悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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白夜のタンゴ

珍しくdisっていません。



映画『白夜のタンゴ』公式ウェブサイト


監督:Viviane Blumenschein
出演:Diego 'Dipi' Dvitko、Pablo Greco、Walter 'Chino' Laborde、M.A. Numminen、Kari Lindqvist、Riku Niemi、Elsi Mattila、Reijo Taipale、Aki Kaurismäkiほか

シネマート心斎橋にて鑑賞

 素敵な映画でした。

 ドキュメンタリー・ロードムービーという感じで映画は進んでいきます。こういう形態の映画は、ボクは初めてでした。

 アメリカンニューシネマっぽい感触もあったりして、ドキュメンタリーじゃなくて、劇映画かと思ってしまう部分も多々ありました。(ドキュメンタリーなのを疑うという意味ではありません)

 そう思ってしまったのは、流れを作るのが凄くうまかったからだと思います。でも、観客もそのまま流されてしまわないように、不穏な空気とか、口論とか、喧嘩勃発寸前とかのトゲをわざと仕込んで観客に提示することで引っ掛かりを作ったりと、策士な部分も垣間見られました。(←褒めてます)

 アルゼンチンからの三人組が、妙にバランス良くて、面白くて、それもまた楽しめた要因です。そして、その三人組が出会うフィンランドのタンゴ・ミュージシャンの人達との交流も素敵で、音楽って良いよなぁーって思わせてくれました。

 「タンゴの起源はフィンランドだよ、この野郎」という映画監督のアキ・カウリスマキ(本映画のラスボスも担当w)の発言で、この映画はスタートします。アルゼンチンのタンゴとフィンランドのタンゴの違い。映画は答えを出しません。でも、別の答えを提示します。同じタンゴなんだから交流すれば良いじゃないか、と。

 アルゼンチンからの三人組は、タンゴはアルゼンチン(というかブエノスアイレス)が起源だと信じて疑いませんが、フィンランドのタンゴに触れていくうちに、タンゴの素晴らしさを再発見していく心境の変化も見ものです。

 素晴らしいものは素晴らしいと素直に受け入れて、自分に足りない部分は素直に教えてもらうという大切さを、この映画はまた示してくれます。

 車が終盤で唐突に変わったりとか(それでもエンジンが掛かりにくい車というのがミソw)、映像のトーンが安定しなかったりというマイナスポイントはありましたが、敢えて粗探ししてもこの程度の完成度の高さです。

 観終わったあとのほっこり感が心地良くて、体の中があったかくなりました。多分、心も少しあったかくなっていたと思います。