悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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死霊のえじき:Bloodline

disっていますし、ラストのネタバレもしちゃってるかもです。

 

 ロメロのゾンビシリーズが好きな自分としては、そのリメイクだと言われれば観たいと強く思ってしまうのが人情です。例え、それがどういう出来であろうとも。ということで、NETFLIXにリストアップされていたので観ちゃいました。

 もう、なんていうかね、主人公がゲスいというか、超ワガママでマッドサイエンティスト気質全開なんですよ。自分の身勝手な行動の結果、軍人がゾンビに喰われてしまっても、自分が優先する結果(少女が病気から救われた)が得られてたんだから無問題ですよっていう行動とか。どうして、こういう人物像に描いたんだろう。

 一応、主人公の彼氏にそういうところを突っ込まれて、私を信じてって言うのみの、まるで詐欺師が人を騙そうとしているような場面が入られてはいますから、製作陣もこのような主人公の造形は織り込み済みなんだとは思うのですが、観客に対してこの主人公に共感してほしいと考えていたのだろうか。

 人とは違う血液を持っていて、そのせいでゾンビに噛まれてもある程度自分の意思を保つことができていたマックス(『死霊のえじき』のバブよりももっと行動が人間のときに近い)の、主人公に対するストーカーが凄まじいものがありますが、どうしてあんなゲスな主人公に執着するのかが分からないよ(笑)。主人公はマックスをキモいと罵っていましたが、個人的には主人公もキモかったです。

 元のロメロの『死霊のえじき』は、軍人と民間人との共同生活においての対立が描かれていましたが、本作もリメイクということからか、主人公(民間人の元医大生)と、主人公達が暮らしているところを指揮している軍人の中尉さん(主人公の彼氏の兄貴でもある)との対立軸を同様に導入しています。『死霊のえじき』では民間人の主張の方がより視聴者の代弁に近いという位置で共感を得ようとしていたと思いますが、本作は中尉さんの仰られることがほとんどごもっともですって感じで、これまたどうしてそういう逆の立ち位置にしたのかが不明。意味分からん。

 中尉さんは確かに人の上に立ちたい、支配欲が強いという傾向はあったけども、それでも全体をきちんと見て判断していたし、主人公の研究もなんだかんだ言いながら許可していたわけですから。というか、製作陣がそういう中尉さんとして描いていたから、観客がそう思うんだろうが(笑)。

 冒頭の展開もまぁまぁ面白かったし、ゾンビのお食事場面もよかったしで、ラストも主人公が多数の人を犠牲にして作り上げたワクチンのお陰で、ゾンビに噛まれても感染しないようになったというハッピーエンドなラストも悪くはないんです。でも、なんか心がどんより重いままというか、なんというか。うん、本当に、どうして主人公をああいう感じに設定して描いてしまったんだろうかっていう疑問しか残らない映画でした。