悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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ゾンビ ─日本初公開復元版─

disれるわけねーだろ。

 

 

 

 

 

 『ゾンビ ─日本初公開復元版─』のクラウドファンディングに協力させていただいていて、来年の4月にはBlu-rayが届く予定なのですが、それまで待てずに映画館に行ってしまいました。

 ほんとにこれは奇跡の映画だと思う。時代性(アメリカン・ニューシネマ的な残り香とか)や、前作の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』での成果や効果も踏まえて、いいタイミングだったのかなと、今となっては思ったりします。

 ゾンビというモンスターパニック的要素、それに伴う人間ドラマや当時の世界への批判とか、またそういった小難しいことを考えなくても楽しめるよというメッセージもテンポのよさで提供するといった、全部ごちゃまぜだけど娯楽作に仕上げようという強い意志みたいなものを、個人的には感じました。

 惑星爆発の場面ってこんなんでしたっけ。綺麗になってるというか。なんかもっとしょぼい惑星が爆発してた場面だったような。『メテオ』からの流用でしたっけ。

 初っ端から画面に滲み出る閉塞感、混沌さ、不安を掻き立てるような構成で、映画の世界観をきっちりと提示しているのは流石としかいいようがないです。臨場感というのでしょうか。こういうのはどんどん見習って血肉にしていってほしいと素人ながら思ったり。

 今回何故かピーターの影が薄いなぁと思ったのですが、序盤の地下室でのゾンビ処理の場面での葛藤を乗り越えて以降、彼はスーパーマンになってしまったからかなと。そして、あの四人のキャラの中での彼はアウトサイダーでもあったわけで。彼が観客の視点を引き受ける役割(四人の中でも更に主人公ポジ)のうえ、ちょっと引いて全体を見せるということをしないといけないキャラでもあったから、そういう印象をもってしまったのかも。

 スティーブンがフランに指輪を渡して(結婚を申し込む)フランが断る場面で、彼らにとってあの瞬間こそが既に非日常なわけで(日常はゾンビと共に暮らす日々)、そこを観客に改めて提示したのかなと。そして、観客に対して地獄の中での束の間の幸せから再び地獄へ戻るよという親切な警告だったのかな。何回もこの映画を観てはいますが、初めてこの場面が凄く印象に残りました。

 スティーブンがバイカー集団になんでキレたのか、これまでイマイチ理解していなかったのですが、彼にとってはあの非日常の世界こそが生きてることを実感できるものであり、もう彼にとってはなくてはならない世界を、バイカー集団が壊そうとしたことに我慢できなかったんでしょうね。

 文章がまとまってないけど、一言で言えばこの映画は最高だということです。

 最後に、予告編のラストにも出てきますが、「日本人にとって、このバージョンを見なければ〜」っていうテロップでの煽りは余計です。必要ありません。こういうことするから間口が狭くなるっていうことを、マニアはもっと認識してほしい。