悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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ベイビーわるきゅーれ

ネタバレしてます。面白かったと言いつついつもどおりdisってもいます。でも、この映画は是非観てほしいと心から思っています。

 

『ベイビーわるきゅーれ』

公式サイト:https://babywalkure.com/

 

 

 

 

 コロナ禍で色々と制限が出てから以降初めて映画館に行ってきました。1年半ぶりくらいでしょうか、映画館での鑑賞は。Twitterでいい評判を目にしたのと、上映時間のタイミングが合ったことから本作の鑑賞となりました。

 日本映画の悪いところもいっぱい詰め込まれていますが、それを雰囲気、熱量、アクションでねじ伏せた映画だと思います。こんな映画は初めて観ました。良くも悪くも今の日本でしか作れない映画だなというのが端的な感想です。

 また、本作は主人公である「まひろ」役の伊澤彩織さんのための映画だと言っても過言ではないでしょう。共演者、製作陣、物語、その他全てが彼女のために存在したんだなと。観賞後は彼女の印象しか残っていませんでした。

 世界観はジョン・ウィックシリーズに似ているかなと思います。現実世界をベースとして映画独自の設定があるという感じでしょうか。現実寄りのファンタジー世界と思って鑑賞されると、すんなりと映画の世界に入っていけるかと思います。

 女性二人組の殺し屋は、高校卒業後は社会経験を積むために殺し屋以外の仕事をするようにと所属している会社から伝えられ、一人は喫茶店メイドカフェでアルバイトを、もう一人はアルバイトの面接に落ちまくるという日々を過ごしていました。ある日、仕事で殺した893関係の人の件でトラブルに巻き込まれたり、ひょんな弾みでその893のボス(組長?)を殺害しちゃったことで、893ボスの娘やその相方、娘に雇われた人達と激戦を繰り広げたりしつつ、殺し屋家業に専念する日常に戻っていくというお話です。殺し屋という職業を続けていくことが二人にとっての生活(=日常)であり、これからもダラダラのんびりと殺し屋として頑張っていきますというところで映画は終了です。

 最後の激闘が素晴らしかったです。伊澤彩織さん演じる「まひろ」と、三元雅芸さん演じる「渡部」(そういう役名だったのか)のタイマンバトルがほんまに素晴らしいんですよ。一応本作内での(格闘系では)最強キャラであろう渡部の見せ方もよかったですし、その最強相手に劣勢になりながらも冷静に食らいつき、最後は機転を利かせて逆転勝利するというまひろの見せ方もよかったです。

 徒手空拳での格闘では分が悪く床に転がっている拳銃を拾いに行こうとするまひろと、それに気付き阻止しようとする渡部でしたが、実はまひろはそこを計算に入れていて(というか渡部はそう動かざるを得なかったけど)、二人同時に拳銃を拾いに向い、二人の軌道が交差するポイントでまひろは軌道を変えて渡部にカウンターの頭突きを喰らわすという展開ですが、映像でしっかりとそうなるよっていうフリを見せつつ(ここは意外性を重視してもう少し隠してもよかったような気もします)、そこがキーポイントとなってまひろは銃を拾うことに成功し渡部を撃ち殺します。主人公補正があまり強くない描き方で、まひろの殺し屋としての(おそらく)場数の差が出たのかなという演出でよかったです。

 主演の二人は『ある用務員』という映画にもJKの殺し屋役で出ているんですね。その設定を膨らませて本作を作ったみたいです。その映画も観たいなー。

 ちょっとここからdisってしまいます。先ず、録音というか、音声のレベルが若干不安定でおかしかったような気がします。もうちょっと全体的に聞き取りやすいように調整してほしかったところです。特に伊澤彩織さんがボソボソ話す言葉が聞こえにくいというのは演出上の都合もあるんだけど(何を話しているかを観客に提示したいからではなく、彼女がコミュ障ではっきりと言葉にして伝えるのが不得手というのが特徴のキャラだというのを説明したい)、技術的部分がダメだからそうなっているのかというのがちょっと不明瞭というか、混在しちゃってるというか。

 物語の展開としては、ちさとが一回渡部に殴られて気絶させられ拳銃も盗まれているのに、その後は特に何もない(盗まれた拳銃を使われていたり、それを返せーという展開はあったけど)のは初期の平成仮面ライダーっぽい(笑)なと。昭和ライダーが怪人に負けるっていうのは一大事だったのに、平成ライダーは負けても平気というか。昭和ライダー平成ライダーとでは世界観が違うから単純に比べられないけど、なんかモヤったんですよね。それと似た感情が湧きました。後述する時系列をいじってしまっているのも仇になっていたかな。

 時系列をいじくる意味や必要性はないように思えます。映像的に効果的な場面と物語の時系列が一致しないからという選択でしょうけど(あ、そういう部分では意味はあるのかw)。オープニングは主人公のアクションを見せたいがための妄想設定にしたのでしょうから、本作ではその手法というか方法論を継続して展開させた方がいいように思えました。

 最後になりますが、続編は作ってほしくないですね。人気が出たら作れそうではありますが、そうなると本作の魅力が低下しちゃうと思うのです。余程続編が凄いものにならない限りは。本作と同じ雰囲気を作るのなら本作の劣化コピーにしかならないし。二人の今後を描くにしても、シリアスハードに振るか、もっとゆるふわ系に振っていくかくらいしか選択肢はないでしょうから、どちらにしても本作を気に入ったファンを満足させられない蓋然性が高いでしょうし。本当に絶妙なバランスなんですよね、本作は。あの二人はこれからどうしていくのだろうと観客に妄想させているのが一番幸せなんじゃないでしょうか。

 久しぶりに映画観賞後、その映画の世界というか雰囲気というか、心をそこにずっと浸らせていたいと思えた映画でした。

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