悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

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刀のアイデンティティ

ネタバレしてます。

 

 

「刀」の文字がタイトルに含まれていては観に行くしかないという本能から、この機会を逃してはいけないということで、観てきましたよ。

今回は、アジアン映画祭のプログラムの一つとしての上映ということもあってか、上映前に監督とプロデューサーの挨拶がありました。監督は、この映画は実験作だったという主旨の発言をされていました。プロデューサーは、あ……、何を言ってたか忘れましたが、面白い映画を今後も発信していきたいという旨だったと思います。

あらすじは、倭寇(英語字幕ではJapaneseと表記)が攻めてきた後の中国のある都市で、倭寇が使っていた武器(日本刀)を改良した長い刀身を有した刀を武器とした武術と、それを考案した将軍の戦略を後世に伝える為に道場を開きたい部下が、その都市の武術の四大道場と争うというお話です。

多分、この映画のテーマは、「人の思惑には関係なく、時代は移り変わっていく」というものだと思います。武器が進化(変化)していくことで、武術は必要なくなり、戦術が大事になってくる。人個体の強さではなく、作戦の質が戦局を左右する。ただ、武術を志して、それに生涯を捧げてきた者には、その現状は認識はするが受け入れ難い事実であり、時代の流れに抗おうとする者もいれば、受け入れる者もいる。作戦の質が重要であり、それをもってして既存の武術に対抗する将軍の部下もまた、最終的には武術そのものに魅了され、武術という存在から逃れられない。ということを描きたかったんではないかと思います。

監督が上映前の挨拶でも言っていたように、言われてみれば実験作っぽいよなぁと思いました。それ故に、色々とやりたいこと(情報ではなくて)を詰め込もうとして、取り留めない状態になっちゃったよなぁ、と。はっきり言えば、失敗作だったと思います。嫌いではないんですが、面白かったかと言われれば、うーんっていう返答しか出来ないというか……。

よかった部分としては、四大道場主のキャラ(特に隠居して戻ってくる自称最強のおっさんと、現在の四大道場主達のリーダー)が立っていたことと、場面場面の構図や景色がハッとするような美しさ(と雰囲気)を持っていたところ、社長版ホームズみたいに戦う前に妄想する場面、とかですね。

悪かった部分としては、立っているキャラをうまく扱っていなかったこと(テーマ的に仕方がない待遇だったとはしても)、ギャグに走る部分が浮いてしまっていたこと(ギャグ自体はいいんだけど、緊張感が解れるんじゃなくて、途切れるんですよね)、テンションが持続しなかったこと(というよりも、テンションの継続が考えられていなかったことかな。シリアスなのかコメディなのかギャグなのかが曖昧過ぎました)、アクションが観客の妄想に委ねている部分が多かったこと(もっと具体的に直接的に映像で観せて欲しかった)、でした。

風刺を効かせているだろうと思われる場面がギャグにしか見えないということが、この映画の不安定さを表している要因ではないかと思いました。

結局、主人公が何をしたかったのか(道場開設が目的なのに、街を火の海にしようとしてたりするし)、周りのキャラクターもどうしたかったのかが不明瞭で、人物相関図がややこしいわけではないのに、キャラクターの行動が印象に残りませんでした。

個人的には残念な出来だったと思いますが、先にも書いたように嫌いにはなれない、そんな映画でした。