悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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The Witch/魔⼥

新年早々ネタバレしています。

 

 

 いやー、驚きました、というか、すっかり騙されてしまいました。設定や展開自体は、まぁ似てるものは今までもたくさんあると思いますが、主人公の後半というか終盤の行動がね、もうね、初見の人のほとんどは騙されたんじゃないかというくらいの衝撃なんですよ。ということで、ネタバレブログなのでネタバレしていきます。

 主人公の女子高生ク・ジャユンは、ある組織の研究所で脳改造を受けて(おそらく殺人兵器として)訓練・教育されていたのですが、8歳の時に周りの人を殺しまくって研究所から脱走し、力尽きて倒れているところを、建築家で酪農家である夫妻に発見されて、過去の記憶を失ったまま育てられました。と思わせておいて、実は主人公は記憶を失っていません。過去のことをしっかりと憶えています。

 自身が脳改造の影響で余命いくばくもない状態になり、また養母が認知症になってしまっていることから、脳改造してるくらいだったある組織は多分解決策を知ってるだろうという目論見から、ある組織をおびき出そうとテレビ番組に出たりするのです。なんという策士(笑)。

 劇中のいろんな人が主人公に対して「記憶喪失だって? フン」みたいな態度をとったり、「演技力も脳改造のお陰で凄いからね」なんて言われたりしてたのですが、おそらく観客はそういう疑問をほぼ抱かなかったと思うのです。劇中の登場人物が主人公に対してそういう態度をとることで、観客に「主人公は記憶喪失なのに何言ってんだよ」っていう刷り込みをさせていたのだと思います。映画自体も策士だった(笑)。

 前半は、主人公の日常が描かれていますが、その描写が後半に凄く活きてるんですよね。この映画の観客は、はっきり言ってアクション映画を観たいという観客が多いと思いますし、そういう観客にはウダウダ何を描写してんだよってなると思うのです。はい、私がそうです(笑)。でも、この描写が本当に後半に効くんですよ。

 大抵こういう映画の主人公って、人の愛を知ったら弱体化するっていうのがパターンですが、この映画の主人公は特に弱体化しません。そこが素晴らしい。昔のことは昔のことできちんと受け入れ、自分の元からの本性も弁えているけど、その後の生活で変わった自分もきっちりと受け入れているという描写は、私は映画では観たことがありませんでした。そういうところがリアルだと感じました。前半の描写が活きている大きな部分はここだと思います。

 主人公は頭脳明晰にもなるようですが、自身の命を永らえさせる薬をゲットしたはいいけど、それを自身で作ることはできなかったのかとか、薬をゲットしたんだったら、その成分を調べて自分で調合なりできないのだろうかとか、そういう部分は引っ掛かりました。実の親からの骨髄移植があれば治るかもしれない病気って白血病とかで、脳の病気ではないような気もしますし。

 それから、もうちょっと脳改造された人達の能力の説明は欲しかったところです。頭脳明晰、怪力や素早い動きといった身体能力の向上のほか、念力とかあるようですし。主人公がそんなに容姿端麗ではないのに(失礼)、スター誕生の地区予選を勝ち抜くというのは能力を使ったのかどうか、とかね。

 映画の最後は、ある組織の女性博士には妹がいて隠遁生活を送っているようで(その人が多分主人公の実の母親でこれで骨髄問題は解決?)、その人に主人公が会っている場面となります。少し話している間に、更に主人公には実姉がいて、なにやら人質に取られているような関係性のようなことがバラされて終了です。実姉もチラっと出てきます。

 アクションも素晴らしいし、観て損は全くない映画と言い切れますが、冒頭にもpart1とか出てしまうように、続編ありきというのが残念なところです。この映画だけで完結できるように作ることも可能なのに。というか、本当に最後の場面だけカットしておけば十分なのに(続編が作られるのなら、その続編に冒頭のカットを流せばいいと思うし)。あー、続編あるなら早く観たいよー。