悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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獣は月夜に夢を見る

若干ネタバレしていますし、disっています。




 北欧(ノルウェーデンマーク?)の片田舎が舞台で、閉塞的で退廃的なムードを醸し出してるのはなかなかいいのですが、大きくは動かないストーリー(ジワジワ系のストーリーと言った方がいいのかな)とが、うまく合わされていなかったように思いました。映画の上映時間は1時間半もないのですが、退屈でした。単に最後までダラダラと退屈な内容にしてしまっただけなのが勿体ないというか。閉塞的で退廃的なムードの映画って、一歩どころか半歩でもズレると、ただただ退屈だったっていう落とし穴に落ちちゃうんですが、この映画はその典型的なものだったように感じました。

 終盤の主人公の爆発も、なんとも微妙というか、弾けきれてないというか。どうして弾けきれなかったのかって考えたのですが、説明不足というか、主人公を含めた登場人物や周辺事情、環境を含めて、描写不足なところが多いのがやっぱり大きな理由になるのではないかなーと。

 主人公の母親は、自殺だったのか、それとも村の人に殺されたのか。この描写が曖昧なので、主人公の最後の殺戮にプラスαの要素を加えられなかったこと。

 船に乗っていた人達は、主人公の母親が過去にしでかしたことが理由なんでしょうけど、主人公を幽閉しようとしたのか、それとも殺そうとしたのか、はっきりしなかったところ。

 船に乗っていた人達の仲間の一人(主人公と同じ職場のいじわる男子)が、主人公を襲って(というか嫌がらせをして)逆に殺されてしまったことに対しても、それを知らないはずはないだろうに(主人公のカレシが知ってることからしても)船に乗っていた人達の危機感が薄いこと。

 主人公の母親がロシア船籍の船に幽閉?監禁?されていた事件について、もう少し踏み込んだ状況の提供はほしかったこと。

 父親は母親の病気を知っていて、それを抑えるために全身不随になるように薬を定期的に注射し、母親は傍目から見ると全身不随で車椅子生活を送っているという体の割には、主人公がピンチ(?)だったとはいえ、医者を襲ったということはどう説明するんだろう。薬が切れていたわけでもなさそうだし。

 主人公の父親も、何を考えているのかよくわからない描き方だったような。トラブルを起こしたくないということからの行動なんだろうけど、家族を愛するためなのか、自分の保身のためなのか、どうもその境界線がわからなかったというか。

 観客に想像してくださいというだけの投げっ放し系の映画は個人的に大嫌いということもあるのですが、最初にも書きましたように閉塞的で退廃的なムードにしてしまったこととストーリーの展開が弱いということも相まって、中身が薄いっていう感想しか抱けませんでした。

 まぁ、大人への成長という部分を、化け物という要素を使って表現したかったのかもしれませんが、なんか化け物という対象へのリスペクトは感じられませんでした。そういう人が化け物っていう要素を使うなよって、化け物映画が大好きな自分としては思うわけですよ。

 化け物映画でよく(人間の)ドラマ部分が弱かったって言われる映画は多いですが、これは逆に化け物の殺戮部分が弱かったっていう映画とも言えるかも。