悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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シン・仮面ライダー

地味にネタバレしてます。disってはいないはず。

 

 

 

 

イオンシネマ シアタス心斎橋にて鑑賞

 

 浜辺美波さんの美しさを愛でウットリしようぜという映画です。マジで。浜辺美波さんにはアクションの訓練を積んでもらって、これからもどんどんとアクション映画に出てほしいです。

 わざとだろうけど観る人を選ぶ映画を作ったなと思いましたし、邦画でこの規模の予算でよくそれが許されたよなとも思いました。これはいい意味で評価したい点で、成功するか失敗するかは賭けではありますが、個人的にはこの流れは大事にしてほしいと思っています。え?庵野さんは観客が観たいという映画を作ったって言ってるの?え?観客ってご自身のこと限定ですよね。

 一言で言えば『仮面ライダー THE FIRST』のリメイクでした。『仮面ライダー THE FIRST』の方向性や大きな流れはほぼそのままに、『仮面ライダー THE FIRST』も当時の現代風にリアレンジした作風でしたが、それを更に今の時代に即した形に落とし込み、昔の特撮番組にあった無国籍風味を足し、予算を掛けて作り直した映画という印象です。

 予告編から『仮面ライダー THE FIRST』の匂いを感じていましたが、まさかここまでマジでリメイクっぽい仕上がりにしてきたのは意外でした(『仮面ライダー THE FIRST』の中盤の所謂冬ソナ部分は流石になかったですがw)。その分、展開や内容は想定の範囲内だったので、個人的にはもうちょっと捻りと驚きがほしかったとは思いつつ、『仮面ライダー THE FIRST』が好きな私には、どちらかと言えば好きな部類の映画というか、憎めない映画となりました。

 主人公的立ち位置のキャラが存在せず(終盤までは浜辺美波さん演じる緑川ルリ子がどちらかと言えば主人公的な動きをしていました)、かといって群像劇でもないという、なんというか不可思議な雰囲気を感じました。また、映画の展開自体もエピソードを淡々と描写し消化して物語を進めていくというスタイルで、それも相まってか無機質な感じも出ており、キャラクターと観客との距離を意図的に広くとっていると思われる演出も絡めて、余計に登場するキャラクターに感情移入できない映画にもなってしまっていました(それを批判する意図はありません、そうであったという感想です)。

 終盤までは「緑川ルリ子+本郷猛(仮面ライダー)」のバディもの、緑川ルリ子死亡後からラスボス戦後までが「本郷猛(1号ライダー)+一文字隼人(2号ライダー)」のバディもの(ダブルライダーエピソード)、エピローグは「一文字隼人(仮面ライダー)+AI化した(みたいなものですよね)本郷猛」のバディものという展開です。本郷猛がAI化したのは原作漫画オマージュでしょう。最後に出てきた2号+1号のスーツデザインが最初のTVシリーズの新1号をリファインしたデザインで格好良かったのもあり、一文字隼人の今後を描く続編は作ってほしい気持ちです。そのスーツを本郷猛ではなく一文字隼人が着用するというのは、マニアには胸熱な展開ではないでしょうか。映画が淡々としてるからなかなか胸熱には感じられないけどね(笑)。

 淡々とエピソードを積み重ねて消化していくスタイルは、観客は既に仮面ライダーというものを知っているという前提も織り込んでのものだったと捉えています。余計な説明とかいらないよねっていう製作側からの問いかけは、冒頭のいきなり本郷猛が仮面ライダーに既に改造済みであるという描写からも伺えます。オッカムの剃刀みたなものですね。

 アクションも全体的にはよかったのですが、ラスボス戦だけはあかん。つか、途中までは『ドラゴン×マッハ!』のラストバトルのような雰囲気でよかったんですが(一人では勝てないラスボス相手に主人公格二人が手を組んで戦う展開で燃えない人は少ないでしょう)、急にラスボスが失速して(1号がなんかしたような感じだったんだけどよく分かんなかったよ)、そこからグダグダになってしまいました。スタミナの切れた選手達が戦うプロレスの試合を見せられているようでした。最後の2号の頭突きでのキメはよかったんですけどね。ラストバトルはしっかりとアクションを見せないとピリっとしまらないし、こういう映画が好きな層はそういうのを求めている人が多いと思うのですよ。本作の一番残念な点です。

 緑川ルリ子は死ぬんだろうなぁと思っていましたが(緑川ルリ子は純粋な人間とも少し違います)、まさか本郷猛まで死んでしまうとは。その後を引き継いで2号ライダーがショッカーと戦い続けるわけですが、あれ、本作のラスボスってショッカーを統括してなかったんかと思いましたが、ショッカーを統括していたのはAI(人工知能のアイ)でしたね。忘れてた。

 続編がもし作られたとしたら、サイボーグの体に本郷猛のプラーナ(魂エネルギーみたいなもの?)を移した仮面ライダーが登場しそう。ロボット刑事Kをモチーフとしたキャラが登場していることはその伏線かも(声が松坂桃李さんとは分からなかったよw)。

 池松壮亮さん云々ではないんですが、出演時間的には一番出ずっぱりなはずなのに、特徴的な台詞回しをより極端にした今回の演技と、映画の淡々とした雰囲気と展開、キャラクターへの感情移入をやんわりと否定しているような作風、そういったものの上に本郷猛というキャラクターを置いてしまったからか、主人公のはずなのに目立ってなかったなと思いました。そういやー、本郷猛は「変身」とは言わなかったよな(ですよね)。

 一文字隼人を演じられた柄本佑さんを予告編やスチールとかで見ていたときは、正直、イケメンでもないし(ごめんなさい)、仮面ライダーに合ってないよなと思いましたが、劇中ではなんかイケメンに見えたし(失礼)、凄く格好良かったです。彼は生き残ったので、是非、その後の活躍を映画化してほしいです。何度でも書いちゃいますよ、続編否定派の私が(笑)。それくらい観たいんですよ。

 本作の一番残念な点はラスボス戦ですが、一番ダメなところは怪人が死んでも爆発しないところです。そこも『仮面ライダー THE FIRST』のようにしないとあかん!怪人は爆発してナンボです。