悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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ジョン・ウィック:チャプター2

ネタバレしてますし、disってもいます。悪くはない映画なんですが……。




 前作同様、アクションはいいし、キアヌはかっちょええし、ガン・フーもいいんだけど、どうも肩透かしを喰らったような気分なのです。

 いい場面は結構あるし、部分部分はノレるんだけど、どうして諸手を挙げて楽しめなかったのかって観終わったあとに考えたのですが、これ、『仮面ライダー555』のライブ感(そこ、ここは笑うところじゃないぞw)を醸す作り方に似てるからだわって思いました。555も、一週間という間が空いての1話ずつの鑑賞なら、毎回ノリノリで続いていくのでテンションも上がって面白いのですが、DVDとかで一気にまとめて鑑賞すると、どうも細かいところの辻褄や(整合性)や、設定があやふやなところがメチャクチャ引っ掛かってしまうというのと同じ印象やわと。

 ジョン・ウィックは、マフィアや裏稼業の人達の間でリビングレジェンドになっているのに、思ったほど強くはないという描写も、最強オヤジ系を見慣れた今となっては引っ掛かるといいますか。確かに世界トップクラスというか、単体での実力はトップなんだろうけど、彼に匹敵する能力の人も何人もいますからねー。リビングレジェンドなんだから、そこはもっとぶっちぎりじゃないといけないと思うのですよ。特に映画ではそうしないと、うまく観客に伝わらないと思うのです。

 確かに5年ほど引退していて、能力は衰えたんだろうとは思いますし、前作はそういう感じで作っていたとは思うのですが、その説明というか提示の仕方が下手というか。それはジョン・ウィックがあまり喋らないというキャラクターということで、なかなか難しいのは分かるのですが。狂言回し的なキャラクターもいないですし。

 もう一つ、ジョン・ウィックの強さも、場面毎に微妙に設定レベルが違うのかなと思ってしまうこともあるのも、ノレない要因の一つでもあります。これは、映画としてこの場面はこういう形がかっちょええよねっていうことのみを実践してしまって、全体のバランスを見ていないからそうなってしまってるんだなと思います。それをやるには、もうちょっと映画全体のパワーを付けないと、細かいアラはかき消されないのではないでしょうか。先ほどは555に例えましたが、ジョン・ウィックの強さの提示のゆれって、ライブ感を押し出してしまっているから生じてしまう悪い副作用となってしまっているのではないでしょうか。

 また、この映画は世界観の設定には結構こだわって、細部まで作りこんでいるのではと推測しますが、それを劇中に反映させる作業が甘いようにも思うのです。この映画の世界は、バットマンゴッサムシティみたいなもので、現実世界をベースにはしてるけど、お伽話な世界なんですよっていうのを、もうちょっと分かりやすくした方が、もっとジョン・ウィックというキャラクターや、他のキャラクターも活きてくると思うのです。スーツだけで銃弾が貫通しないとかさ、もろお伽話でしょ。それを作劇的にも隠さざるを得ないのは、『47RONIN』の呪いなんだろうか(笑)。

 ラスト、ジョン・ウィックは最初は歩いて公園から去ろうとするのに、徐々に小走りになっていって、すぐに結構本気の走りになるのは、組織連合体から(ということは全世界の裏組織の人達から)狙われるようになってしまったジョン・ウィックがビビってるっていう演出なんだろうけど、そういう風に見せてしまったことで、ジョン・ウィックの強さの提示が更に消えてしまいました。ジョン・ウィックすらビビる組織という意味かもしれないですが、マイナス効果しかないと思います。しかも、キアヌの走り方がなんか滑稽だから、奇妙な場面としかなってないのも問題なのです。

 ちょっと色々とdisってしまいましたが、悪くはない映画だと思いますし、キアヌを含めてのバトルアクションは素晴らしいです。躊躇のないヘッドショットは最高です。続編に期待したいです。