悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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イップ・マン 誕生

※ちょこちょことネタバレしています。



ドニーさんが恐らく日本でもブレイクする切っ掛け(というか超有名?)となったのは、イップ・マンの二作だとは思いますが、この映画にはドニーさんは出ておりません。でも、サモ・ハン・キンポーも出てるし、主人公がなんとなくドニーさんに似ています。イップ・マンのほんまの息子さんも出演しています。そして、懐かしのユン・ピョウまでもが駆り出され、サモ・ハンとの絡みもあります。

映画は、イップ・マンの少年時代から青春時代(9歳から23、24歳くらいまでかな)のお話を順に追っていってるだけなのですが、物語に起伏がないのに結構楽しめたのは不思議でした。それは、ところどころで色々と嗜好を凝らした格闘場面があったり、とんでも日本刀軍団(日本人の暗殺集団)が出て来たりと、地味ながらも仕掛けが用意されていたからかなぁ。

イップ・マンの義理の兄は実は日本人で、彼が少年時代に日本から送り込まれたスパイという、『ソルト』とか『顔のないスパイ』のような設定を持った人物なのですが、これは多分創作部分のようです。イップ・マンには実際には兄とか姉がいたみたいですが。

ほんで、この義理の兄は噛ませ犬だろうなと思っていたら、結構強くてびっくりですよ。二人の共通の師匠から習った詠春拳だけの組み手なら、イップ・マンよりも強いくらいなんですよね。一応、映画の中での最大の敵にもなりますし。

少年時代の彼はどもっていたりして、ちょっと抜けた感じなんかなって思っていたので、この成長振りにはびっくりです。いつの間にか実業家としても成功してるし。どもっていた部分については、偶然一緒に鑑賞したT氏が、「少年時代は日本からやって来たばっかりで、中国語を話せないとかを誤摩化す為だったのかも」、という解釈を聞いて、なるほどと思いました。やるな、兄者(いやいや、こっちの勝手な妄想だから)。

ユン・ピョウは、サモ・ハンの弟子で、イップ・マンの兄弟子にあたり、道場の師範代をやっているのですが、道場乗っ取りの為にサモ・ハンを毒殺したとずっと思い込んでいて、いつ牙を剥くんやろうって思っていたら、普通に善人で、凄く師匠のことを尊敬している人でした。ごめんなさい、ユン・ピョウ。でも、なんかさ、顔が悪人面になってたからさぁ、そう思っちゃうのも無理ないと思いまっするよー。

笑ったのは、敵のラスボスである日本人商人の娘が、ずっと噛ませ犬だったことですね。普通、最初は弱くてもこういうキャラは最後には強くなっていたり、卑怯な手段でメインキャラを殺っちゃったりすんのに。イップ・マンの義兄にもやられ(これは八百長かもしれませんが)、ユン・ピョウにもやられ、イップ・マンにもやられて挙げ句の果てにあっさり死亡するという、ある意味おいしいキャラでした。

それから、日本人商人がちゃんとイップ・マンのことを「葉門(ようもん、not はもん)」と呼んでいたところは好感度大ですよ(マテ)。

可哀想なのは、イップ・マンの姉弟子が、イップ・マンのことをずっと好きなのに気付いてもらえず、しゃーなしにイップ・マンの義兄と結婚して身籠った時に、イップ・マンの義兄の為に日本人商人に捕らえられ、流産して、義兄も死亡し、ごっつ悲惨な目にあったにも関わらず、後日どうなったのかを語られなかった部分でした。どうなってんなー、その後は。ちょっと気になります。

この映画、ドニーさんのイップ・マンの前日譚じゃなくて、リスタート的な位置付けなんかなぁ。X-MENの新作みたいに(新作つっても公開は一年前だけどね)。イップ・マンを題材にした映画とかテレビドラマはたくさんあるみたいなので、その一つかもしれませんけどね。主人公がドニーさんになんとなく似てるので、あぁ、これがドニーさん版イップ・マンのここに繋がるのかとか思いながら観ちゃったけど。主人公役の人って、本物の詠春拳の使い手さんなんですね。ほほぅ。