えっと、ネタバレしておりますが、話の筋というよりも世界観を楽しむ映画だと思いますので、特にネタバレを踏んでも問題ないような気がします(個人の感想ですw)。
和歌山市内を舞台にした映画。たまたまこの映画を観たのですが、出来のいい映画とは決して言えないけど、なんか、心にどっしりと乘っかかられたようです。
最初から、画面は単なる日常風景なだけなのに、その根底に悲しみの色みたいなものが見えてしまって、最後はバッドエンドなんだろうなって身構えてしまっていましたが、ハッピーエンドでよかったです。うん。この映画はハッピーエンドしか似合わない映画(もしくはハッピーエンドしか受け付けない映画)だったように思います。
「ちょき」というのは、ヒロインが主人公に勝手に付けたあだ名で、ヒロイン以外はそう呼んでいません。どうして「ちょき」かというと、主人公は髪切り師で、ちょきちょきハサミを使って髪を切る人ということからです。
主人公とヒロインの出会いは10年前、主人公が1階で美容室(と理髪店を合体させたような感じ)を営み、配偶者(物語時点では鬼籍)が2階で書道教室を開いており、ヒロインはその書道教室の生徒でした。
ヒロインは、幼い頃から両親(母親だけ?)のDVに晒されていて、7歳(か8歳)のときに、鏡に頭からぶつけられたときに目をやられたことが原因で、今は完全に失明し、和歌山市内の盲学校に通っています。母親は現在服役中(色々やらかしているらしい)で、一年以内に仮出所するかもっていう状況です。
物語は、ヒロインが10年振りに主人公に電話をかけたことから始まります。いや、正確には主人公のなくなった配偶者に対して電話をかけたことから始まります(ヒロインは主人公の配偶者がなくなった事実を知りませんでした)。
最初は、お互いに懐かしさから会っていたのでしょうが、ヒロインはかなり年齢の離れた(20歳以上かな)主人公に恋してしまい、主人公もなくなった配偶者がヒロインを娘のように可愛がっていたことから、当初は恋愛対象になるとは思っていませんでしたが、周りが過剰に反応した結果、そういう対象になってしまいます。
ヒロインが母親が出所して一緒に暮らしていくかもしれないという現実に直面したとき(しかもほぼ避けようのない選択肢かもしれないと思わされるような)、過去がフラッシュバックしてしまい、心の傷が大きく開いてしまいます。それに直面した主人公は、ヒロインをこれからも守っていく(結婚する、ですよね)という選択をします。という映画でした。
この映画を気に入ったのは、主人公の選択が今ここからの「新しい出発」ではあるけど、今までを忘れてとかっていうのではなく、今までがあったからこその今からというスタンスで、新しく歩き始めようとするところなのかな(という風に私は捉えています)。『めぞん一刻』の主人公もこんな受け入れ方でしたっけ。
パンフレットを買おうと思ったらなくて、レコードプレーヤーもないのにアナログレコード(LPですよ)を買ってしまいましたよ(笑)。3,500円はちょっと高いかなとは思いますけどね。映画鑑賞代金より高いじゃんって思ったんですが、昔もサントラの方が鑑賞代金よりも高かったですね。