悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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赤い雪 Red Snow

disってはいませんが、面白かったということではありませんし、ネタバレもしております。

 

 

 タイトルとポスターと物語のあらすじから興味を惹かれたので、観に行ってきました。設定や関係性等について、ちょっと分からない部分が多かったので、自分の中で整理する意味で書いていきます。なので、あくまでも私がそう思ったということなので、それが正しい理解なのかどうかとは別ですし、ネタバレ全開です。

 映画の感想としては、最後の場面だけは幻想的で物悲しい雰囲気が滲み出ていてよかったです。それ以外は、察してくれ、読み解いてくれ系の映画ということと、物語が暗く重いので、観ている間から疲れを感じました。群像劇的な登場人物との接し方なので、登場人物と観客との間に意図的に距離を置いてるのかなと思うことがありました。そして、何を描きたかったのか、観客に何を提示したかったのだろうという気持ちが観終わったあとに残りました。記憶とは儚く曖昧で、自分に都合のいいものだということを提示したかったのだとしたら、内容が薄過ぎます。そこから先を映画には見せてほしいんですよね。

 物語の発端は30年程前に、永瀬正敏さん演じる白川一希の弟が行方不明になってしまったことです。それから10年後くらいの平成9年に火事があり、そのときに弟の白骨死体と思われるものが発見されます。

 ちょっとキャラクター毎に纏めた方がいいかな、ということで主要登場人物毎に書いていきます。

白川一希(演:永瀬正敏
 本編の一応主人公(主人公というより物語の中心に位置する人物という書き方が正しいような気がします)で、職業は椀の漆塗り職人?のようです。
 30年前に弟が目の前で行方不明になります。ショックから、弟が消えたときの出来事を覚えておらず、そのことが今も彼を苦しめています。その事件のせいで母親は風呂場で自殺してしまうなど、一家は悲惨な目にあったようです。
 真相は、母親は彼の弟を贔屓し溺愛していて(少なくとも彼はそう感じていた)、弟を誘拐することになる夏川結衣さん演じる犯人の(あ、書いちゃったw)江藤早奈江にお菓子で手なづけられ、自身の弟を贄に差し出した、じゃなくて、江藤早奈江が弟を連れて来てって言ったので彼女の部屋に行くように仕向けたのでした。
 そして、江藤早奈江も自分ではなくて弟を可愛がってる姿をドアの郵便受けから覗き込んで見てしまったことから弟への嫉妬心とかが沸点を超えてしまい、弟が行方不明になったときも警察や両親に曖昧なことしか言わず、良心の呵責からなのか(注意:弟がいなくなってしまえばいいという気持ちから嘘をついたのか、そういう気持ちから記憶を塗り替えてしまったのか忘れてしまったのか、イマイチ私には理解できませんでした)、そこの部分の記憶がすっぽりと抜け落ちて、そのことで自分を責め、苦しめつつ現在に至ります。
 江藤早奈江の娘である菜葉菜さん演じる江藤早百合と出会うことで少しずつ記憶が繋がっていき、最後は多分記憶を全て思い出してしまい、自分のしたことの愚かさや、そのことにより自分や家族を苦しめてしまったことにどんよりした感情になり、記憶を思い出したかったんじゃなくて、記憶を思い出したくなかったことに気付き、江藤早百合と傷の舐め合いなのか、二人で小舟で旅立って行きます(=自殺なんじゃないかな)。

江藤早百合(演:菜葉菜
 江藤早奈江の娘で、小さい頃から学校にも通わせてもらえず、押入れの中に押し込まれ、江藤早奈江が部屋に連れ込む男とのまぐわいを押入れの中から覗き見ているという生活で、碌に食事とかも与えられず、喉の渇きを癒すために夜中に水道の水をがぶ飲みしたりしていました。
 江藤早奈江が保険金目当てで殺した田中さんを紹介した佐藤浩市さん演じる宅間隆と、母親が家を出てからも同居しており(家を出て行った理由は不明)、体の関係を持ちつつ、暴力を振るわれつつも一緒に暮らしています。
 仕事は旅館の清掃員で、旅館のオーナーと体の関係があることから雇って貰えているようで、清掃のときに客が部屋に置いてあったり金庫の中の物やお金まで盗んでいたりします。他の従業員にもそのことは知られていますが、オーナーとの関係があるからなのか、見て見ぬ振りをされています。立ち寄るスーパーでも平気で万引きをしています。
 江藤早奈江が起こした二つの事件(白川一希の弟の誘拐と、田中さん殺しを火事で隠そうとしたこと)の目撃者(他にもずっと見てきたと思います)。事件のことを警察にも語りませんでしたが、自分に負い目があった模様で、最後は傷の舐め合いをしたいからなのか、白川一希と小舟に乗ってどこかへ行きます(多分、自殺なのかな)。

木立省吾(演:井浦新
 フリーのルポライターで行方不明事件と火事の件を結びつけて追っています。木立は偽名で、実は田中さんの親戚?息子?(どんな関係性なのかは不明だけど、隣に住んでいたのかな)。事件を追っていたのは、復讐のためなのか、好奇心のためなのか、ここらあたりはよく分からず。挙げ句の果てに宅間隆に殺されてしまいます。

江藤早奈江(演:夏川結衣
 江藤早百合の母親。男を取っ替え引っ替えして、保険金を掛けたりして殺していた模様。ショタコンでもあるようで、白川一希の弟を誘拐して殺害し(殺害したのはいつ頃かは不明だが、誘拐した10年後くらいまでは遺体を保持していた模様)、田中さんを殺害し証拠隠滅のため田中さんの家ごと放火したときも、白川一希の弟の遺体にまっさきに火をつけるという鬼畜。
 白川一希の弟の事件で逮捕されるも警察には何も語らず、結局は無罪放免になる。田中さんの放火事件も同様に何も語らず、無罪になった模様。警察無能(笑)。
 田中さん殺害後、一緒に住んでいたはずの宅間隆と江藤早百合のもとから出て行った理由は不明。宅間隆が娘にターゲット変更したことが理由のような気がします。

宅間隆(演:佐藤浩市
 元は大学病院に勤めていた模様。おそらく医師だったみたい(大学を出ているというやりとりからの推測)。今は、江藤早百合と一緒に住んでいるが、恋人同士という関係ではなく、肉体関係を持ち、DVするだけの間柄の模様。本人としては、いつも江藤早奈江と江藤早百合母娘の尻拭いをしてやってると思っています。
 気に食わない人物や、お金や貴金属を盗むために平気で人殺しをしているようで、劇中でも2名を殺害。殺害した人は山奥に埋めています(映像では白骨化した死体も確認できます)。
 映画の最後の方でおそらく江藤早百合に家で殺され、家は燃やされた模様。

 何故、赤い雪なのか。赤が象徴的に使われる映画ですが、血の色であるということ、事件の発端であるアパートの路面の色、後戻りできない選択をしてしまったことや何もできずに見ているだけだった後悔の色、なのかな。雪は普通は白いけど、登場人物達には赤く見えているのかもしれない、という意味なのでしょうか。
 それとも、一度白い雪の中に赤い色が染まってしまうと、もう白い雪には戻れない、という意味なのかなー。