ちょっとdisっています。ネタバレも少ししているかな。
ドニーさんのイップマンシリーズは、ドニーさんファンの間ではかなり支持率が高いと思うのですが、私はそんなに好みではないんですよね。それなのに、イップマンシリーズの三作目『イップ・マン 継承』のラストバトルの相手であった、マックス・チャン演じるチョン・ティンチ(張天志)を主人公とした映画を観に行ったのは、予告編でwktkしてしまったこと、イップマン以外の映画も含めてマックス・チャンのアクションが素晴らしいことを知ってしまったためでした。
うん、マックス・チャンの佇まいというか雰囲気は素晴らしい。ハリウッド映画に出ていた当時のりんちぇの雰囲気にも似ているような気がします。憂いがあるけど、内側には青白い炎が燃えているというか。そんなマックス・チャンを堪能できただけでも儲けもんかもしれません。
なのですが、取り敢えず豪華ゲストも呼んで作ってみましたという印象が拭えなくて、あまり楽しめませんでした。映画で中心になるキャラクターであろうチョン・ティンチ父子も、中盤ちょっと空気になってしまったりするし。序盤から中盤にかけての敵である中ボスも大きな制裁もなく(それこそ、劇中で人の命が腕一本なのかよ、ですよw)、ラスト自体の締まりもそれまで溜め込んでいた鬱憤みたいなものが晴らされたかというと、そうでもないような。
チョン・ティンチの生き様というか、そういうのが『イップ・マン 継承』と比較してもあまり浮き彫りにされていないような気がするのです。イップマンに敗れて武術界から身を引いた割には、別に武術自体を捨てているわけでもなく、チョン・ティンチ自身も武術を捨てる気もなく(映画冒頭ではその腕前で裏稼業もやってるぽい描写もありましたし)、単に武術を誰にも教えていない程度(これは結構武術家にとっては重いことなのもしれませんが)としか映らず。格好良いキャラクターではあるけど、物語を中心となって動かしていくには最適ではないキャラクターだったのかな。
私は、物語がダメダメだったのが原因だと考えています。チョン・ティンチというキャラクター、マックス・チャンという役者をどう活かすのか、そのための最善の物語はどうすればよいのか、という視点がなかったように思えます。だから、チョン・ティンチがバティスタとのラストバトルで、詠春拳を再び使い始めるという部分が最高潮に成り切れなかったんだと。
豪華ゲスト陣を起用するのもいいのですが、トニー・ジャーとのSPL2以来の再戦や、ミシェル・ヨーとの戦い自体は素晴らしいのですが、ゲストに華を持たせるためかチョン・ティンチの強さが見せ切れておらず、これってこの映画から観た人には、チョン・ティンチの強さに迷いを生じさせることしかできていなかったように思うのです。そして、それが例えばイップマンに敗れたことが原因であるとか、そういう理由付けも感じられなくて。『イップ・マン 継承』も観ていることが前提ではあるでしょうけど、単にチョン・ティンチクラスの武術家なんてたくさんいるよっていう紹介にしかなってないんですよね。それがまた、有機的にチョン・ティンチと絡み、物語を構築していくわけでもないし。あ、ミシェル・ヨーは絡んでたか(笑)。
チョン・ティンチにボコられたバティスタが這う這うの体で逃げてるときに、トニー・ジャーが肉弾戦で止めを刺すのかと思いきや、毒矢って(笑)。いや、ここで肉弾戦で止めを刺しても、トニー・ジャーが主人公でもないので違うだろというのは分かりますが、毒矢はないだろ、エンセリオマジで。そして、チョン・ティンチにボコられた後の、急に猫っぽく小心者に変身するバティスタの姿は素敵だし、バティスタが焼くステーキはおいしそうだった。焼きあがってから5分待って食べるのがいいらしいです。
香港の警察署長(?)の人が、全日本プロレスに参戦中のジョー・ドーリング選手になんとなく似ているなぁと思いました。