期待しまくって、ハードルが上がりまくった分、地味にdisってますが、楽しめる映画なのは間違いないですよ。ネタバレもちょっとしちゃってます。てへ。
もう凄い映画っていう噂だけはずっと前から聞こえてきておりましたが、やっと日本でも公開されました。米国より一年くらい遅れて。遅い、遅いよ。キアヌ・リーブス主演なんやから、もっとサクッと日本でも公開してくれたらええのにー。
映画は、もうね、キアヌ・リーブスがかっちょええーという言葉しか出ません。というか、展開とか諸々が結構スベってるんですが、それをキアヌ・リーブスの存在感で隠してるというか、まとめてるというか。
冒頭、ラストの展開のちょこっと前から始まるんですが、そこで、アレっ、この映画、悪い意味でヤバいかもと思いました。うん、時系列をいじくる必要なんてなかったですね。
おそらくは、病で亡くなった配偶者の生前のスマホ画像からのジョン・ウィックに向けたセリフ「家に帰らなきゃ」を、ジョン・ウィックがボロボロになってる状況で聞かせたいという意図からだと思います。そこは確かにいい場面になっていたけど、逆に冒頭とその後の展開がグダってしまったので、プラマイで言えばかなりのマイナスだったように思えます。
犬との生活は正味二日もない程度でした。家に来た翌日にあっさりと殺されちゃいます(泣)。もっと一緒に住んでいた時間が長いもんだとばかり思っておりましたよ。
ジョン・ウィックは殺し屋を廃業してから5年以上ものブランクがあって、昔に比べると弱くなってるみたいです。だから、家に侵入されても気付かなかったし(犬が先に気付いて惨劇に)、背後からあっさりとバットか何かで殴られて、抵抗もせずにボコられちゃいます。
この場面、予告編で何度も観て、ジョン・ウィックを敵に回すとマフィアすらビビるという説明なのに(笑)、案外あっさりとやられてるよなー、まぁ映画的な展開のためなんやろうなーと思っていました。ただ、ここがかなり引っ掛かっていたポイントでもありましたが、うまいこと設定付けしたよなって感じです。
復讐すると決まったあとは迅速な行動でしたが、やはり気持ちまではなかなか戻りきれていなかったので(配偶者との生活がなかったことになってしまうという恐れがあったんだと思います)、往年の実力が発揮できていないという設定もうまかったのではないでしょうか。あとで殺し屋にカムバックだよ的な発言のあとは、少し強くはなったのかな。どうもそうは思えない演出(というか中途半端な見せ方)だったように見えましたが……。
ジョン・ウィックはマフィアが恐れる殺し屋ではありますし、単体としての戦闘力は劇中一ですが、ブッチギリで強いってわけでもありません。ロシアンマフィアの用心棒とはほぼ互角でしたし。様々な殺しのスキルもあって、行動や計画が大胆不敵という部分が恐れられていたのかもしれません。
世界観は良かったし、面白かったのですが、それが映画の面白味には繋ぎきれてなかったように思えます。世界観も含めた設定を前面に押し出したかったのか、物語を前面にしたかったのか、ジョン・ウィックの感情面を押し出したかったのか、ハッキリできなかった部分が、個人的には満足度はありながらも、どうもキレが悪いように思ってしまった要因なのかもしれません。
世界観の設定を優先させた事例として、女性殺し屋が終盤にホテルでの殺人の一件でホテルのオーナーから電話で呼び出され、わざわざ出向いて殺されちゃうという展開がありました。いやいや、そこはジョン・ウィックとの第2ラウンドでしょって。
そういうこともあってか、ラストは結局は、マフィアのボスとのグダグダのタイマンになりましたし。マフィアのボスも格闘術を使えるという設定でしたが、ジョン・ウィックや達人というかその道プロほどではないという設定にしてたんやから、タイマンがあまりよい場面にならないというのは分かりきったことだとは思うのですが。
そして、噂のガン・フーですが、一つの格闘(殺し)スタイルとして使われているだけというか。ジョン・ウィックの必殺技というか、ガン=カタみたいな流派的な使われ方はしてなかったように思います。これがガン・フーかって構えて観ていたというのもありますが、そんな予備知識がなかったら、普通のリアルな格闘アクションとして観ていたんじゃないでしょうか。それがダメというのではなく、かっちょ良かったんですけどね。
思い返してみますと、この映画、一般人はほとんど出て来ないというか。ジョン・ウィックが関わるのは、ほぼ全員闇の世界の住民なんですよね。こういう設定は本作にて十分になされていると思いますので、製作が決定した続編は、是非ジョン・ウィック無双を心置きなく映像に焼き付けてほしいです。