不親切な世界観にもなっています。特に、日本で暮らしてる日本人はそれらのことはあんまり興味もなく、知らない人が多いと推測されますしね、この映画の前提条件は。なので、これから観ようと思われる方は、ネタバレ踏んでもいい覚悟で情報収集しての鑑賞か、何回か鑑賞する気合いで臨まれることをオススメします。

 お話はこんな感じだったのかな。主人公のいる売れないパンクバンド(個人的には音楽をジャンル分けすることに意味はないと思うけどね)が出演ブッキングされたライブハウスは、ネオナチがヘロイン精製していて販売もしている会場(地産地消かw)でした。観客の中には、音楽を聴きにくるのではなく、ヘロインを買いに来る人も多い模様。ただ、従業員や関係者の中でも、ヘロインの売買をやってることは知ってても、ここでヘロイン精製までしていることを知っている人はそんなにいない、という設定だったのかな。

 主人公のバンドのあとにトリで演奏する予定だった「カウパッチャー」(というバンド名だったと思う。主人公のバンドの名前は「AINT RIGHTS」)の為に楽屋を追い出されていたけど、楽屋の中に携帯電話を忘れていたので主人公が取りに入ってみたら、カウパッチャーのバンドメンバーが殺されていました。主人公は慌てて警察を呼ぼうとしますが、会場関係者はヘロイン精製がバレると困るので警察には内緒で処理しようとしていた関係から、主人公のバンドメンバーを楽屋に押し込めてしまいます。

 カウパッチャーの殺されたメンバーは女性で、殺したメンバーは男性です。痴話喧嘩のもつれで、男性がやっちまったようです。ヘロイン中毒の影響もあったようです。女性は、会場関係者と浮気していて、今回予定していたライブの後にその浮気相手と一緒に逃避行する予定だったようです。

 会場関係者は、結局主人公のバンドメンバーを極秘に処理しないといけないことから、色々とやりますが、主人公らの反撃もあり、最後は生き残った主人公とカウパッチャーの殺されていない女性メンバーの二人が残って、会場のオーナー(ヘロイン精製のオーナーでもある)をぶっ殺して映画は終了です。

 とまぁお話のさわりを書いてみましたが、私がそういうお話だと思っただけで、実際には違うかもしれません(笑)。楽屋に閉じ込められる、出てみたら殺られてしまって楽屋に戻る、を3回くらい繰り返すだけの映画、でもあります。

 思わせ振りな場面を作りたい、印象を残したいという思惑はわかるのですが、それをキレの悪い構成の中でやられてしまうと、観客的にはどれをどう取捨選択、処理していいのかわからないんですよね。

 例えば、主人公のバンドが会場で「Nazi Punks Fuck Off!」という曲を演奏して、会場が不穏な空気になり、観客の中で受け渡しされるものがあるという様が描写される場面があるのですが、これって結局、主人公のバンドの選曲にブーたれつつも楽しんでる客と、いつものヘロイン密売風景を描写しているだけで、主人公のバンドに何かがあるかもしれないよという思わせ振りな場面なだけなんですよね。キレがないもんだから、直接的に描写している場面との差別化も得られず、中身が悪い意味でごっちゃになるだけの効果しかないという結果に陥ってしまってるんです。

 ヒロインも、主人公達に何が起こったのかをはっきりと説明しないしね。ヒロインも混乱していてっていう理由なんだろうけど、このあとにあっさりと躊躇なくカッターで人の腹をかっ捌いたり、喉元を掻き切ったりしてるのになー。ここでもキレの悪さが響いてるんですよね。

 この映画のヒロインであるイモージェン・プーツは、『28週後…』のときはもう天使みたいでしたけど、劣化しちゃいましたね。今まで信じたくないから見て見ぬ振りをしておりましたが……。