悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ

ネタバレしてます。disってることになるかなぁ。

 

 

 

 

 

 先ずはネタバレなしの簡単な感想から。前半はよかったのですが(この映画は大傑作になるんじゃないかっていう雰囲気がありました)、中盤以降は前半にあった緊迫感や緊張感がなくなり、結果として普通の面白いかなっていう映画に落ち着いたって感じです。時間が長かったというのも裏目に出たかもしれません。

 アナ・デ・アルマスさんの活躍は素晴らしかったです。もっとアクション映画に出てほしいなと思う俳優さんでした。また、ダニエル・クレイグが演じるジェームズ・ボンドのシリーズは一応本作で終了なんですよね。お疲れ様でした。

 

 ここからはネタバレありの感想です。ボンド(ダニエル・クレイグ)はスペクターの幹部だったミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン)の娘であるマドレーヌ(レア・セドゥ)とスパイ引退後の生活を営んでいましたが、ヴェスパー(エヴァ・グリーン、『007 カジノ・ロワイヤル』に出演のキャラ)の墓参り先でスペクターの一味に襲われ、自分の行動や居場所を知られているのはマドレーヌが漏らしているからだと思い込み、マドレーヌとの別れを選択します。

 それから5年後、CIAのライター(ジェフリー・ライト)からナノボット兵器化事件とその開発者についての調査に協力してほしいとの依頼があり引き受けます。キューバ(だったかな)でのスペクター主催のブロフェルド生誕パーティーに潜入したボンドですが、逮捕されて英国の牢屋にぶち込まれているはずのブロフェルド(クリストフ・ヴァルツ)はボンドが来ていることを知っていました。しかし、実はそのパーティーでのボンドは釣り餌で、のこのこ集ったスペクターの皆さんをナノボットを使って殲滅するためのパーティーだったのです。スペクターの皆さんはナノボットであっさり全滅。ボンドはCIAのパロマ(アナ・デ・アルマス)との共闘もあり、新007(ラシャーナ・リンチ、ノーミという名前です)も狙っていたブロフェルド生誕祭の場所にいたナノボット開発者の確保には成功しますが、ライター達との合流先の船で、ライターのパートナーであったアッシュ(ビリー・マグヌッセン)に裏切られ格闘の末にライターは死亡、船を爆破されましたがボンドはなんとか生き延びます。

 MI6に復帰したボンドは、牢屋にぶち込まれているブロフェルドが唯一面会可能な医師になっていたマドレーヌと再会します。マドレーヌはサフィンラミ・マレック)にマドレーヌの大事な人の件で脅され、ブロフェルドだけを殺せるナノボットを手渡され殺害を依頼されます(この時点ではマドレーヌはナノボットが何かというのを知りません)。ボンドと再会したマドレーヌは、結局ブロフェルドを殺すことができずその場を後にしますが、マドレーヌ経由でボンドにブロフェルドだけを殺すナノボットが感染していました。マドレーヌが脅されてブロフェルドを殺そうとしていたことをこの時は知らなかったボンドはブロフェルドとの質問タイムで脅しのつもりでブロフェルドの首を絞めてしまったが故に殺してしまうことになります。

 真相を追うためマドレーヌの実家に赴きますが、そこにいたのはマドレーヌとその娘でした。はい、ボンドとの間にできた子供でした。その家に今回の敵であるサフィン一行が襲撃を仕掛け、マドレーヌと娘を攫ってしまいます。そしてアッシュを追っていた新007がノコノコとやってきて、若干切れ気味のボンドです。

 サフィンの本拠地は日本とロシアの国境付近のロシアの廃棄された基地がある島で、ボンドと新007とでかちこみます。マドレーヌと娘を救出し、サフィンの計画(ナノボットを世界に放ち人類抹殺すると脅して各国からお金儲け)を潰すために近くにいた英国軍艦からのミサイル攻撃を要請。最後に残ったサフィンを殺しますが、その時のじゃれあいでおそらくマドレーヌとその娘に有効な(触れると殺してしまう)ナノボットに感染。時間もなく逃げる方法もなくなったボンドはミサイル攻撃を浴びて死亡。マドレーヌは娘にボンドの話をし、MI6のメンバーはボンドを悼んで終了です。

 あ、一番の大きなネタバレはね、「ボンド土下座」ですよ、マジで。

 

 ここからかなり長くなりますが、本作観賞後の私の感想です。今回の敵であるサフィンを演じたラミ・マレックが、メインの敵役とはいいながら登場時間があまりないというのも原因なのか存在感がなかったんですよね。キャラクターとしては薄幸な雰囲気を出さないといけなかったと思うので、それで存在感が薄くなってしまうのは仕方がないとしても、スペクターの組織を殲滅?させるくらいの活躍をしているのに小物感が充満していました。

 また、サフィンがメインの敵役ということから結果的にスペクターという組織を噛ませ犬に使ってしまうことになり、ブロフェルドが監獄に収容されながらもスペクターを指揮していたという展開での脅威が薄まってしまったのも問題でしょう。

 サフィンの復讐の動機も分かるのですが、マドレーヌに固執する気持ちがあったとしても何十年も(少なくとも20年くらいは)接触はなかったわけで。監視はしていたかもしれないけど。それとボンドに対する気持ちもよく分かりませんでした。マドレーヌの恋人だからいたぶりたかったのか、ブロフェルドの義理の兄弟だから憎さが伝播したのか、単に自分の計画遂行にあたっての脅威になるから排除したかったのか。

 サフィンがマドレーヌを脅してブロフェルドを殺してほしいと依頼するときに、断るとマドレーヌにとって大事な人の命が危ない(サフィンはマドレーヌがボンドとの娘を極秘出産し育てているという情報を知っている)というような駆け引きをします。劇中ではまだ娘は登場しておらず、マドレーヌにとって大事な人とはボンドであろうというミスリードをもたらしたかったのと、マドレーヌはやはりボンドを裏切っていたのかという思い込みを観客にさせたかったのも分かるのですが、それをしたことでマドレーヌとサフィンの関係性というか、サフィンのマドレーヌに対する感情が見えなくなってしまったように感じました。つーか、マドレーヌもMI6とツーカーなんだから娘共々保護してもらったらよかったのに。サフィンも場所を知ってる昔のセキュリティがガバガバ(笑)な、近くに誰もいないような家に逃げ込むのもどうなんだろうかと。こういうところが緊張感を削いでしまうことになったのかな。

 マドレーヌがなんでサフィンとの過去の出来事をボンドに秘密にしていたのかも分からないポイントでした。自分が殺されかけたので逆襲しましたが、逆に敵に命を救われましたっていうだけじゃんかと。前作の『007 スペクター』でもちらっと話していたような気もしますが、本作にあたってダニエル・クレイグ版の007を一応全部鑑賞し直したんですが、記憶力が曖昧で思い出せません(笑)。

 新007のキャラが弱く描かれているのもどうなんだろう。演じた俳優がどうこうではなく、なんかほぼ活躍しないまま終わったという感じでした。しかもブロフェルド生誕祭での場面はパロマの方が能力が高そうにしか見えなかったし。展開としてもパロマの活躍でボンドは所期の目的は達成し、新007はドジったわけですから。これなら新007というキャラを出さない方がよかったのかもしれません。007の番号をボンドに返す場面だけはよかったけど。その為だけに設定したキャラだったんかな。パロマがライターの仇討ちという形で最終決戦にボンドと共に殴り込むという展開の方がスッキリしていたような気がします。

 エンドロールの終わりに「JAMES BOND WILL RETURN」と表示されるのですが、この意味は次は別の俳優で007映画を作りますよ、次回作は新しい俳優が演じるジェームズ・ボンドの登場ですよっていうことなのは分かっていますが、ダニエル・クレイグ版の終わりの作品で、しかもダニエル・クレイグ演じるボンドは死亡しているんだから、これはないんじゃないかと後味悪かったです。そんなことは書かれなくてもほとんどの人が分かっていることだろうし、わざわざエンドロールの終わりに報告することじゃないです(これまでもこのテロップって出てましたっけ?)。

 シリーズ物共通の欠点で、それまでの作品を観ていないと楽しめない、理解できないというのがあったりしますが、本作はその傾向が強いというか、ダニエル・クレイグ版の最終回でもあるので、敢えてそうした部分もあったでしょうけど、それが大きな欠点にもなってしまったかなと思いました。

 今回のボンドは今まで一番無双していたような気がします。目の前で爆発が起こってもすぐに立ち上がるし、目の前で手榴弾が何発も爆発してもすぐに立ち上がるし、腰部や足に銃撃を受けても少ししたら立ち上がって普通に歩くし。軍艦からのミサイルもほぼ直撃ぽかったけど、なんか本作のボンドならそれでも生き残るような気がしないでもないです。そういう演出から、ボンドは死んでないだろうという感想を持つ人の気持ちもなんとなく理解はできます。あ、次回からはダニエル・クレイグがサイボーグ007として活躍するのか。スキンヘッドにしないとあかんけど。

 最初に画面に登場したときのボンドは呆けて老けたなーという表情だったんですが、そこから襲撃され、それを撃退している間にすっかりとエージェントの表情を取り戻すという展開は胸熱でしたね。これはダニエル・クレイグの演技力の賜物ではないでしょうか。

 オープニングはよかったんですよ。マドレーヌの父であるミスターホワイトに家族を殺されたマフィンはミスター・ホワイトを殺しにきますが、ミスター・ホワイトは不在で飲んだくれのアル中?の母親は殺すことはできたものの12歳か13歳くらいのマドレーヌには隙を突かれて銃撃を食らって死んだかと思われましたが蘇生します(防弾チョッキを着てたんかな)。マドレーヌが恐怖で逃げようとしたところは氷上の湖で氷が割れて落ちてしまいます。必死で助けを求める表情のマドレーヌを見て、サフィンはマドレーヌを助けます。おそらく、自分の家族がミスター・ホワイトに殺されたときの表情と似ていたのか、その時の状況を思い出したからが助けた理由なのだと思います。

 脚本の段階でも色々と変更とかがあったようで、それがしっかりと整理し直されていない状況で撮影に入ってしまったのかなという感じがしました。それでも、及第点以上に仕上げてくるところは流石なのですが、本当に何度も書いてしまいますが前半が素晴らしいを超えた内容だったので、それが全編にわたって持続しなかったことはとても残念で、観賞後の印象もそれに引きづられてしまいました。

 

ザ・ハント

disってるかな。微妙にネタバレもしてます。

 

Amazonプライム・ビデオにて鑑賞

 

 

 本作もツイッターとかで評判がよく、アマプラにあったので鑑賞しました。最後の戦いの前までは凄くよかったのに、最後の戦いで大きくズッコケてしまったのは残念です。あれはないわーって感じです。「今までの苦労が水の泡」を映像にしたかったのかと思ってしまいました。

 こういう映画は最後の戦いの描き方も肝心だと思うのです。しかも演出上の匂わせで主人公とラスボス(狩る側のリーダー、ヒラリー・スワンクが演じています)とのタイマン対決がずっと煽られているのに、それが単純で安直な昔風味のキャットファイトになってしまっていたのは本当に残念というか無念ですよ(笑)。

 劇中でこれまでほぼ無双してきた主人公が、訓練8ヶ月の素人と互角の戦いを繰り広げての薄氷の勝利なんてどういうことなんだよって感じなのです。しかもハイレベルな攻防があるわけではなく、これはどう見ても訓練8ヶ月の素人同士の戦いだよねっていう描写になってしまっているのが……。それまで育ててきたテンションが一気に悪い方に切れてしまった感じがしました。

 ラスボスが才能あって8ヶ月でもここまで成長したという理屈だとしても、映像を見る限りではそう捉えられません。劇中の設定的にも厳しいです。ラスボスを訓練したのは戦争未経験の元州兵で、その人も主人公にあっさりとやられていたりします。弟子が必ずしも師匠よりも弱いわけではないけど、描写としては説得力に欠けるとしか言いようがないかなと。

 リベラルのお金持ちで才能にも溢れている人物ということで、少し訓練しただけで(お金持ちでないであろう)百戦錬磨の主人公と渡り合えるんですよっていう意味を込めていたとしたら、もっとラスボスの動きはよくないとダメだし。主人公役のベティ・ギルピンも徒手空拳の格闘アクションは苦手だったのか、ラスボスのヒラリー・スワンクと二人して腰が引けた戦いを繰り広げるのが映像になっている以上、ラスボスが格闘センスがあって強いという表現にはなり得ないでしょう。

 最初の展開から誰が主人公か分からず、主人公っぽい容貌や動きをした人をあっさりと屠り意外性を出すことに対しては成功はしているんですが、狩られる側の人達が猿轡をされて初めて目覚めた後に、本当の主人公をしっかりと主人公として分かるように映してしまっているのは製作側の自己顕示欲の現れだったのかな。ここはもうちょっとぼかしてよかったとも思う。単純に同じ画面にいたな程度の演出でよかったのではないでしょうか。

 リベラル層と保守層の争いという要素もあるようですが、実際はそういった要素を利用して人間が狩られるゴア映画を作りたかっただけで、深い政治的思想を込めたっていうものではないと思います。劇中でもキャラを通じて語っているように、ステレオタイプを映画の味付けとして利用しているだけなのでしょう。

 主人公は人違いでこの人間狩りに徴集されてしまうんだけど、本作の感想をググってみて本当に人違いだったのかという意見もあってびっくりしました。私は設定としても人違いだったと思っています。主人公の卓越したサバイバルスキル、イントネーション(発音とか訛り)でどこの国か判別できる能力、相手との会話で自分にとって必要な答えを引き出せる話術、警戒心、武器の扱い方、沈着冷静な判断力(最後はなくなったけどねw)。本人曰くアフガンで服役したこともある。こういった能力を兼ね備えているのに、(誤解を恐れずに書けば)12歳から職を転々とし、一つの職に長く付けず、生活保護にも何度も頼るといった人生の中でこれら全てを身に付けるのは無理とは言わないけど、かなり難しいと思う。主人公はアラフォーくらいの設定だと思うけど、12歳から28年程度しっかりと訓練してもそれだけ身に付けることができるかどうか。そういうことを考慮すると、劇中世界で主人公はそれらをブラフではなく実際に能力として身に付けているので、やはり人違いという設定だったと思います。

 州兵だった元軍人の顧問もいて、狩る人間の情報を全て調べているのに(あ、全てではないかも)、そんな能力を身に付けた人を呼び込むわけはないでしょう。勝ち目ないし、現に負けてるし。州兵の元軍人の顧問に戦争童貞なんて言い放つ主人公ですよ。序盤に自分の名札をなんか苦笑しながら見つめていますが、ここも主人公としては「また人違いだよ、スペルが違うよ(主人公と近くに住む同姓同名の人は名前のスペルが異なるという違いがあるようです)」っていう意味というか演出だったように思います。

 職を転々としてるから色々な人と巡り会うこともあり、それで言語のイントネーションを覚えたということも言えるし、職を転々の中で軍人だった時代もあったということも言えます。しかもこれは映画だし主人公補正もあるでしょうし。引っ掛かるのは狩る対象とされた発言時の写真ですが、あれは狩る側の人が見つけた写真というだけだったのかな。それと、州兵の元軍人の顧問を殺す時に見せた涙はなんだろうというのはありますけどね。人違いじゃないですよっていう誤情報を観客に提示して混乱させようという演出上の意図があったのかな。

 と色々と書いてみたけど、この映画は「騙す」がキーポイントということを考えれば、主人公は人違いかもしれないし、実は主人公も騙そうとしているんですよと、どちらとも言えますと敢えてぼかしている可能性もあるのかな。もしかしたら、製作中に設定が二転三転したのかもしれません。狩る側の人達も結構お間抜け揃いでしたし(笑)。

 

孤狼の血 LEVEL2

disっています。

 

 

 

 

 

 前作で狼になった(なるのかな)と思っていた松坂桃李さん演じる日岡刑事でしたが、本作では調子に乗ってる子犬でしかなく、最後は泥水啜りながら本物の狼を追い掛けてしまうという映画でした。

 前作も主人公は松坂桃李さんでしたが、役所広司さんの存在感は凄かったんだな、映画の柱、土台となっていたんだなというのを思い知らされました。

 簡単に言うと色々と狙ったけど悉く外してしまった感じの映画でした。前作は仁義なきシリーズというか東映やくざ映画へのリスペクトに溢れていましたが(原作未読ですが原作もそんな感じらしい)、今回はリスペクトじゃなくて模倣に走った結果の体たらくと言えば言い過ぎかな。

 鈴木亮平さん演じる上林もネジが何本も抜けたぶっ飛んだ悪党ですが、何故そうなったのかっていう回想が入るため、なんか悪役としてはイメージ的に凄みが後退してしまったかな。上林は映画オリジナルキャラということもあって、色々と肉付けしたかったのが理由でしょうけど、もっと意味不明な匂いを持たせた「悪」の方がよかったかな。

 日岡刑事が中村梅雀さん演じる公安の瀬島刑事に騙される展開も意外性だけに頼っていたように思います。日岡刑事と瀬島刑事は相棒だったとはいえ、二人の関係性が深く描写されるのって瀬島刑事が用意した偽夫婦での食事会程度なので、日岡刑事の世間知らずさだけが浮き彫りになるだけで、日岡刑事が結局一人で三年間頑張ってきて、誰にも頼れなかったところでの心を許した相手である瀬島刑事の追い込みで陥落という表現ができていなかったように見えました。まぁ、ジャコパス好きなベーシストになら騙されても仕方ないでしょうけどね(笑)。

 最後に日岡刑事が左遷?されて県内北部の田舎の駐在所勤務になるんですが、そこでは普通の警官の制服を着ているのですが、ブカブカだからなのか似合ってなかったのはほのぼのポイントかな。

ベイビーわるきゅーれ

ネタバレしてます。面白かったと言いつついつもどおりdisってもいます。でも、この映画は是非観てほしいと心から思っています。

 

『ベイビーわるきゅーれ』

公式サイト:https://babywalkure.com/

 

 

 

 

 コロナ禍で色々と制限が出てから以降初めて映画館に行ってきました。1年半ぶりくらいでしょうか、映画館での鑑賞は。Twitterでいい評判を目にしたのと、上映時間のタイミングが合ったことから本作の鑑賞となりました。

 日本映画の悪いところもいっぱい詰め込まれていますが、それを雰囲気、熱量、アクションでねじ伏せた映画だと思います。こんな映画は初めて観ました。良くも悪くも今の日本でしか作れない映画だなというのが端的な感想です。

 また、本作は主人公である「まひろ」役の伊澤彩織さんのための映画だと言っても過言ではないでしょう。共演者、製作陣、物語、その他全てが彼女のために存在したんだなと。観賞後は彼女の印象しか残っていませんでした。

 世界観はジョン・ウィックシリーズに似ているかなと思います。現実世界をベースとして映画独自の設定があるという感じでしょうか。現実寄りのファンタジー世界と思って鑑賞されると、すんなりと映画の世界に入っていけるかと思います。

 女性二人組の殺し屋は、高校卒業後は社会経験を積むために殺し屋以外の仕事をするようにと所属している会社から伝えられ、一人は喫茶店メイドカフェでアルバイトを、もう一人はアルバイトの面接に落ちまくるという日々を過ごしていました。ある日、仕事で殺した893関係の人の件でトラブルに巻き込まれたり、ひょんな弾みでその893のボス(組長?)を殺害しちゃったことで、893ボスの娘やその相方、娘に雇われた人達と激戦を繰り広げたりしつつ、殺し屋家業に専念する日常に戻っていくというお話です。殺し屋という職業を続けていくことが二人にとっての生活(=日常)であり、これからもダラダラのんびりと殺し屋として頑張っていきますというところで映画は終了です。

 最後の激闘が素晴らしかったです。伊澤彩織さん演じる「まひろ」と、三元雅芸さん演じる「渡部」(そういう役名だったのか)のタイマンバトルがほんまに素晴らしいんですよ。一応本作内での(格闘系では)最強キャラであろう渡部の見せ方もよかったですし、その最強相手に劣勢になりながらも冷静に食らいつき、最後は機転を利かせて逆転勝利するというまひろの見せ方もよかったです。

 徒手空拳での格闘では分が悪く床に転がっている拳銃を拾いに行こうとするまひろと、それに気付き阻止しようとする渡部でしたが、実はまひろはそこを計算に入れていて(というか渡部はそう動かざるを得なかったけど)、二人同時に拳銃を拾いに向い、二人の軌道が交差するポイントでまひろは軌道を変えて渡部にカウンターの頭突きを喰らわすという展開ですが、映像でしっかりとそうなるよっていうフリを見せつつ(ここは意外性を重視してもう少し隠してもよかったような気もします)、そこがキーポイントとなってまひろは銃を拾うことに成功し渡部を撃ち殺します。主人公補正があまり強くない描き方で、まひろの殺し屋としての(おそらく)場数の差が出たのかなという演出でよかったです。

 主演の二人は『ある用務員』という映画にもJKの殺し屋役で出ているんですね。その設定を膨らませて本作を作ったみたいです。その映画も観たいなー。

 ちょっとここからdisってしまいます。先ず、録音というか、音声のレベルが若干不安定でおかしかったような気がします。もうちょっと全体的に聞き取りやすいように調整してほしかったところです。特に伊澤彩織さんがボソボソ話す言葉が聞こえにくいというのは演出上の都合もあるんだけど(何を話しているかを観客に提示したいからではなく、彼女がコミュ障ではっきりと言葉にして伝えるのが不得手というのが特徴のキャラだというのを説明したい)、技術的部分がダメだからそうなっているのかというのがちょっと不明瞭というか、混在しちゃってるというか。

 物語の展開としては、ちさとが一回渡部に殴られて気絶させられ拳銃も盗まれているのに、その後は特に何もない(盗まれた拳銃を使われていたり、それを返せーという展開はあったけど)のは初期の平成仮面ライダーっぽい(笑)なと。昭和ライダーが怪人に負けるっていうのは一大事だったのに、平成ライダーは負けても平気というか。昭和ライダー平成ライダーとでは世界観が違うから単純に比べられないけど、なんかモヤったんですよね。それと似た感情が湧きました。後述する時系列をいじってしまっているのも仇になっていたかな。

 時系列をいじくる意味や必要性はないように思えます。映像的に効果的な場面と物語の時系列が一致しないからという選択でしょうけど(あ、そういう部分では意味はあるのかw)。オープニングは主人公のアクションを見せたいがための妄想設定にしたのでしょうから、本作ではその手法というか方法論を継続して展開させた方がいいように思えました。

 最後になりますが、続編は作ってほしくないですね。人気が出たら作れそうではありますが、そうなると本作の魅力が低下しちゃうと思うのです。余程続編が凄いものにならない限りは。本作と同じ雰囲気を作るのなら本作の劣化コピーにしかならないし。二人の今後を描くにしても、シリアスハードに振るか、もっとゆるふわ系に振っていくかくらいしか選択肢はないでしょうから、どちらにしても本作を気に入ったファンを満足させられない蓋然性が高いでしょうし。本当に絶妙なバランスなんですよね、本作は。あの二人はこれからどうしていくのだろうと観客に妄想させているのが一番幸せなんじゃないでしょうか。

 久しぶりに映画観賞後、その映画の世界というか雰囲気というか、心をそこにずっと浸らせていたいと思えた映画でした。

youtu.be

EMMA/エマ デッド・オア・キル

ネタバレしています。disっています。

 

 

 

 

 

Amazonプライムビデオにて鑑賞

 

 作りたいものは分かるけど、頑張りだけではどうしようもないということを証明してしまっている映画かな。いい場面もあるけど無駄な場面の方が多く、そのことで展開も怠くなっているし。丁寧に描いているから時間が長くなってるんじゃなくて、無駄な場面を散りばめているから時間が長くなってることに製作陣が気付いていないところが問題なのかもしれません。

 演出力はあり、ある場面だけで状況も登場人物もしっかり描けているじゃんと思うのですが、それを掘り下げるでもなく、以前の場面と同じ目的と結果をもたらす機能しかない別の場面を入れ過ぎているといいましょうか。はっきり言えばくどいんですよ。こういう映画ってテンポも大事だと思うので、それはかなりな失策でしょう。

 主人公の行動に一貫性がないのもダメかな。逃げたいのか、敵を迎え撃ちたいのかはっきりしない。そのはっきりしなさを主人公の葛藤の表現としているのかというとそうでもないし(覚醒する前の一場面だけ葛藤の場面がありますが)。迎え撃つにしても覚醒までがやたら長くてイライラします。父親に幼少の頃から鍛えられていて、父親も銃の扱い以外は高い能力を持っていると言う割には弱い、ほんとにかなり弱いというのも映画自体の弱さに直結しています。

 総括すると、主人公も敵も頭が弱すぎるという風にしか見えないのがこの映画の最大の弱点。演じる役者さんもアクションが下手なのか強さを感じない動作なのも、その弱点をより致命的にしているように思えます。

 主人公のエマは彼氏と喧嘩中の小学校の教師。夏休みに実家への帰省の途中、周りには何もない砂漠地帯で車が故障し助けを求めて銃声のする方に向かうと(何故そっちに向かうw)、コカイン運搬中の犯罪グループが偶然出会した警官を拉致って殺そうとしている現場でした。犯罪者グループの一人が警官を撃った時、エマは持っていたビンを落として割れてしまい、その音で犯罪者グループに見つかり捕まります。

 警官は死んではおらず、なんとか方々の体でパトカーまで戻りエマを見捨てて応援を呼ぶ為にパトカーで逃げますが、犯罪者グループのボスはライフル射撃が得意で逃げる途中の警官を撃ち殺します。その隙にエマも逃げ、自分の車に戻って逃亡(というか歩いて実家に帰ろうとする、かな。この場所から自宅までは40キロ程です)するための準備をします。

 犯罪者グループはエマを追いかけます。エマもダラダラと逃亡し、犯罪者グループの一人に追いつかれます。暴力は嫌いといいつつ、やっとここで覚醒して犯罪者グループの一人をナイフで滅多刺しで屠ります。ここで映画が始まって一時間ちょっとくらいです。長い、長いよ。

 その後、はっちゃけたエマさんは犯罪者グループを一人ひとり屠っていきますが、兎に角強くない(笑)。なんとかぶっ殺してるって感じです。犯罪者グループも頭が弱いので、いい勝負になっています。

 最後は犯罪者グループのボスが何故かライフルでエマさんを撃てるポジションにいながらも撃たず、エマさんの挑発に乗り、普通の銃で西部劇のような対決の図式となります。エマさんは犯罪者グループから奪った二丁の銃をジョン・ウーの映画張りに二丁拳銃として装備し、対決に望みます。エマさんは父親曰く銃の扱いだけはうまくならかったのですが、このボス戦で開眼しなんとか撃ち勝ちます。

 満身創痍でとぼとぼと歩いてエマさんは父親が待つ実家に戻ります。泣いてエマさんを迎える父親。つかあんた、娘が本気出したら楽勝とか言って自信満々だったじゃねーかよ(笑)。娘さん、ごっつ辛勝でしたよ。その後、病院のベッドからスマホで彼氏に詫びて喧嘩も仲直りして映画は終了です。

 エマが切れるまでの展開はもっとシンプルでいいし、その後はエマさんが圧倒的に犯罪者グループを屠っていくというお約束の展開でよかったと思う。

エンド・オブ・ステイツ

ネタバレしています。disっています。

 

 

Amazonプライムビデオにて鑑賞

 

 やっと観れたー。『エンド・オブ・ホワイトハウス』も『エンド・オブ・キングダム』も好みの映画だったので期待していて公開時に観に行こうと思っていたら、いつの間にか公開が終わっていたんですよね。ちゃんと確認していない私が悪かったのですが(泣)。

 簡単に一言で言うなら「ジェラルド・バトラーはかっこいいけど、それだけの映画」ですね。

 お話の弱さと甘さに、ジェラルド・バトラーの絶対やられない感が相まって、過去二作に比べると質も満足感も低いものになってしまったように思えます。副大統領が黒幕とか、主人公の友人が実行犯とか、その実行犯は主人公の今の境遇を羨んでいて自分も最前線で燃え尽きたいという気持ちがあるとか、FBIの捜査官は間抜けだとか。そういった使い古された設定や展開ばかりを選んで、捻りも加えずに作劇してしまったのが大きなミスだったのではないでしょうか。

 製作自体は丁寧にされているので(ハリウッドのビッグバジェット系ですし)、シリーズ云々は置いといて、ジェラルド・バトラーではない別の俳優を主人公とした映画ならもう少し緊迫感は出せたかもしれません。難しいところです。

 しれっと最初に書きましたが、副大統領がロシアと戦争したがっていた(強い米国復権のため)のが事の発端です。軍縮路線の大統領を抹殺して自分が代理で大統領になることで戦争を仕掛けようとしたのでした。おそらく、自分が大統領選に出馬しても大統領にはなれないことは分かっているので、大統領の権限を代理でもいいから使うために大統領暗殺を計画したという経緯の設定と演出だったように思います。

 主人公の友人は米軍で同じ戦場にいた同期みたいなもので、今は民間軍事会社を経営していますが、大統領の軍縮路線の影響もあってか赤字経営となっています。そこをジェラルド・バトラーに昔のよしみでなんとか仕事を回してよとお願いしつつ、ジェラルド・バトラーを自分達の身代わりとして大統領暗殺の犯人に仕立てあげようとします。この人はこの人で戦場を求めていたというか、訓練ばかりではなくそれを実践で試したいという気持ちが燻っていての暴発といったところでしょうか。

 よかったところは結構ネームドキャラがあっさりとお亡くなりになるところです。その中でも物語の中心にいたFBIの現場指揮官のお姉さんですが、真相に近付くも主人公の友人に殺されます。その殺され方が、エベレストに登るのになんの登山装備もせずに向かうという無謀さなのはちょっととまどいましたね。まじっすかっていう感じですよ(笑)。そんな展開的だったので、これはFBIのお姉さんも犯人一味だということか、と思った直後にあっさり殺されちゃいましたから。これならFBIのお姉さんのキャラが出てる意味がないよなって。あ、こう書くと悪かったところになっちゃうな。

 大統領の補佐官みたいな人も大統領を結果的に庇った形になってしっかり殺されてしまいました。印象に残る殺され方でした。おいしい役というやつですよ。

 ジェラルド・バトラーの父親役でニック・ノルティが登場します。やさぐれ感とかも含めてなんか二人の雰囲気が似ていてよかったです。父親も軍人でしたが、戦争によるPTSD(なのかな)でジェラルド・バトラーと母親を見捨てて失踪していたという設定です。森の中に家を建て、自給自足の生活をしつつ、しっかりとモニターを設置して来訪者をチェックし、家の周りには地雷を埋めたりと、一体何を恐れているんだよって感じでしたが、それらもまだ心は戦場に置いたままという表現なのでしょう。

 大統領が目を覚ましジェラルド・バトラーの冤罪も晴れますが、犯人一味に病院は爆破され追い込まれるものの、大統領を隠した部屋をわざと無防備にし、誰もいない部屋を残った戦力で守る(という風に敵に見せかける)作戦が成功してなんとか救援部隊が到着するまで大統領を守り切ります。

 ジェラルド・バトラーと友人は病院の屋上で一騎討ちをします。銃撃戦からナイフを使った戦いとなり、最後はジェラルド・バトラーが友人の心臓を一刺しして争いに終止符を打ちます。

 ジェラルド・バトラーは長年の後遺症からか体がボロボロで大統領の警護官を辞めようとしますが、大統領に説得されセキュリティサービスの長官の話を受諾して映画は終了です。と思いきや、父親と多分一緒に暮らすことになり、二人揃って胡散臭そうなリハビリセンターで悪態ついてる場面で本当に映画は終了です。

 余談ですが、大統領をコードネーム(?)で「パスファインダー」と呼ぶのですが、そう呼ばれる度にウルティマオンラインを思い浮かべてしまいました。

 これがシリーズ最終作になるのかどうか分かりませんが、もう一作、ガツンとくる内容で終わるようなものを期待したいです。

青木篤志選手のこと

 7月22日の後楽園ホール大会でもメモリアルマッチが開催された、2019年6月3日に亡くなられた青木篤志選手のことについて書いてみます。メモリアルマッチでの佐藤光留選手の試合後のコメントで「根本的には1日も忘れていない」という発言がありましたが、忘れていないというよりも忘れられないんだろうなと。もうあれから2年も経つのか。

 初めて彼の死を知ったのは丁度ツイッターのアプリを起動した直後に流れてきたみちのくプロレスのツイートでした。最初はツイッターを使った交流戦開始とかのアングルかと思いました。本当に。それだけ唐突で突然過ぎた情報でした。

 彼への印象は面倒くさくて気難しく頑固なところがありつつ茶目っ気もあるという掴みづらい性格だけど(要するに本人も認めているようにややこしい性格ということですね)、リング上では基本に忠実にどんな展開(シリアスだろうがお笑いだろうが)にも柔軟に対応できるという選手というものでした。

 誤解を恐れずに書けば、私は青木選手のファンだったことは一度もありません。ニコプロでの彼の番組において彼の意見・言動に頷ける部分もあればそれは違うだろという部分もありました(番組は大好きで楽しみにしてましたけどね)し、彼の試合自体もプロレスはうまいなぁ、いい試合運びをするなぁとは見ていましたがそんなに好みではありませんでした。 

 秋山体制になってからの全日本プロレスを支えたのは、技術的な面では青木選手だったことは間違いありません。彼の指導によって全日本プロレスの選手や試合が一定の品質を保てていたと思います。全日本プロレスにおいて彼が若手を指導していたことも知っていますし、目の前で指導している場面を見たことも何度かあります。(ファンクラブ会員特典で早く会場に入れたため。)

 また、青木選手は秋山選手と諏訪魔選手を繋ぐ役割というか役目を担っており、だからこそEvolutionというユニットに居続けたのでしょう。これが一番重要だったのかもしれません、今になって思うと。

 現役選手で唯一「王道」を継ぐことが許される資格を持った秋山選手と、武藤全日本の代表選手でありここ数年の全日本プロレスを支えてきたという自負がある諏訪魔選手。この二つを分離させないことが2013年以降の全日本プロレスの復活の条件の一つだったと思いますし、それは成功したのではないでしょうか。

 結果的に秋山選手はDDTに移籍しましたが、青木選手がいたならどうなっていたのだろうか。それを妄想することが多くなりました。

 以前に書いたことの繰り返しとなりますがニュースや諸々の情報から推測すると、秋山選手は元々長くは社長業を続けるつもりはなかったこと(東スポの記事では5年程度で実際も5年だったかな)、社長に据えてくれた馬場元子さんの死去、社長時代の最後の方はかなり経営がきつくなりかけていたであろうこと、次世代を担う選手が揃ってきたこと、自分が社長であるることで閉塞感が出てきていたこと、諏訪魔派との意見や今後の方向性の相違・乖離が大きくなってきていたこと、それらが積み重なって秋山選手は去っていったと思っています。簡単に言えば自分の居場所がなくなったから。

 でも、もし青木選手が存命であれば潤滑油として社長業(経営者として)は退いていたとしても、選手として最後の火花を散らすために全日本プロレスには残っていたのかなと。そして、ジュニアヘビー級戦線も岩本選手への負担も減りもっと活発になっていたかもしれない。そう考えてしまいます。

 まぁ、タラレバを書くとキリはないけど、低迷し潰れかけた全日本プロレスを救ったのは宮原健斗選手が最大の功労者ではあるけど、それを支えたのは青木篤志選手の指導力と技術力だろうし、その道筋をお膳立てしたのは秋山選手だったということは否定できないと思うけど、そんな青木篤志選手がいないというのは、やっぱり寂しいよ。

ヘビー級とジュニアヘビー級

 プロレスには大きく分けて、ヘビー級とジュニアヘビー級という体重別の階級があります。団体によってはジュニアヘビー級ではなく、ウェルター級だったりクルーザー級だったりする場合もあります。ヘビー級は100kg以上(全日本プロレスは105kg以上だったような)、ジュニアヘビー級は100kg以下という分け方が多いかと思います。

 私としては格闘技とかも含めて体重だけで区別することに疑問しかないのですが、ここではそれは置いておいて、もうかなり前からになりますがプロレスにおけるヘビー級とジュニアヘビー級の違いが分かりにくくなっていると感じています。

 もっと端的に言えば、過去ならジュニアヘビー級だったであろう選手や、体重面で100kg以下(80kg台の人も)の選手も宣言次第でヘビー級に区分されてしまうようになりました。これには様々な事情があるのは分かりますが、それならもうヘビー級とジュニアヘビー級という区分もなくせばいいのにと思うこともあります。ドラゴンゲートみちのくプロレスとかはそのようにしている団体ではないでしょうか(そうなっている事情はあるでしょうし、新興団体だったからそうできたとも言えますが)。中にはDDTWRESTLE-1のようにフラッグシップのシングルのベルトをヘビー級ではなく無差別級(実際にはヘビー級扱いですが)としている団体もあります。

 プロレスの設定としては、ヘビー級の選手の方がジュニアヘビー級の選手よりも強いという形が殆どです。それまで、ジュニアヘビー級という同じ階級で鎬を削ってきた選手の一人がヘビー級へと転向すると、体型的・体格的にはあまり変わっていないのに急にジュニアヘビー級に留まっているもう一人の選手よりも強い設定になったりします。プロレスラー自身も体型的・体格的にヘビー級にいけるなら、ジュニアヘビー級よりもヘビー級で戦いたいと思う人がほとんどだと思います。特に老舗団体所属なら。団体内でのプッシュも違ってくるし、どうしても大きく注目されるのはヘビー級ですから仕方がないというか、そこを目指すのは当たり前だとも言えます。

 私が主に観戦している全日本プロレスに限った話となりますが、他の団体と比べても全日本プロレスの売りの一つがでかい選手がぶつかり合うプロレスというものであったことや、日本のプロレス団体では近年稀に見る大型選手が集う場だったこともあり、見た目的にもきっちりとヘビー級とジュニアヘビー級という区別がなされていたように思います。だからこそ、佐藤光留選手や岩本煌史選手のように、ジュニアヘビー級でありながらヘビー級にも対抗していくという戦い方もアリでした。ただ、最近そこがぼやけてきているように思うのです。

 全日本プロレス新日本プロレスのように所属や専属の選手ばかりで興行を展開していけるのなら大きな問題にはならないとは思うのですが、今でも所属選手以外にフリーや他団体の選手にも参戦していもらっているのが常態化(←悪い意味ではありません)している状況においては、もう少しヘビー級とジュニアヘビー級との区分について明確に、観客やファンに対しても見た目的にも分かりやすく整理した方がいいか、ジュニアヘビー級の選手だからといってヘビー級の選手に負けることはないという設定をこれから徹底していくか(これは岩本煌史選手のヘビー級本格参戦で変わっていくかも)だと思います。

 他団体ではヘビー級でも全日本プロレスの区分ではジュニアヘビー級となるような選手の扱いが、これまでは他団体での扱いそのままにほぼスライドされてきていました。ドラゴンゲートから呼ぶ選手は基本的にはジュニアヘビー級として取り扱っているように(ドラゴンゲートでも大きめの選手であった鷹木選手や吉田選手の扱いは違いましたが)、その他の団体の選手もそのような対応が必要ではないでしょうか。

 まぁ、何が書きたかったのかというと、ヘビー級やジュニアヘビー級の区分を設けるのなら、観客やファンにも見た目的な面で納得できる境界線を示してほしいということです。これからの時代、グレーゾーンで勝負というのはなかなか難しいことでしょうし、全日本プロレスの場合は大型選手同士の迫力ある戦いが最大の売りだとも思うので、そこをよりはっきりと示さないと今のようにプロレス村から脱しきれず、限られた少ないパイの奪い合いという状況から抜け出せないと思うのです。

 個人的には身長180cm以上又は体重100kg以上でヘビー級、それ以外の選手はジュニアヘビー級という単純な分け方でいいように思います。

 この文章は一年ほど前に元WRESTLE-1の選手が全日本プロレスに参戦し始めた頃に書いていたのですが、その頃は文章がまとまらずにそのまま放置していました。TAJIRI選手が「GAORA SPORTS presents 2021 Jr. BATTLE OF GLORY」出場の理由を、2021年5月28日付のプロ格DXの日記にて書いていて、放置したままだったのを思い出したのでした。

 ぶっちゃけて言うと、芦野祥太郎選手の扱いをどうするのかということに戸惑いがあったというか。芦野選手は素晴らしいプロレスラーです。この事実は変わりません。WRESTLE-1時代は物凄く大きな選手があまりいなかった(河野選手くらいかな)のでなんとかなりましたが、全日本プロレスに来ると体格的な見た目はジュニアヘビー級です。でも、ヘビー級の強さの設定で参戦しているわけです。そこがどうにも納得できないというか。勿論、実力的には十分だったとしても設定の面においてということです。

 私は芦野選手にとってここは変わるチャンスだったと思ったのです。全日本プロレスにとっても、岩本選手や佐藤選手がやっているように、ジュニアヘビー級としてヘビー級とも戦う・戦えるという環境を構築する大きなチャンスだったと思うのです。芦野選手の気持ち的には最初からヘビー級一本でやりたいということだったとのでしょうけど、全体を考えると得策ではなかったかなと。特に全日本プロレスにおいてはそう思うのです。

全日本プロレス 大田区大会 三冠巴戦

 全日本プロレスTVで生観戦しました。当初はチャンピオン・カーニバルを制した(初優勝)ジェイク・リー選手が、三冠王者諏訪魔選手(専務執行役員でもある)に挑む試合が本大会のメインイベントでした。

 本大会はコロナ禍の緊急事態宣言によって5月から6月に延期され、しかも三冠王者諏訪魔選手が一週間前にコロナの陽性反応が出たということで大会を欠場し、三冠王座も返上することになりました。

 ここで、本大会で世界タッグ選手権が決まっていた宮原健斗選手と青柳優馬選手が三冠挑戦に名乗りをあげ(世界タッグ選手権は延期)、挑戦が決まっていたジェイク・リー選手を加えての巴戦での三冠王者決定戦がメインイベントになりました。

 この三冠王者決定巴戦は二連勝しないと果てしなく戦いが続く形式で、大会冒頭でのくじ引きから、先ずは宮原健斗選手と青柳優馬選手の世界タッグ王座保持コンビの対戦となり、熱闘の末宮原健斗選手がシャットダウンスープレックホールドで勝利。

 続いては疲労困憊な宮原健斗選手とジェイク・リー選手の、先日のチャンピオン・カーニバルでの公式戦(実質的な優勝者決定戦でした)以来の対戦となりました。スタミナお化けの宮原健斗選手も青柳優馬選手の猛攻にかなり体力と精神力を削られていたのか、エースらしい戦い振りではありましたが、ジェイク・リー選手のバックドロップに轟沈。

 続いてはジェイク・リー選手対青柳優馬選手。ジェイク・リー選手は連勝したいところで、青柳優馬選手はここで勝ち残って再度宮原健斗選手と戦い雪辱を果たし三冠王者(タッグも合わせると五冠王者、しかも最年少での三冠戴冠)になりたいところ。青柳優馬選手は場外での右腕殺しでペースを掴みジェイク・リー選手を追い詰めますが、先日のチャンピオン・カーニバルジェイク・リー選手に勝ったパターンを狙い過ぎて読まれてしまったのか、徐々にジェイク・リー選手に削られていき、最後は強引なD4C(垂直落下式ブレーンバスター)で沈められ、その瞬間にジェイク・リー選手の三冠初戴冠が決まりました。

 今の全日本プロレスってどんな試合なの?と問われれば、迷わずこの三冠巴戦を挙げてしまうでしょう。それほどに素晴らしい戦いでした。この3選手がいれば、当分は全日本プロレスは安泰なんじゃないか、そんな気分になりました。

 個人的には宮原健斗選手を応援していましたが、会場が大爆発するのは青柳優馬選手の戴冠でしょうし、当初の予定どおりならジェイク・リー選手の戴冠だよなと思いつつ、実際にジェイク・リー選手のベルトを巻く姿を見ると、惚れ惚れしました。痺れました。

 不満としては、次期エースである青柳優馬選手を道化師的な扱いにしてしまったことでしょうか。去年も同様のミスを青柳優馬選手の売り出し方に対してしてしまっているので、人員がいなかったという部分を差し引いてもマイナス点を付けざるを得ないでしょう。

 8月開催の王道トーナメントで青柳優馬選手が初優勝して、王者のジェイク・リー選手にリベンジという流れくらいしないと取り返せないイメージダウンであることは申し添えておきます。

 それから、大会の品質を下げるような試合(ジャンボ鶴田メモリアルマッチです)があったのは非常に残念というか、酷いなと思います。私は思い出補正が効かないタイプなので、単純にもう動けなくなった人達がリング上でプロレスごっこをしているだけにしか見えません(土方選手は除きます)。こういう試合はもうやらなくてもいいのではないでしょうか。

 と最後は愚痴っぽくなりましたが、ジェイク・リー選手、おめでとうございます。これからの活躍を楽しみにしております。

宮原健斗選手と青柳優馬選手のこと

 今の全日本プロレスのエースである宮原健斗選手と、次世代のエースになるであろう青柳優馬選手のスタイルを、私の視点から書いてみました。二選手とも全日本プロレス所属で、NEXTREAMというユニット(チーム)で共闘しています。

 

 宮原健斗選手は、一言で表すならオールラウンダーな選手です。

 宮原選手の特徴は、誰とでも好試合を展開できること、驚異的なスタミナと高い受けの技術があることです。

 先ずは誰とでも好試合を展開できることについてです。宮原選手は試合中、時速0キロから100キロまで自由自在に速度(テンポ)を即座に切り替えることで、どんな相手とも好試合を繰り広げることができるのです。過去でいえばアントニオ猪木氏になんとなく似ているかもしれません。

 次に驚異的なスタミナがあることです。驚異的というよりも無尽蔵のスタミナと言ってもいいでしょう。宮原選手のファンならご存知のとおり、三冠戦のような30分を超えるタフな試合の後でも、疲れたような素振りを見せながらも息を切らせることなくマイクパフォーマンスを10分以上も繰り広げるなんて、スタミナお化けという言葉は彼の為にあるようなものと言いたいです。これは次に書く受けの技術も優れているということにも繋がります。

 最後に高い受けの技術です。宮原選手はどちらかと言うと防御型の選手で、受けに受けて、耐えに耐えて、一瞬の切り返しから素早い攻撃に転じるという戦い方です。そういう観点から言えば、天龍源一郎氏にも通じるものがあります。新日本プロレス内藤哲也選手もスタミナと受けの技術は素晴らしいですし、共通している部分があると思います。

 全日本プロレスには大きな選手も多く、技も強力ですが、それをずっと受けても故障しないということが、受けの技術が高く、且つ体も強いという証明になるでしょう。私が宮原選手をじっくりと見始めた2015年の秋から今まで、怪我が理由で彼は試合を欠場していません(試合に出ていないのは海外遠征の時だけだったと思います)。これって何気に凄いことです。怪我をしているという素振りも見せていません。これはプロのレスラーは喉から手が出るほど欲しいであろう重要なものです。無事之名馬というやつですね。

 宮原選手は試合中も対戦相手やタッグパートナーだけではなく、観客や中継カメラも全て意識して試合ができる稀有な選手でもあります。これは今の全日本プロレスの中では誰一人としてできていません(おい、言い切っちゃったよw)。プロのレスラーが一番必要な能力であり、誰ともで好試合ができること、驚異的なスタミナ、高い受けの技術を兼ね備えている宮原選手だからこそなのです。

 苦言があるとしたら、試合の終盤で必殺技(フィニッシュホールド)であるシャットダウンスープレックスホールドを繰り出す際の相手選手との攻防で、宮原選手をパワーファイターだと思って見ている人は(実際には宮原選手にも相当のパワーはあると思いますが)ほとんどいないでしょうから、どうして終盤にそんなに力を前面に出した攻防になるんだろうという疑問を抱かせてしまうかな、程度のものです。あ、やっぱりちょっと入場は長いかな(笑)。

 

 青柳優馬選手は、一言で表すなら陰湿、ち、違った、古風なスタイルを現代のスタイルにうまく落とし込んでいるなと感じる選手です。

 青柳選手自体の速度は時速80キロ限定(80という数字は速度を示しているわけではありません)なんだけど、相手が時速100キロのタイプでも時速20キロのタイプでも相手の速度に合わせずに試合が噛み合う、自身の線がブレずにいつもと同様の戦い方ができるタイプです。これは相当な技術がないと無理だと思います。

 相手が時速100キロや20キロである場合はその速度に合わせるのがうまい選手と言われると思うのですが、青柳選手の場合は自身の時速80キロという速度を落とさずにどう合わせるか、どう見せるか、どう見えるかを意識していて試合をしているという印象です。自分をしっかりと客観視できているから、そのような試合ができるのだと思います。

 なんとなく、故青木篤志選手に戦い方が似ているかもしれません。弟子というか、青木選手は全日本プロレスに入門してからのコーチですから、似てしまうのも当然というか必然なのかもしれません。青柳選手自身も目標にしていたと思います。実際、今の全日本プロレスの道場の若手相手のコーチをやっているくらいですから、青木選手から意識的に受け継いでいる部分もあるでしょう。

 また、最近は自分のキャラ(というか本音?w)をうまく利用して試合に溶け込ませることができるようになってきました。これは、NEXTREAMの活動で宮原選手の試合を間近で吸収してきたことがかなり大きいのではないかと思っています(裏切りのジャーマンから前面に押し出してきましたね)。

 青柳選手がデビューして一年後くらいから今まで見続けていましたが、正直、彼がここまで化けるとは思いませんでした。野村直矢選手の方が、従来というか昭和の終わり頃からの全日本プロレスの選手のタイプに近いので、数年後には野村選手が中心となっていて、青柳選手はその丁度よいタッグパートナーくらいのポジションに落ち着くのかなと思っていました。それは器用貧乏な選手だなという印象が数年前まであったからです。

 野村選手が怪我で欠場中ということもありますが、そこで自分自身がもっとやらないといけないという意識がより醸成されたのかもしれません。TAJIRI選手によると、元々ダーティーファイトができる王者タイプの素質はあったようですから。

 個人的には、器用貧乏な(に見える)ところをポジティブに伸ばしてもらいつつ、もう少し体を大きくしつつも脂肪は絞ってもらって(やっぱ主役はある程度シュッとしていてほしいなという個人の嗜好ですw)、子憎たらしさを全面に出しつつ、宮原選手とは違う形でどんなスタイルの試合にも対応できるような選手になってもらいたいですね。彼が全日本プロレスの次というか、もう今年の後半にはエースとして活躍するくらいにならないとダメだと思います。

GAORA TV チャンピオンシップ (GAORA TV 王座)

 2021年1月31日付のプロ格DXに掲載された、全日本プロレス所属であるヨシタツ選手の連載中のコラム「’Til Our Kingdom Come」にて、彼が二年近く保持していたGAORA TVのベルトについてのポリシーを書かれており、私は興味深く読ませてもらいました。欲を言うなら、ヨシタツ選手が実現したかったことが何故できなかったのかをもっと聞かせて(書いて)ほしかったのですが、それは次回以降のお楽しみにと勝手にしたいと思います。

 GAORA TV チャンピオンシップ (GAORA TV 王座)の歴代王者とその戦いの歴史は、GAORAのページに詳しく書いています。素晴らしい。

https://www.gaora.co.jp/wrestling/gaorabelt/

 ヨシタツ選手はGAORAのベルトを三冠の次に位置するベルトにしたかったと書いておられました。GAORAのベルトが創設されたときの目的にも「全日本プロレス最高峰の三冠ヘビー級王座に次ぐ、団体内外の若手主力選手が目指す新たな王座」と書かれていますしね。ただ、私は結果的にそうなるのならそれで構わないのですが、もう一つの目的である「シングル戦線の活性化」をもっとこのGAORAのベルトを使って推し進めていってほしいなと期待しているのです。

 GAORA TV王者というと、私は真っ先に中島洋平選手を思い浮かべます。私が再び全日本プロレスを観戦し始めた頃の王者であったし、GAORAのベルトをアモーレと呼んで愛していた様が脳内に焼き付いているからです。(そのアモーレをセフーレにしたのが、WWEに行った黒潮“イケメン”二郎選手ですw)

 GAORAのベルトがイケメン選手に渡ったとき、私はかなり面白いことになるんじゃないかと期待しました。イケメン選手の試合振りが、なんとなくGAORAのベルトのイメージに合致すると思いましたし、それによってGAORAのベルトのステータスをもっと上げるのではないか、活性化するのではないかと感じたのです。前王者だった中島選手がダメだったということではなく、中島選手はGAORAのベルトの認知度を上げたと思いますし、彼の役割はそこだったと思うのですが、ただ、人は飽きるもので(笑)、認知度が上がった次を欲してしまうものです。目先を変える、意識をリフレッシュするということでイケメン選手への期待度が高まったという意味です。

 しかし、イケメン選手は防衛戦も行えず怪我で返上しました。そこから、何故か秋山選手がベルトを巻くことになりますが、それなら劣化三冠の扱いにしかならないんじゃないかと思いきや、このベルトにそこはかとなく漂っていたイロモノの空気を全面に押し出し、このベルトだから許されるという範囲を公式にも、そして観客にも広めていくことに成功したと思います。その後の王者であるTAJIRI選手も曲者の選手であることから、その要素をしっかりと受け継いでいたと思いますし、ヨシタツ選手もそれにプラスして各地の強豪を迎えて防衛するという要素を付与してベルトの価値を高めていったと思います。

 だからこそ、今、このGAORAのベルトを使って、更にシングル戦線の活性化の材料にしてほしいのです。若手選手の登竜門というか、最初の目標として活用してもいいんじゃないかと思うのです。

 次の選手権試合で王者が石川選手になったとして(こらこらw)、若手の選手ではまだまだとても太刀打ちできないでしょうが、ルールを変更して、例えば石川選手は通常どおりスリーカウントを取らないといけないけど、挑戦者の若手はワンカウントでいいとか、そういう形でやればいいのではないかと。GAORAのベルトならそれは許されると思うのです。

 また、TAJIRI選手が入団した今、彼を軸にアンファンというか元レスワン勢との絡みもやりやすくなるだろうし、ヨシタツ選手も再び狙ってほしいとも思うし。そうなれば、自然と三冠ヘビー級に次ぐベルトになるんじゃないでしょうか。そして、イロモノの要素はなくならないようにしてほしい(笑)。

2020年の全日本プロレスの通信簿

 通信簿なんて書いちゃいましたが、2020年の全日本プロレスがどうだったのか、勝手に上から目線でだらだらと感想を書いてみます。予想以上に長くなってしまいました。

 

秋山準選手のレンタル移籍について

 先ずはこれから書かないとダメなんでしょう。個人的には、全日本プロレスにとっても、秋山選手にとってもいい選択になったんじゃないかなと思います。秋山選手にとっては、社長というか取締役も解任されて(これ自体は仕方がないと思いますが)、一選手としても居心地が悪くなっていたところに、WWEのコーチの話がありながらコロナ禍によって流れてモチベーションも上がらなくなっていただろうし、気持ちもどうやって何に向けていいのか見失っていたんじゃないかなと思います。そういうタイミングで、DDTでコーチもできるし、もう一度トップに絡む選手として自分がどこまでできるのか新しい環境で試せるっていうのは、もう願ってもないポジションだったんじゃないかなと。

 秋山選手は自分で居場所を作るという行為ができないというか、そういう認識が薄い、意識が低いんだと思う(それが悪いという意味ではなく)。最初に全日本プロレスに入団したときも居場所を作ったのはG馬場社長やJ鶴田選手だったろうし、ノアに移籍というか旗揚げしたときも三沢選手や小橋選手が作ってくれたようなものだし。全日本プロレスの社長という居場所を与えられたのも、馬場元子さんがそういうポジションを作ってくれたからだし。自分の居場所は今まで第三者がお膳立てしてくれていたし、それを受け入れるだけでよかった立場の、所謂勝ち組だったので、自ら作るという発想が必要なかったからだと思います。ノアを退団して全日本プロレスに再び上がったときくらいじゃないでしょうか、彼自身が自ら居場所を求めて作ろうとしたのは。いや、彷徨っただけか……。

世界ジュニアヘビー級王座

 前半はドラゴンゲートの横須賀ススム選手が、前王者の故青木篤志選手の気持ちを汲みつつ、「これまでの全日本プロレス」と「今の全日本プロレス」に最大限のリスペクトをもって、王者として素晴らしい戦いを展開してくれました。

 それを引き継いだ岩本煌史選手は、世界ジュニアヘビー級王座を用いて若手選手の壁となって盛り上げてくれたと思います(日高選手は若手じゃないやw)。それは団体としての事情もあることですが、岩本選手としては王者として少し引いたポジションになってしまったかなと。このベルトをどう高めていくかという部分に注力できなかった面は否めなかったかな。彼の責任ではないですが。

ノータップスライジン

 あすなろ杯に全勝優勝した田村男児選手は、自らの戦い方を実践できるようになり自信も付いたようで、試合運びもドタバタすることがなくなりましたが、それで満足しちゃってたような印象を2020年後半には受けました。それを活用してどうプロレスを見せていくかが今後の課題でしょうか。

 大森北斗選手はアンファンに加入したりと好き放題やっていますが、彼のキャラにも合っていて(というかそういうキャラにしているんでしょうけど)、このまま突き進んでほしいと思います。最近の全日本プロレスにはいなかったリアル嫌われヒール路線なので、いいんじゃないかなと思います。デブっちょにならないよう配慮しつつ、もうちょっと体の厚みが増せば、ヘビー級に転向でもいいような気がします。

 ライジンHAYATO選手は、折角年当初に愛媛プロレスから3ヶ月の修行ということで全日本プロレスに来たのに、コロナ禍の影響をもろに受けてしまった形になり、どうなることかと思いましたが、あすなろ杯に参戦や、その後も全日本プロレスに定期的に参戦していったことで、パンクラスMISSION所属の佐藤光留選手と同様に、もう全日本プロレスの一員として団体もファンも認めていると思うので、これからも全日本プロレスには上がり続けてほしいですね。

 青柳亮生選手は、年初に怪我したり(これはある意味コロナ禍で影響はそんなになかったけど)、あすなろ杯は全敗してしまったりと散々でしたが、それをバネにして、持ち前の運動能力を遺憾なく発揮する方向に吹っ切ったことで、ムーンサルトプレスやファイヤーバードスプラッシュといったとんでもない武器を得ることにも成功し、若手4人の中で結果的に頭ひとつ抜き出た存在感を示したと思います。これからのジュニアヘビー級の中心選手になってくると思います。身長もまだ伸びているような気がしますので、2年くらいジュニアヘビー級戦線で活躍し王座も獲得した後は、海外武者修行という名の肉体改造時期を経て(実際に海外に行かなくてもいいですw)、ヘビー級戦線に参加してもいいかもしれないですね。

陰湿ブルー

 青柳優馬選手が自ら自身を表現した言葉「陰湿」ですが、TAJIRI選手がGAORA王者時代に青柳優馬選手はナチュラルヒールな選手で、GAORA王者になれば面白い存在になると発言していたことが裏付けされた感じでしょうか。

 ただ、フリーで参戦してきたアンファンの芦野選手にシングルマッチで寝かせられたりと、これからの全日本プロレスを担っていく選手の商品価値を下げるような扱いを団体からされてどうなるのかと思っていましたが、芦野選手へはチャンカンで雪辱し、NEXTREAM再結成からの世界最強タッグリーグ戦優勝(その後世界タッグベルトも奪取し暴走大巨人を解散に追い込みました)と、その後の活躍でなんとか帳消しというか、商品価値をあまり落とさずにすんだ結果になったかなと。ただ、彼にはこのポジションで留まってほしくはないので、一気にトップまで駆け抜けてほしいし、そうならないとこれからの全日本プロレスは今以上に苦戦していくと思いますね。

三冠王者

 宮原健斗選手が防衛回数単独トップを目指しましたが、諏訪魔選手に負けて陥落。あまり動けなくなった諏訪魔選手を三冠王者に据えてどうしていくんだろうと思いましたが、コロナ禍もあり試合数が減ったことからか、諏訪魔選手の魔王振りをなんとか見せ続けて、結果としてはよかったんじゃないかなと。

 宮原選手を陥落させたのは、ベルトを持っていると難しい動きをさせたかったからかなと思ったりしましたが、実際はどうだったんでしょうね。2021年の早い時期におそらくまた三冠王者になるだろうとは思いますし、なんだかんだ言って宮原健斗全日本プロレスのエースであり顔であると団体側も認めたプロモーションを未だにしていますしね。

Enfants Terribles

 実質、はぐれWRESTLE-1軍みたいなものですが、大森北斗選手の加入によって、かろうじてその面影を排除することに成功したかな。参戦当初は勢いがありましたが、それが持続しなかったのは全日本プロレスの事情もあるだろうし、仕方がないことでしょう。羆嵐選手や児玉選手は全日本プロレスの戦いの中でも存在感を放ちましたが、芦野選手はちょっと中途半端というか。諏訪魔選手が彼のことを買ってはいますし、勿論、芦野選手自身は素晴らしいプロレスラーであることに依存は全くありませんが、全日本プロレスの中では彼の存在自体は合わないのかなと思ったり。いや、合わないというよりも、他の選手との兼ね合いもあり難しいのかなと(ヘビー級とジュニアヘビー級の区分の問題です)。WRESTLE-1の中でこそ、彼のプロレスラーとしてのキャラは活きたんだよなと再認識してしまったり(これは多分、ノアを主戦場にした稲葉大樹選手にも言えることのような気がします)。同じ元WRESTLE-1のイケメン選手の予定外の参戦継続の影響も大きかったかな。

Jr.TAG BATTLE OF GLORY

 佐藤光留選手、ありがとうございます。彼の立場だからこそできたとも言えるのかな。

GAORA TV王座というよりもヨシタツ・キングダム

 ヨシタツ選手は、異論は色々あるかと思いますし、好き嫌いも当然あるかと思いますが、今の全日本プロレス所属選手の中で、一番全日本プロレスを愛している選手だと思います。愛し方に問題があるとか、それは置いといて(笑)。

無観客試合と配信

 宮原選手は無観客試合には否定的でしたが、全日本プロレスTVという媒体も持っているのだし(アマゾンプライム配信もありますしね)、コロナ禍の状況が治まっても定期的に継続すればいいと思います。本大会とは少し色分けして、若手選手の試合数の確保や経験のため、それこそGAORA王座を軸にした戦いとか。

岡田選手

 秋山選手を追いかけるために、全日本プロレスを退団してしまいました。彼の選択についてどうこうはないのですが、これまで彼が「生え抜き」というのに拘ってきたのはなんだったんだろうかというのと、結局、全日本プロレスではなく秋山準という人というか看板に魅力を感じていたのかなと思うと、彼には頑張ってもらいたいとは思いますが、応援はしないだろうし、動向を追いかけることはないだろうなと思います。ライバルが見当たらなかったというのも大きいのかな。まぁ、デビュー当初、彼が不満の矛先としていた佐藤恵一選手と同じような道を自ら選ぶとはね。

総論的なもの

 総じて、全てはコロナ禍により計画も何もかも狂ってしまい、それでもどうにか映画『犬鳴村』の収入もあり(ほんまかよw)、チャンカン世界最強タッグリーグ戦も開催できました。そういう意味では、結構頑張ったんじゃないかなと思います。会社の方向性に疑問符もありはしますが、全体としてはなんとかなったのかなという印象です。

 観客を入れての大会の開催もかなりの制限がありながらもできるようになりましたが、以前の状況に戻るにはおそらく数年はかかるでしょう。色々とこれまでとは違ったアイデアも必要でしょうし、辛い決断もしないといけないでしょうが、もう一度、全日本プロレスの特色とは何か、ファンが求めているものは何かという部分に立ち返って、団体運営していってくれればと思います。2021年も楽しませてください。

リネージュ顛末

 リネに2019年3月に復帰してから順調にプレイしてたいのですが、重宝していた真デスナイトパッケージの使用期間が切れて、直後に再販もされなかったことから、少しインするのが億劫になってきていました。

 そんな時、ふとリネ2のサイトを、本当に何の気なしに覗いたら、デスナイトというクラス(職業)が実装されて、しかもデスナイトサーバーというのもできていました。リネ2は、従来の進化型、開始時のシステムを再現(?)したクラシック、そしてソロでも遊べるタイプのアデンという3パターンが用意されていて、デスナイトというクラスが追加されたのはアデンというパターンで、ソロでしかプレイしない私にはうってつけでした。ということで、リネ2に10年振りくらいに復帰し、リネは少しお休み状態になりました。

 ただ、私のMac miniParallelsWindowsを動作させているという環境では、もうかなり昔の3Dゲームであるリネ2のグラフィックの表示レベルですら品質を落とさなければならず、なんか方法がないかなと思っていたらeGPUという外付けのグラフィックボードを介することでパフォーマンスアップできるということで、Radeon RX Vega 56のグラボを積んだeGPUを購入。これでHDR関係以外(これはGeForceのグラボでしか設定できないっぽい)は最高値でプレイすることができるようになりました。eGPU買うくらいならWindowsパソコン買えよっていうツッコミはなしで(泣)。

 そんななか、リネの方はリマスターといって、グラフィック表示とかも含めて大きくリニューアルされるアップデートがあり、新たに剣士(フェンサー)というクラスが追加されるという情報がありました。日本では先ずは従来のサービスとは別に、「リネージュ オリジン」としてリマスター版が提供されることになりました。こちらは従来のものとはクライアントソフトですら別のものでした。リネも2パターンになったのでした。

 リネ2と並行してリマスター版もプレイしようと、インストールして起動しようとするとエラーの表示。どうやら仮想環境では動作しない模様。色々と調べてみたら、Windows用のゲームはそういうトラップ(でもないかw)が起こりうることがあるようで、DirectXとかの関係でハイパーバイザー(仮想環境を提供する土台、私の環境ではParallels)が対応しないとどうにもならないようでした。それもあって、リマスター版はプレイできず、リネ2でキャラをまったりと育てていたのでした。

 そして、時は流れて今年の7月某日、リネ2の定期アップデートも終了し、いざプレイしようとすると、な、なんと仮想環境下でのプレイができなくなってしまいました。ががーん。強制引退ですよ。飽きて引退(MMORPGもプロレスも何度も引退できるのが強みですw)じゃないので、かなりモヤモヤしたままでしたが仕方がありません。この時、じゃぁリネに復帰だと思って、従来のもの(ライブサービスという名称になっていました)とオリジンの両方を試してみましたが、仮想環境下では起動せず。最初のアップデートとかする画面までは表示されて、そこからスタートボタンを押すとエラーが表示されるという状態でした。

 Windowsパソコンを買おうかとも思いましたが、リネ推奨のGeForceのグラボを積んだものをBTOショップで買おうとすると10万円は超えるし、そもそも置く場所がないので諦めました。そんなこんなで強制引退中にデスナイトサーバーも人がいなかったのか、アデンサービスのもう一つのサーバーであるアデンサーバー(記載ミスではないw)に統合されていったのでした。

 またもや時は流れて12月初旬、何となくですが、今ならリネのライブサービス(元々私がプレイしてたもの)はできるんじゃないかとふと思い、新たにクライアントをダウンロードしやってみたところ、すんなりログインできました。復帰確定です(笑)。何でできるだろうと思ったのかは自分でもよく分かりません。時間があったのでやってみようと、ダメ元で軽い気持ちで試してみました。

 復帰が確定しましたが、これまでの君主ではなく、新しいクラスの剣士(フェンサー)で始めました。リマスター化されて画面表示も変わりましたし、PSSという自動で戦ってくれる機能もあり(リネ2でも同様のものがありましたね)、ちょっと新鮮な気分でした。物価がかなり上昇しているのもびっくりしたところです。

 このPSS、アホです。いや、私はまだ使いこなせていませんが。自分の行動を記憶させて狩場で放置プレイできることは凄いとは思います。その他、バフとか登録してたら勝手にやってくれるとかあって、そういうのは有難いのですが、バフアイテムで登録できないものがあったりしますし、近くというか目の前にモンスがいるのに遠くのモンスを叩きに行こうとするし、壁を挟んだ向こう側にいるモンスにかなり執着するとか(そこに辿り着けないのにねw)、アメイジングな動きをしまくってくれます。まぁ自分のプレイを補助させるだけという目的なら優秀で使えるのかなと思います。

 そんなこんなでレベル70まではサクサク上がっていきました。で、23日の定期アップデート。はい、また仮想環境下で動作しなくなりました。OpenGL4.2以上が必要になるということでした。私の使用していたParallels Desktop 16 for MacはOpenGL3(小数点以下のバージョンは忘れました)までしか対応していないということでした。通常のWindowsパソコンなら、グラボのドライバを最新のものにするとかで対応可能のようですが、MacOS上での仮想環境下では、仮想環境を提供するソフトとMacOS自体がそれに対応しないといけないようで、MacOSOpenGL何それうまいの?状態でサポートする気はないようでしたし、Parallelsの方もなかなか難しいのか対応状況が不明みたいでした。

 結局、今回は3週間弱くらいで強制引退となりました。泣ける。ここでアドバイスと言ってはなんですが、Windows用のゲームをしたいのなら仮想環境はお勧めしません。ゲーム自体がパソコン自体の高い性能を要求することもありますし、グラボとか色々と考えると、素直にWindows搭載のパソコンを買った方がよりいい環境でプレイできると思います。eGPU買うならほんとに素直にWindowsパソコンを買った方がいいよと、過去の自分に言い聞かせたい。

 だがしかし、時はクリスマス、自分へのプレゼントを買っても怒られないはず。偶々野暮用でポンバシ付近に出掛けることがあったので、ポンバシまで足を伸ばして、中古というかアウトレットの店を覗いてみました。あれ、あれれ、本体は丁度手頃な大きさで、GeForceのグラボを積んでるものが、手持ちのお金で買える値段で売ってるじゃないですか。ええ、買っちゃいましたね。

ということで、3日振りくらいに復帰(笑)。当面は、剣士(フェンサー)のキャラを育てていきたいと思います。

Edward Van Halenのこと

 2020年10月6日、米国の人気音楽バンドであるVan Halenのギタープレイヤー、Edward Van Halenが亡くなられた。65歳だった。彼の早すぎる死に衝撃を隠せない数多の音楽家らの追悼が鳴り響く。

 彼の訃報は今朝の通勤途中で知りました。ぽっかりと心に穴が開く、そんな感傷に浸りながら、どこかで彼の死を受け入れたくないという自分が暴れまわっているような、そんな感覚です。とにかく、何かを書いて残しておきたい気持ちが強く、こうやってブログに書き連ねます。

 彼は私にとって、初めて好きになったギタープレイヤーであり、音楽の道にどっぷりと浸かってしまう切っ掛けを作った人物です。1988年に発売されたVan Halenの8thアルバム『OU812』からシングルカットされた「When It’s Love」のビデオクリップを観て衝撃を受け、ギターをもっとうまく弾きたい、音楽をもっともっと聴きたい、沢山の音楽をもっともっともっと聴きたいと思ったのです。

 CDウォークマンに『OU812』のCDをぶち込んで、それはもう毎日、毎日、何回も、何回も、聴いていました。その当時、片手でも余る程度しかCDを持っていなかったのに、一年後には100枚以上になっていました。それもこれも、彼が原因なのです。

 彼のギターソロは、それほどメロディアスでもなく、それほど泣いているわけでもなく、今の私にとっても、おそらく当時の私にとっても、琴線に触れるようなタイプではないようになんとなく他人事のように思ったりしてしまうのですが、そんな彼にどうして心を奪われてしまったのかというと、単純にかっこよかったんだと思います。彼が楽しそうにギターを演奏する姿に、楽しそうに音楽を奏でる姿に、楽しそうにバンドの中を駆け回り飛び跳ねる姿に、憧れたのです、私は。

 ライトハンドを奏法として確立し、それを世界中に広めた功績が一般的には一番語られることかと思いますが、私はあのサウンドとリズム感(それらを併せてドライブ感というのが適切かも)が凄かったのではないかと感じています(それとキャッチーなリフメイキングもかな)。ライトハンドは奏法として確立されたことから、誰もが習得したり、それに創意工夫をもたらして更に個性的な自分の技巧として身に付けることが可能となりましたが、あのサウンドとリズム感だけは、奏者本人からしか発せられないものであり、そんな性質から習得も継承も難しいもので、そういうものを後世に残した彼は死ぬ前から伝説であり、これからも彼の辿った足跡は更に語られていくのでしょう。

 クラプトンも大好きだった私は、彼のギター雑誌でのインタビューでクリーム時代のクラプトンが大好きで影響を受けたという発言に、本当にクラプトンの影響を受けたのかなっていう疑問があったのですが、1991年に発売された『For Unlawful Carnal Knowledge』から、何となくクラプトンの影みたいなものを、薄くではありますが感じるようになりました。また、日本でも大いに売れた1995年発売の『Balance』から、彼のギタープレイが少し変化したように思えました。リズム感がそれまでと比べるとどっしりしたというか。売れていてもなお、ギタープレイヤーとしても確固たる地位を築いたあとでも、生きながら歴史に残ることになってしまったにも関わらず、彼は進化を止めなかったという証明ではないかと、今になって思います。

 私はあなたのギタープレイが大好きでした。あなたがいなければ、私は音楽を今のように好きになっていなかったかもしれません。あなたの存在がなければ、ギターを弾いてバンドをやりたいとも、音楽を自分の手で作ってみようともしなかったかもしれません。

 ありがとう、エディ。ありがとう!!!

「全日本プロレス まちおこしスペシャル 十三大会 ”全日えびす” やっちゃうぞ!オイッ!!」大阪・淀川区民センター

全日本プロレス まちおこしスペシャル 十三大会 ”全日えびす” やっちゃうぞ!オイッ!!」大阪・淀川区民センター

 全日本プロレスなんてもう見ないとか言ってたんですけどね。いえね、引退撤回するプロレスラーも多いじゃないですか。それをリスペクトしてるだけなんですよ。という言い訳ではダメですか。

 十三で行われる大会には、4年前に初めて参加したんですよね。当時の感想を読み返すと、私がかなりウブなので引いちゃいましたね(笑)。

ryonryon.hatenablog.com

 では、いつものように上から目線で感想を書いていきます。

第1試合  頑固一徹シングルマッチ 20分1本勝負~

岩本煌史VS田村男児

 岩本選手の横綱相撲になるのは分かりきった試合ですが、これって田村選手も頑張らないといけないのは当然として、岩本選手も田村選手のよさをどう引き出すか、それとも突き放すか、どのような対応を取るのかも見られている試合なんですよね。

 田村選手はまだ自分がどのように動いているのか、客観視できていないと思います。キャリア的に仕方がないですが、それを掴めればワンステップ上がれるように思います。

 岩本選手は、自分も試されているという意識が希薄だったように思います。なんか、こじんまりと完成されてしまったように思えますし、本人がそれで満足しているような、そんな印象を受けました。

第2試合  乾坤一擲 ~タッグマッチ 30分1本勝負~

野村直矢大森北斗VS青柳優馬&青柳亮生

 数年後、このカードがタッグ王座を賭けたメインの試合になってるんだろうなぁと思いました。全日本プロレスの未来が詰まった試合だったように思います。

 TAJIRI選手がGAORA TV王座時代に挑戦してきたら面白かったという選手は、青柳優馬選手だったようです。で、日本では珍しいヒールタイプだとも。うん、私も彼の最近の一連の行動を見て、そのように思います。青柳ブラザーズはナチュラルヒールブラザーズとしてこれから一緒に活動していくのが面白いように思います。そのためには、青柳亮生選手はもう少し器用さを活かした試合の組み立てを学んでいくことが必要だと思います。キャリアを積んでいくことで学んでいくことなんでしょうけど。

第3試合  野戦攻城 ~株式会社ガイアコーポレーションpresents エアコン争奪タッグマッチ 30分1本勝負~

佐藤光留岡田佑介VSイザナギ&ブラック・タイガーⅦ

 十三大会の風物詩、エアコンマッチ。楽しい試合でした。

 イザナギ選手は丸山選手なの?え?どうなの?

 相棒のブラック・タイガーⅦ選手がイザナギ選手のことを「丸山」って呼んだり、試合そっちのけで凶器攻撃で使われて壊れたエアコンを養生テープで修理したりといった論外なことをしていたんですが……。

第4試合  才気煥発 ~6人タッグマッチ 30分1本勝負~

秋山準&ゼウス&フランシスコ・アキラVS大森隆男&ブラックめんそーれ&ライジンHAYATO

 可もなく不可もなくな、なんか噛み合ってなかったような試合でしたが、ライジンHAYATO選手はよかったです。

第5試合  海闊天空 ~シングルマッチ 30分1本勝負~

ジェイク・リーVSダニー・ジョーンズ

 ダニー・ジョーンズ選手がこんなに素晴らしい選手となって、全日本プロレスに帰ってきてくれるとは。ジェイク選手とも意外と噛み合っていました。ジェイク選手はサイコパスっぽさ全開でこれからはいくんだろうか。

メインイベント   怪力乱神 ~ホテルプラザオーサカ杯争奪 6人タッグマッチ 60分1本勝負~

諏訪魔石川修司&ストロング十三VS宮原健斗ヨシタツSUSHI

 諏訪魔恵比寿の衣装のまま試合を開始させる諏訪魔選手。宮原選手に挑発され、場外で痛めつけられたので仕方なく衣装を脱ぐ諏訪魔選手。楽しかった。

 宮原選手は、シリアスな試合もできるし、コミカルな試合もできるし、激しい試合もできるし、こんなに万能プレイヤーになっちゃうとはなぁ(トオイメ)。これで人望されあれば……。

 諏訪魔選手がストロング十三選手に向かって「佐藤」とか呼んでいたような気がしますが、多分空耳だと思います。

 石川選手は終始笑顔でした。余程楽しかったんでしょうね。

 大会MVPは、本大会のプロデューサーでもある諏訪魔選手が獲得しました。まぁ、最後にラストライドで締めたので当然でしょう。

 本大会は、ちょっと激しさはなかったけど、明るく楽しいプロレスを堪能できました。会場もなんか多幸感があり、いい大会だったと思います。ただ、いつものように外には屋台もあって、選手もいたりと楽しめる空間を提供してるのですが、客の民度が低いというか。平気で横入りしてくる奴や、座席を勝手にいじって変える奴とか、はっちゃけ系の奴とか。こういう客は要らないとは思うのですが、排除できるだけのパイもないわけですからね。私にとっては残念な現実です。そういったこともあってか、私は何故かヨシタツ選手のTシャツを買っていました。どうしてだw