悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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ナイト・チェイサー

ネタバレしてますし、disっているかも。

 

 


 未体験ゾーンでやってたのか。未体験から卒業したので知らなかった。ツイッターで評判がよくて、NETFLIXにあったので鑑賞しました。吹き替えしかなくて、そこはゲンナリでした。吹き替え反対。

 凄く奇妙な映画です。終盤まではよくある展開の映画です。ただ、その終盤の展開がかなり明後日の方向に舵をきりまくっているというか。この映画を初見で、終盤はこうなるって当てることができた人は、この世界にはいないと思います。『フロム・ダスク・ティル・ドーン』みたいな変化と言えばイメージしやすいでしょうか。

 英国人のクリスは2年ぶりにフランスのパリに帰ってきます。2年前までクリスはパリで暮らしていたようですが、留学生だったんかな。で、パリ在住の友人のリュックと元恋人に出迎えにきてもらいます。クリスは元恋人とヨリを戻したかったのですが、元恋人はリュックと友達以上恋人未満な関係になっていました。そのことにクリスはリュックに対して怒りますが、2年前にお前が彼女に何も告げずに英国に帰ったのが原因だろうと言われると、反論しようがありません。

 このクリス、主人公だからなのか、「自分は自分は」って自分の気持ちだけを相手に押し付ける奴で、人の気持ちを推し量ったり、受け入れたりすることができないタイプです。相手が自分を受け入れてくれることしか頭にないタイプです。リュックはそういうクリスを受け流して自分のペースに持ち込むのがうまいので、だからこそ、クリスとリュックは親友になれたのかもしれません。

 リュックは、クリスをパーティーに誘い、クリスはなんだかんだ言ってもリュックは親友なのでパーティーに同行します。元恋人とも色々あり、クリスはパーティーから帰ろうとしますが、リュックは別のパーティーにクリスを連れて行こうとします。

 やっとタクシーを捕まえて目的地付近で降ろしてもらいますが、リュックは料金を払わずにとんずらこきます。リュックの行動をクリスは責め立てますが(一緒に逃げてるくせにw)、リュックは取り合いません。そうこうしているうちに、料金を踏み倒したタクシーに付けられていることに気付きます。そのタクシーの車内には、踏み倒しはいけないよ、負債は払わないとダメよっていう注意書きが書いてありました。

 向かっていたパーティーをやっている部屋に逃げ込みますが、そこは実はヤクの売人達のところで、リュックはヤクの売人の下っ端みたいな感じで、お金を納めているのでした。そのお金は、パーティーに向かう途中で、不正刑事達によって盗られてしまっていたので、その釈明をリュックはタクシー運転手に盗られたという嘘で売人達に話しますが、当然のように売人達は信用しません。

 そこで、リュックを助けるかのように(笑)タクシー運転手が登場。いきった売人のボスは日本刀片手にタイマンを挑みますが、一撃でノックアウトされ殺されちゃいます。その他の売人達もタクシー運転手に部屋に乗り込まれて全員日本刀で殺られてあぼん。クリスとリュックは非情にもその隙に部屋からスタコラサッサと逃げちゃいます。

 それでも追いかけてくるタクシー運転手。途中でまた不正刑事のグループに遭遇し、クリスとリュックが売人達を殺した容疑者にされていて逮捕されかけますが、そこにまたもやリュックを助けるかのように(笑)タクシー運転手が登場し、不正刑事達を殺します。唯一、袖の下を拒否した刑事だけは生かします。ここがミソです。

 クリスとリュックはまた逃亡しますが、タクシー運転手はクリスの元恋人を拉致。助けに行きたいクリスとこのまま逃げたいリュックは掴み合いの大喧嘩をし、クリスは助けに、リュックは電車に乗って逃げようとします。そのパワーをタクシー運転手にぶつけろよ。

 映画によく出てくる廃墟っぽい元工場みたいなところで拉致されている元恋人を発見したクリスは、タクシー運転手に果敢にも挑みますが、劣勢です。主人公ですが補正はなく、勝ち目はありません。元恋人となんとか逃げようにも、何故か出口がありません。タクシーに追いかけられまくります。なんとかタクシーが入ってこないような場所に逃げても、タクシー運転手が追いかけてきます。そこへ、なんとリュックが登場し(なんか画面が暗くて、応援に来たことが最初は分かんなかったよw)、二人掛かり(元恋人も入れて三人ですねw)で挑みますが、あっさりと撃退されます。

 うん、普通の映画なら、この主役二人の共闘でタクシー運転手が倒されるのですが、圧倒的な力の差は如何ともし難く、ここからどうなるのかなって思っていたら、タクシー運転手がリュックだけをタクシーに乗るように指示して、クリスもタクシー運転手の耳元への囁きによって納得し、リュックは連れ去られて行きます。

 リュックは、まっぱにされ牢獄みたいなところに入れられます。そして、死なない程度に食料が補給されます。暫くして、ある手帳が渡されます。そこには、タクシー運転手の過去や、英仏戦争の頃から受け継がれている、悪いことを許さない人達の系譜の最初の物語がアニメーションで流れます。この系譜の元はどうやら日本みたいです、マジで。

 タクシー運転手は元は刑事でしたが、暴力的で、配偶者にも暴力を振るう奴でした。そして、先代のタクシー運転手にボコられ、まっぱでリュックが投獄されているのと同じ牢獄に閉じ込められ、これまたリュックと同様に死なない程度に食料を与えられ、自己を省みることを促されます。負債を払えということです。

 なんという急展開。ええええって感じです。最後は、そうやって受け継がれてきた、負債を払うことを余儀なくされ、悪人から善人にジョブチェンジした人達の集団が運転しているであろうタクシーの大群がどこかに向かうところでエンドです(エンドロールの途中に挿入されています)。

 クリスとリュックは2年前に酔っ払ってホームレスに絡み、事故ではありますが焼死させてしまったのです。それで、クリスは英国に逃げ帰りました。そりゃ、逃げるわ。クリスは主人公ではあるので、自分のしたことは反省はしているのですが、そこで終了な奴なんですよね。まぁ、最後は元恋人を助けようと奮起してタクシーの運転手に挑み掛かるので、そのことで負債はもう払ったという形に映画的にはなるんでしょうけど。クリスが主人公だったのに、サブ主人公ポジのリュックがまさかの適任者とは。まぁ、リュックは負債を返してないという判断なんでしょうね。

 タクシー運転手がクリスの耳元で囁いた言葉は、「お前はもう負債を返した。リュックはこれから返す必要がある。自分の後を継いで」というような感じだと思います。だから、クリスはリュックを行かせたのでしょう。タクシー運転手も先代に連れて行かれるときに、配偶者に先代が耳打ちしますが、同じような内容だったのでしょう。

 うん、この映画は、終盤の急展開が受け入れられるかどうかで、好きになるか、嫌いになるか、が決まると思います。ええ、私はかなりdisりながらも気に入っておりますよ。