悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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セトウツミ

えっとdisっていません。ネタバレも何も特にそんな展開のお話ではないのでしてません。




 予告編は何度か観ていたのですが、正直、「また池松壮亮菅田将暉かよ。染谷将太綾野剛が落ち着いたと思ったら」っていう感想しかなく、観たいとは思いませんでした。

 しかし、ツイッターでの評判がいいことや、最近ちょっと映画を観る回数が減ってきていて、なんでもいいから映画を観たいなと思ったこと、スケジュールが合ったこと、上映時間が短いのでサクっと観れるだろう、面白くなくても短いからいいかも、なんていう複雑でもない要素がうまく融合したので、観に行ってきました。

 素晴らしいとか、凄いとか、そんなんではなく、「いい映画」でした。勿論、素晴らしいし、凄いのですが、ボクの中ではそれよりも「いい映画」という印象で支配されています。そして、鑑賞後は、幸せな気分、ほっこりした気分になりました。こういう気分は久しぶりです。

 原作は漫画ということで、ボクは未読ですが、漫画の方もほぼ主人公二人が川辺に座ってダベるだけだそうで、映画化には非常に難しいような題材と思うのですが、うまく映画という枠組みに溶け込ませています。

 おそらく、池松壮亮菅田将暉の演技が、レベルのかなり高い点で噛み合い、それを製作陣がうまく拾っているというのが、この映画の最大の化学反応だったのでしょう。池松壮亮菅田将暉の二人の演技は、一年早くても遅くてもうまく噛み合わなかったでしょう。少なくともこの映画が求めているレベル(ベクトルの方が合った言葉かな)ではダメだったと思うのです。題材、製作陣、製作時期も含めての奇跡だと思うのです。同じメンバーが揃ったからといって、このレベルで別の映画を作るのは難しいと思います。

 また、空気感の構成がいいんですよね。その世界にずっといたいと思わせるような感覚。ボクは、こういう映画に弱いんだなって、改めて思いました。

 撮影について、カメラを何台か用意して、池松壮亮菅田将暉の二人にはミスっても最後まで演技させたりしたのかな。池松壮亮菅田将暉の演技にしても、事前にかなりリハーサルをしたのか、結構アドリブ満載でスポンティニアスにさせたのか。どちらでもあるし、どちらでもないように思わせる感じが、個人的にはツボに入りました。

 これ、堺市が舞台なんですね。ロケ現場に行ってみたい(笑)。

 

インデペンデンス・デイ:リサージェンス

微妙にネタバレしてますし、微妙にdisっています。




 劇場の問題もあるとは思いますが、3Dは画面が暗過ぎました。どうしても3Dで観たいという方は、IMAX 3Dなどを選択してください。ただ、3Dの意味、効果はあまりないので、2Dで十分だと思います。

 前作の内容をほぼ忘れた状態で鑑賞に臨みましたが、前作はおさらいしておいた方がより楽しめるでしょう。

 続編の宿命ではあるのですが、前作にかなり引きずられているのが、この映画の爆発力を奪っていたと思います。また、群像劇の弱点である視点の複数化も、物語の展開を軽いものにしてしまっています。

 そして、どこかの映画であったような設定だなとか、展開だなっていうものの盛り合わせになってしまっており、この映画の売りというものが「前作の続編である」というものだけに陥ってしまっていたのは意図的なんでしょうか。

 敵側の宇宙人に滅ぼされた別の宇宙人の協力によって撃退するっていう展開を否定はしないですが、もっと人類の叡智や卑怯な作戦で倒すという展開を個人的には期待していたということもあり、ノレなかったのかもしれません。

 ドンドンバンバンだけを楽しむんだとかなり割り切って鑑賞に臨めば、料金分程度の満足感は得られるのではないでしょうか。

 元大統領の娘役の人を何かの映画で見たよなってずっと思っていましたが、『イット・フォローズ』という映画でイットさんにストーキングされてた主人公の方でした。あの映画よりかは、本作での方が美人に撮られてましたね。

 中国人パイロット役としてアンジェラベイビーさんも出ておりましたが、登場時は美しかったですが、だんだんと……。あ、いえ、個人の感想です。

 前作も、ジェフ・ゴールドブラムがなんだかんだいって主人公だったような気がしますが、今回もなんだかんだいって主人公だったような気がします。

 フィクトナーさんが、まさかの大統領になるとは(笑)。いやー、出世されましたねー。つか、シャルトッロ・ゲンズブールが出ておりました。いやはやお美しい。

 

貞子 vs 伽椰子

ネタバレしていますが、呪わないでください。


 結論から書きますと、大変面白く、大笑いできた映画です。ホラー映画で大笑い?と思われるかもしれませんが、会場は良い意味で爆笑が起こりました。最初から予想していたことですが、ホラー映画というよりも昔の怪獣対決映画のノリに近いです。貞子と伽倻子の二大怪獣の激突でした。

 振り返ってみると映画としてはかなりスカスカな出来栄えではありますが、貞子、伽倻子という二大キャラを単純に前に出すという方法が功を奏したのか、余計な装飾がなかったので、対決しちゃうんだっていうワクワク感が最後まで持続したのではないでしょうか。

 最後のネタバレですが、予告編にもあるように貞子と伽倻子をぶつけて呪いを相殺というか、二人を戦わして消滅させようとするのですが、結果、貞子と伽倻子が合体します。融合します。ドラゴンボールで言えばフュージョンします。マジです。2chとかでは「サヤコ」と呼ぶようです。主要登場人物も(多分)全員あぼんです。しかも呆気なく。もう人類は滅亡しかないようです。『呪怨』の映画の一作目も人類滅亡エンドだったような気がしますが(笑)。

 昔の怪獣対決映画って、プロレスで言うところの両者リングアウト的な決着の仕方が多かったように思います。この映画もそうなるんかな、なんて考えていました。ラストバトルのところで、この二人がオトモダチとなってタッグを組んだら、ハンセン・ブロディの超獣コンビのようなチームになるよなぁと思ったら、予想外の合体決着を見せられてしまいました。これにはやられました。確かに二人共思念体みたいなもんだし、合体しやすいですよね。ついつい対決だから決着をっていう思考に陥ってしまっていたので(最近はプロレス観戦に注力しているっていうのもありますがw)、個人的にはかなりブラインドを突かれた結末でした(勿論、良い意味で)。

 不満点というのではないのですが、ちょっと貞子の方を描き過ぎというか。そこはもうちょっとバランスを取った方がとも思いました。出張型の貞子と引き込み型の伽倻子(with 俊雄)では仕方がないと思いますし、監督のインタビューでも苦労した跡が伺えます。

 ただ、貞子は強力な霊能者相手に無双したりしてるのに対して、伽倻子の出番はヒロイン二号の母親を屠ったくらいでほぼ登場は最後のバトルのみで、俊雄も小学生4人とヒロイン二号の父親を屠った程度で、素人(一般人)しか相手にしてないんですよね。この描写によって力量の差が意図せず提示されちゃってたように思います。最後のバトルでも、伽倻子と俊雄は貞子に一回瞬殺されますしねー。

 これ以上disったら呪われるのでやめます(爆)。マジで面白かったですしね。

 次は、貞子vs伽倻子(with 俊雄)vs富江とか、貞子vs伽倻子(with 俊雄)vs加奈子(師匠シリーズ)とか、海外からジェイソン・ボーヒーズ氏を招待して、伽倻子ハウスで貞子の呪いのビデオを鑑賞するジェイソンとかやってくんないかなー。

 

10 クローバーフィールド・レーン

ネタバレしておりますし、disってもおります。




 元カレ軍団を結成できるくらいの女性だった人も、今や中年のおばさん予備軍となりました。今は同棲している彼氏と口論したくらいで家を飛び出していくような女性になっちゃってました。昔だったら、こんなときは元カレ軍団徴集したんでしょうけど。という映画です。

 前作の内容もあまり憶えてはいませんでしたが、観ていなくても大丈夫です。続編というよりも前作と同じ世界(設定)の別の場所のお話という作り方です。

 ハワードは自宅地下にシェルターを作っています。エメットはシェルターを作った業者の一人です。ミッシェルはブラッドリー・クーパー(声の出演w)と同棲していましたが口論の末に別れて、実家(なのかな)に向けて車を走らせていましたが、途中で監禁目的のハワードに車をぶつけられて事故ってしまいます。

 ただ、おそらく同じ時間に宇宙人(前作では怪獣じゃなかったでしたっけw)が地球をガス攻撃したりしたので状況が変わり、ミッシェルを助けたようになってしまい、エメットまでシェルターに来てしまったのはハワード的には誤算でした。

 ハワードは、配偶者と娘に逃げられて(多分、ハワードの暴力と異常さが原因なのではないかな。もしかしたら、殺されているのかもしれません)、近くの少女を誘拐して虐待等した挙句に殺していたようです。

 ミッシェルは最初はハワードを疑って逃げようとしますが、そのときに偶然宇宙人の毒ガス攻撃に合った女性がシェルターに助けを求めにきたのとバッティングして、ハワードの言ってたことは本当なんだ(実は違うw)ってなって、ハワード、エメット、ミシェルのほのぼのした地下生活が暫く続きます。

 エアコンの故障でミシェルがエアコン整備室に入ったとき、窓に書かれたHELPの文字とイヤリングを拾います。そこで、前にハワードが自分の娘だと見せてもらった写真の少女が別人だったこと(娘を知ってるエメットと確認)が分かり、エメットと共に脱出するためにガスマスク全身仕様バージョンの作成を開始しますが、あともう一歩のところでハワードにバレて、エメットは頭を撃ち抜かれて死亡。ミッシェルは決死の逃避行でハワードを撃退しやっと外に出たら、マジ宇宙人いるやんか状態(笑)。

 でっかい宇宙船に飲み込まれそうになったんですが、って、あれ自体が宇宙人っぽいです。で、口があったので、アルコール飲料と紙とライターで爆弾作って投げ込んで撃墜しました。すげー。

 ミッシェルは車をあてどもなく車を走らせますが、ふとラジオをつけると人類側が反撃開始ということで、バトンルージュに行けば難民キャンプがあって、ヒューストンに行けば戦闘要員か医療要員として戦いに参加ということで、悩みますがヒューストンに向けて車を走らせる場面で映画は終了です。

 うん、この最後の場面はよかったんですが、それまでがなんというかかったるいというか。

 

ディストラクション・ベイビーズ

かなりdisってます。




 予告編からは地雷臭を嗅ぎ取っていたのですが、ツイッターのTLでの評判がいいので(←ツイッターに単純に騙されるヤツw)、地雷臭は嗅ぎ取らなかったんだと過去の自分に嘘をついてまで、ごっつ観たくなってきたのですよ。

 前半はよかったのになー。後半はいきなり失速して、映画から聞こえる音は息切れした叫びだけ。うーん、失敗するべくして失敗したんかなって感じです。自分の体力、スタミナを把握してなくて、マラソン大会でスタートダッシュを華麗に決めてみたけど、途中でもう走ることができなくなって、ハァハァゼェゼェと歩きながらゴールインしたという高校時代の自分の黒歴史を思い出しましたよ。思い出させるなよ、んなことをさー(笑)。

 溢れんばかりの暴力が画面から湧き出してくるのかって思ったら、ごっつ映画と観客の間に大きな高い壁を建てられて、映画の中にだけ暴力的なものを封じ込めてしまっていて、そういうのをもっと溢れ出させるのが映画なんじゃないのか、なんて思ったり。喧嘩の場面も、アクション映画に慣れてしまってるっていうのも大きいのですが、迫力がないというか、音がしょぼかったりするし。それがリアルなんかもしんないけど、映画っていうことを考えてほしかった。ボクが観た映画館の音響があかんかったんかなぁ。

 柳楽優弥の前半の存在感が嘘のように、後半は空気になるのってどういう意図があったんだろうか。菅田将暉小松菜奈が壊れていくというか、本性を現していくほど、柳楽優弥の理由なき喧嘩が色褪せていくのは、そういう演出だったんだろうか。

 製作陣が映画をどう転がしていこうか、着地点にどうやって辿り着こうかと迷ってるうちに、時間がきて終了したなという気持ちが拭えません。こじんまりとまとまってしまったのがねー。

 そして、ここでも、池松壮亮が……(メインキャストで菅田将暉も出てるけどw)。もうね、数年前の染谷将太みたいに、池松壮亮菅田将暉も使えるだけ使われて、出汁が出なくなったらフェードアウトっていう道が見えているような。綾野剛はまだ踏ん張ってますね。頑張ってほしい。っていうか、この映画とは関係ありませんでしたね。

 

ヒメアノ~ル

凄い映画でしたが、ちょこっとdisっちゃったりもしています。




 原作未読です。というか、原作がどんなものかも全く知りません。この映画が公開されるのを知ったのもつい最近で、映画館でポスターが何気なく視界に入ったのと、タイトルが面白いなと思ったこともあって、頭の片隅に残っていただけでした。予告編すら観たことありませんでした。

 ツイッターのTLでは何気に評価が高いということや、ホラー映画という記述もネットで読んだこともあり、「あのタイトルが面白い映画か、ちょうど映画の日だしな」ということが重なって突撃してきました。

 凄い映画でした。観るのにかなり精神力を使いました。もう当分は観たくはないです。映画がつまんなかったからという意味ではありません。今のボクには、もう一回観る気力がありません。それほど、心に重い何かが乗っかりました。

 役者陣が特に凄かったというか。優柔不断、キ○ガイとか、イライラする人物を皆さん好演していました。主演の人はジャニーズらしいですが、いいんですか、あんな役やって。しかも、演じてるというよりかは、素を曝け出したって感じがするんですが(笑)。もう、アイドルには戻れないんじゃないですかって、他人事ですが心配してしまいましたよ。

 ただ、小道具面の失敗が足を引っ張っていたと思います。主人公二人が再会して居酒屋で飲む場面で、せっかく生温くなったビールであの空間や人物関係を表現しているのに、場面によってそのビールの量が違ったりとかして、映画の世界観に没入することを妨げてくれたんですよね。一つの場面でたくさんのカットを撮ったとは思うのですが、その弊害か、それらの繋ぎ方が雑な面が見えてしまったりとかも多かったように思います。

 この映画って、雰囲気というか、映画の世界に引き込むという手段もかなり重要なものだと思うのですが、そういう細かいミスで現実世界に戻らさせられてしまうのはかなり残念です。気にするポイントが違うだろって言われればそうなんですが、気になったらずっとそこに注力しちゃうのは仕方がないじゃないですか(泣)。

 原作もそうなのかどうかわかりませんが、警察の扱いをかなり間抜けに描いているのも、興醒めしてしまうポイントではありました。あと、登場人物の危機管理能力のかなりの低さとか。

 あれ、結構disってしまってるけど(笑)、凄い映画には違いありません。あ、主演のジャニーズの人、この映画での風貌が岩城滉一に似てるなって思いました。

 

スノーホワイト/氷の王国

ネタバレしていますし、disっています。



 前作の主演女優と監督が不倫した結果、監督は降板、主演女優も最終的には降板となり、元々三部作として作ろうとしていた計画も頓挫したのかな。思いっきり負の影響を受けてしまっている状況にありながら、続編が作られてしまったということにビックリです。しかも、クロニクルってタイトルにあったような気がしますので、これからも続けて作っていくという意思は変わらないのだろうか。

 前作の続きなのか、前日譚なのか、スピンオフなのかよくわからないまま鑑賞に臨んだのですが、よく考えてみたら、前作の内容を憶えてないので、そんなことはどうでもよかったのかもしれません。一応、本作の序盤が前作の前日譚で、中盤より前から後が前作からの続きとなります。

 ネタバレなあらすじを。セロンさんはスノーホワイトに前作でやられちゃいましたが、魂を鏡に封じ込めて、スノーホワイトに言葉責め(多分w)で病むくらいまで追い込みかけました。スノーホワイト陣営は、鏡を持ってたらあかんわと、聖域と呼ばれるところに持って行って封印しようとしますが、紆余曲折があって鏡は行方不明となってしまいます。

 スノーホワイト陣営の王子は、無職になってるクリヘムに鏡の捜索を依頼します。で、クリヘムですが、ソーのように強くはありません。当たり前か。でも、本作で繰り上げ主人公に祭り上げられてしまったからか、主人公補正も弱いというか、ほぼありません。普通のちょっと強い兄ちゃんレベルです。

 街の酒場でクリヘムがボコられて殺されそうになったところを、死んだと思っていた配偶者のチャステインさんが助けてくれます。生きててよかった。つか、前作の悲しみは何処へ(笑)。

 またまた紆余曲折があって鏡を探し出します。そして、その道中でクリヘムとチャステインさんがよりを戻しますが、セロンさんの妹のエミリーさんが軍隊を引き連れてやってきて、多勢に無勢の中、エミリーさんの精鋭部隊の自称最強のメンバーだったチャステインさんも実はエミリー側のままでしたということで、鏡は取られてしまいます。クリヘムもエミリーさんの精鋭部隊の最強の一人ではありました。弱いけど。

 エミリーさんは「鏡よ、鏡」と鏡に問いかけたことで、セロンさんが復活。勝手にエミリーさんの軍隊を使ってスノーホワイト陣営に戦争を仕掛けようとします。そのことに少しご立腹なエミリーさん。「私が女王なのよ」プンプンって感じです。

 エミリーさんは、不倫の結果、娘が生まれてしまうのですが、不倫相手が娘を焼き殺してしまい、それが引き金となってなんでも凍らせるという能力が発動します。実は、これはセロンさんが仕組んだことで、その娘が成長したら自分より美人になると鏡に言われてしまっていたことと、能力があるはずなのに発動しないエミリーさんにちょっと不満があったことからでした。実の妹なのに、えげつなー。

 エミリーさんはこのこともあって、征服した国のお子様を集めて訓練して自身の精鋭部隊にしていたのですが、そこには捻くれてはいましたが、愛情はあったのでした。

 ちょこちょこと展開があって、チャステインさんは実はクリヘムを裏切ってはいなくて、二人してセロンさんとエミリーさんの前で処刑されそうになります。でも、元仲間を助けるために、エリミーさんの精鋭部隊が裏切ります。セロンさんは容赦なくそういう精鋭部隊に手をかけていきますが、自分の子供に手を出されたという思いのエミリーさんは遂にセロンさんに攻撃開始。ここで、壮絶な他人を巻き込みまくる姉妹喧嘩になってしまいます。

 セロンさん対その他全員という戦いになりましたが、セロンさんは強いです。しかし、エミリーさんの捨て身の攻撃で、主人公で結構出ずっぱりなのに印象に残らないクリヘムがやっと鏡を撃破してセロンさんはあぼん。エミリーさんもお亡くなりになったことから、エミリーさんが治めていた北の国も解放されてめでたしめでたしで映画は終了でした。

 しかし、元々三部作の予定だったからなのか、どうも次回作を作りたいような気満々です。もう止めた方がいいと思いますよ。

 展開は早いので、ほぼ2時間という長さ的なものはあまり感じませんでしたが、とにかく見せ場がないというか。アクションももっさりしていて、キレがないんですよね。ラストバトルは少し面白かったですが、そこまでが盛り上がってもいない状況なので、すぐに醒めてしまうというか。

 豪華な俳優陣と予算を潤沢に使っていますが、はっきり言って無駄遣いですよ、これは。特にチャステインさんが合ってないというか、おばさん過ぎるというか。いや、役者としては申し分ないんですよ。ただ、この映画に合ってないというか。この役はほぼ無名の若手枠でよかったんじゃないでしょうか。

 それに先にも書きましたが、クリヘムがね、存在感が薄いというか。クリヘムにしても、セロンさんにしても、前作からの契約上の関係で出演せざるを得なかったんかなとは思うのすが、エミリーさんもチャステインさんも、売れっ子なんだから断っても問題ないと思うんですよね。なんで出演したんやろうか。

 

全日本プロレス ファン感謝デー

 エディオンアリーナ(大阪府立体育館)第二競技場で行われました、全日本プロレスファン感謝デーに行ってきました。

 先月のチャンカン優勝決定戦に比べると少し空席が目立つかなという感じでした。8割から9割くらいの入りでしょうか。いつも会場でお見かけする方が多かったので、固定客の集客については問題ないけど、新規顧客の集客という面ではまだまだというところなのでしょうか。いい試合をしていることが新規顧客の集客に直接的に繋がっていないということは、発信力が弱いということなのかもしれません。

 最近は、YouTubeやニコプロへ積極的に動画をアップしたりしていますが、まだまだそれは全日本プロレスを元々知ってる方や、既にファンの方に対しての発信なんですよね。プロレス自体を知らない方、メジャー団体である新日本プロレスしか知らない方へどんどん発信していってほしいんですけどね。今の固定客を大事にして、強固なものにするということを優先しているのかもしれませんけどね。今はファンだけど、次もファンでいてくれる保証はないわけですしね。

 と、まったく大会に関係ないことを口走ってしまいましたね(笑)。

 今回の大会はファン感謝デーということで、通常のシリーズとは少し気色の違った試合構成となっているようです。ファンクラブ会員のみのサービスとして、今回はリング上に全日本プロレス所属選手全員との集合写真撮影がありました。当然、ファンクラブ会員なので参加しましたよ!!!

 試合の前に、ジャンボ鶴田選手の17回忌ということで、10カウントが鳴らされました。お亡くなりになられて、もうそんなに経つんですね。

 第1試合は我らがワイルド取締役の大森選手と、地元大阪で活動しているTORU選手のシングルマッチでした。TORU選手は、この前に行った大日本プロレスにも出場されていたように記憶しております。

 TORU選手も頑張ったのですが、大森選手の牙城は崩せず、アックスボンバーの前に沈んでしまいました。これはTORU選手の査定試合だったのかな。なんかそんな感じがしました。TORU選手は雑な動きも多かったですが(緊張していたのかな)、大きいですし、全日本にこれからも継続参加すれば大化けするかも、なんて思いました。

 第2試合はSUSHI選手対くいしんぼう仮面選手の異色対決でした。密かに、この試合を楽しみにしていたのですが、思ったよりも手が合ったようで、また見たいなと思える試合でした。しかし、最近のSUSHI選手のジョバーっぷりは半端ないですね。何かの罰ゲームなんでしょうかね。確かに、SUSHI選手は負けてもまぁ格落ちはしないという選手ではありますが(大森選手も同様ですね)、ちょっと酷いなとも思います。SUSHI選手自体があまり動けないという事情があるのかも知れませんが。新日本プロレスのスーパーJカップに、全日本プロレスの出場枠が1選手分与えられるようなのですが、個人的にSUSHI選手を推したいです。

 第3試合は中島洋平・ビリーケン・キッド組対丸山敦・竹田誠志組でした。大阪プロレス出身者の活躍って、大阪プロレスのファンだった方には嬉しいことでしょう。今のプロレス界って、アニマル浜口ジム出身者も多いですが、大阪プロレス出身者もかなり多いですよね。この試合はファン感謝デーっぽく、観客がリングアナとなって選手をコールするというサービスがありました。いいですよね、こういうのって。

 第4試合は青木篤志佐藤光留組(Evolution)対伊藤崇文・奥田啓介組でした。青木選手と佐藤選手は同じチーム同士ですが、青木選手が保持する世界ジュニアのベルトへの挑戦を巡って少し距離ができています。というか、佐藤選手が一方的にめんどくさくしているんですが(笑)。

 青木選手は野村選手もEvolutionにいてはダメだってニコプロでも述べていましたし、諏訪魔選手も欠場中、ジョー・ドーリング選手も病気で復帰が難しい今、Evolution解散もありそうな気がしますね。

 第5試合はザ・ビッグガンズ対ツバサ・バファロー組でした。まんま数年前の大阪プロレスではないですか。試合は想像以上の肉弾戦となり、ザ・ビッグガンズが保持する世界タッグのベルトを賭けてもよかったんではないかと思う内容でした。

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 第6試合は秋山準渕正信・青柳優馬組対藤波辰爾ザ・グレート・カブキ・LEONA組でした。LEONA選手の秋山選手への対抗意識がかなり強く、秋山選手もエグい攻めをLEONA選手に喰らわしていました。また、同年代でもある青柳選手もLEONA選手をかなり意識していたように思います。

 秋山選手は、橋本大地選手やLEONA選手のような二世選手が好きなのかもしれませんね(笑)。LEONA選手は、所属のドラディションでの試合が少ないので、全日本プロレスのシリーズに帯同してみてはどうでしょうか。全日本プロレスもそんなに多くの大会はないので、慣れるにはちょうどよい環境な気がします。

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 LEONA選手を生観戦では初めて見たのですが、個人的な感想は、藤波選手のご子息という価値しかないかなと。肉体改造中なのかもしれませんが、引き締まった肉体美を持つわけでもなく、大きくもなく、技もまだ弱々しいし、光る部分というのを感じませんでした。ここは、青柳選手のような同年代の選手と切磋琢磨してみましょうよ。

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 メインの第7試合はNEXTREAM対船木誠勝・野村直矢組の対戦でした。野村選手が宮原選手に突っ掛かりまくり、それがこの試合の白熱さを生み出していました。野村選手はかなり吹っ切れた戦い方をするようになったなと思います。それに比べて、最近のジェイク選手の悩んだような試合運びというか、優等生になろうなろうとしているような感じはどうなんでしょう。なんか行き詰まっているような印象もあります。

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 ジェイク選手はスタミナがないのと(スタミナ配分を知らないと言った方が正解なのかな)、技の繋ぎ方が雑という部分がかなり目立つのですが、このどちらもパートナーの宮原選手は素晴らしいので、練習方法とか参考にしてみればどうでしょうか。バックドロップを自分の必殺技にしたいというのは大変いいのですが、バックドロップにまで至る行程をもっとイメージして実践していくというプロセスが、今のジェイク選手には必要な気がします。

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 大会の締めは、試合で負けてしまったにも関わらず、三冠王者である宮原選手に託されました。流石、全日本プロレスのエースであり希望でもあります。試合後なのに息切れしてないって、どんだけスタミナがあるんだよって感じです。5月25日の三冠戦も防衛してくれると思いますし、これからも全日本プロレスを引っ張っていってほしいですね、宮原選手には。

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 次の大阪大会はいつなのかわかりませんが、次の大会も観戦の予定です。全日本プロレスは最高でした。

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アイアムアヒーロー

少しだけネタバレしています。




 観てきました。原作は未読です。

 思い出作り系ではないゾンビ映画との遭遇って、かなり久々なような気がします。何故か、低予算で自分の思い出のためだけに映画を作る記念にゾンビという題材を選ぶ人が多く、完成しても仲間内だけで楽しめばいいのに、何故か商業流通させてしまう愚か者共に、正座させて鑑賞させてやりたいくらい面白かったです(笑)。

 観終わったあとから思い返すと、オマージュなのかパロディなのかパクリなのかのラインが微妙ではありますが、ゾンビ映画ファンにとっては楽しめるものでしょうし、この映画で初めてゾンビ映画を観ましたっていう方にとっても楽しめるようには作られているところが、重要なポイントなんじゃないかな、なんて思いました。

 原作のどこまでを映画化したのか、そもそも原作通りなのかどうかすらわかりませんが、この映画の終わらせ方は、ロメロの『ゾンビ(DAWN OF THE DEAD)』が大好きな人にはかなり受け入れられるようなものではないでしょうか。この先不安だらけだけど、希望を持つしかないじゃんって感じの締め方は。

 主人公の暮らしてる街がZQN(ゾキュンと言うらしい)に襲われ始める部分は、『28週後…』や『ドーン・オブ・ザ・デッド』の序盤で主人公がゾンビから逃げようとする緊迫感満載の名場面をかなり参考というかパクって作ってるとは思いますが、パクリでもここまで作られるとありがとうございますって言っちゃいますね。こんなんをたくさんたくさん観たいんですよ、ボクは。

 ゾンビ映画でのゾンビから逃げ出すという行動は、ゾンビ=日常、逃げる=旅立ちと考えられるのかな。で、日常からの旅立ちという風景を入れ込むと面白くなるのかな、なんてボンヤリ考えてしまうくらい、この映画は余韻を楽しめる映画でもあると思います。

 

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ

しれっとネタバレかましてますし、ちょっとdisってもいるかなー。面白いし、凄い映画には違いないんですけどね。





 キャップ視点ではこういう感じなんでしょうか。

初恋の人(ペギー):死亡(姪っ子懐柔済みw)
元カノ(バッキー):幼馴染属性あり
前カノ(社長):いつもケンカばかりだった
今カノ(ファルコン):いつも信じて付いて来てくれる
愛人(ナターシャ):緑の人が好きな割にはちょっかいかけてくる

 色々な思惑が重なった末、キャップは元カノを選択しましたというお話です。その選択を今カノも応援するのですが、前カノが過剰に反応します。しかも、元カノが前カノの両親を惨殺していたことが判明。キャップはそれを知りつつ、前カノと付き合っていたということもあって、前カノの怒りが爆発。でも、キャップは自分に降りかかる火の粉は払う主義ということで、元カノとの愛あるタッグを結成し、前カノの心まで折り撃退。ほんまに鬼畜です。

 黒豹っていう、社長並みの資金力プラス一国の王という新しいパトロンもいつの間にか見付けていたキャップ。なんという恐ろしい子

 今回の事件の黒幕は、偽ユアン君です。ウルトロンの舞台となったソコヴィアの元暗殺部隊出身で、ウルトロン対アベンジャーズの戦いで家族を失ったことから、アベンジャーズに対して復讐を誓うのです。この復讐、成功しましたよね。最終的には偽ユアン君は捕まってしまいますが、一度こじれた人間関係の修復は難しいですし、主義主張の違いがハッキリとしてしまい、お互いに相容れないということもわかってしまったでしょうしね。次回のアベンジャーズでサノスという強大な敵を前にして、共通の敵は敵だということでまた仲間同士になるんでしょうけど、そういう安易な解決方法は選択してもらいたくないなぁ。

 あ、映画の感想になってない(笑)。前半は神懸かり的な面白さでしたが、スパイダーマンも加わってのアベンジャーズ内戦が空港(?)にて勃発したあたりから、なんというか、重いテーマと登場人物を繋ぎ止めていた糸みたいなものがプツリと切れてしまったように思えました。軽いノリのスパイダーマンが兎に角映画のトーンに合わなかったなと思います。

 この映画の立ち位置的に仕方がないのですが、もう少し独立した一本の映画にしてほしかったなと強く思います。数年後、アベンジャーズのインフィニティ・ウォーのあとに、この映画は真価を発揮するような気がします。

 

全日本プロレス 4.24大阪大会

チャンピオン・カーニバル優勝決定戦


 ジョー・ドーリング選手が開幕直前で脳腫瘍のため欠場となりましたが、同じEvolutionというチームで、第39代世界ジュニアヘビー級選手権者の青木篤志選手が参戦、台風の目となってリーグ戦(Bブロック)をかき回してくれました。

 大会が始まる前に、これまでの公式戦を振り返る内容が大型ビジョンに映し出されたのですが、セコンド待機していたジェイク選手が、自分の負けた試合を見つめていた表情がツボでした。

 

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 大阪大会では、公式リーグ戦が行われたあとで優勝決定戦が行われるためか、この日に組まれた公式戦は、全員が短期決戦を狙っていたように思います。

 会場が盛り上がった試合は、まずは秋山選手対ボディガー選手の試合です。ボディガー選手は残念ながらAブロック敗退が決まっていましたが、秋山選手はボディガー選手に勝てばまだチャンスがあるという状況です。ただ、ボディガー選手は地元大阪で、負け越しではなく星をイーブンにしたいところ。

 その執念なのか、開始ゴング前に秋山選手に奇襲を仕掛けるボディガー選手。もつれて場外で秋山選手が逆転。そのままペースを握るかに思いましたが、ボディガー選手が耐えて、短い時間でボディガー選手の勝利で決着。敗れた秋山選手はかなり悔しそうで、勝ったボディガー選手はかなり嬉しそうでした。当然ですが(笑)。

 

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 次に盛り上がったのは、三冠選手権者の宮原健斗選手と、大日本プロレスの関本選手の対戦です。この試合は、チャンピオン・カーニバルの中でも注目されていた試合の一つですが、一進一退の攻防のあと、関本選手のジャーマンスープレックスホールドが決まり勝利しました。ジャーマンで負けた宮原選手はかなりショックじゃないでしょうか。

 Aブロックは関本選手、Bブロックはゼウス選手が勝ち上がり、この二人で優勝決定戦となりました。この試合は、肉肉しい熱戦となり、小細工なしのパワー真っ向勝負でした。最後は、ぶっこ抜きのジャーマンスープレックスホールドで関本選手の勝利。見事、チャンピオン・カーニバル初優勝となりました。

 優勝トロフィー贈呈式では、トロフィーがでかくて、それでいて重いようで、リングに上げるのも一苦労(苦笑)。そして、トロフィーを持った関本選手をゼウス選手が肩車しようとしてあたふた。トロフィー、なんかちょっと曲がったような気がしますが(関本選手も心配そうでした)。リング上で関本選手とゼウス選手が握手。二人の選手に惜しみない拍手が贈られます。

 三冠王者にも勝利し、チャンピオン・カーニバルも制した関本選手は、5月25日後楽園ホール大会で予定されている三冠選手権の挑戦者に内定なんでしょう。宮原選手には是非リベンジしてほしいところです。

 個人的には、宮原選手の優勝の方がよかったと思います。関本選手の優勝に文句はないのですが、今の全日本プロレスの状態を考えると、宮原選手の優勝で会場が大爆発という流れがよかったと思うのです。関本選手の優勝で締められた大阪大会は、いい大会だったねという程度で終わってしまったように感じました。十分満足ではあるのですが、宮原選手の会場での人気というよりも期待感は凄いので、これをもっともっとアジってほしかったですね。

 

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 次は、5.15の同じく大阪・エディオンアリーナ第二でのファン感謝デーに参加します。

プリンスのこと

※一周忌が過ぎたということもあり、文章を見直しました。また、誤字脱字を修正しました。2017年4月24日

 プリンスが亡くなってしまった。2016年4月22日。57歳だった。この日は、あと何年かすれば、人類の音楽史にとって忘れられない日と記憶されるのではと思います。

 勝手に思っていたこと。プリンスは「死」という存在なんて関係ないんだって、そう勝手に思っていた。

 彼の生み出してきた音楽は残る、という意味なら、プリンスに「死」なんて存在はやっぱし関係ないって言えるかもしれない。でも、彼のような肉感的な要素が魅力でもある音楽家にとっては、彼が生み出してきたものではあるけどもう新しい音楽が作られないという意味においては、過去のものだけしか残らない(与えた影響の広がりという部分は除きます)という事実は、寂しいし、悔しい気もするし、やりきれない気持ちもします。プリンス自身が一番そう思っているのかもしれない。

 プリンスの音楽は、最初は嫌いというか、気持ち悪かったんです(笑)。プリンスは日本でもかなり人気がありました。当時、音楽はあまり聴いていなかったボクですら名前を知ってるくらいでしたから。音楽よりも映画、映像に興味を持っていた高校生の頃、音楽というよりもビデオクリップ(PVですねw)での映像表現を勉強したくて、ビデオクリップが流れるテレビ番組をよく観ていたから、というのもあります。

 日本では、マイケル・ジャクソンの光に対して闇、マイケル・ジャクソンの善に対して悪という対立構造が何故か作られていた、要するにライバル関係とされていたということからも、人気の高さへの証明になるのではないでしょうか。実際には、マイケル・ジャクソンとの関係性は逆なような気がしますけどね(笑)。でも、ボクは、マイケル・ジャクソンは嫌いではなかったけど、プリンスは嫌いだったんです。いや、馴染めなかった、と言った方が正解かな。「パープル・レイン」の曲にしても、なんかとっつき難かったんです。

 ボクの中でプリンスの立ち位置が変わり始めたのは、海賊盤を主に取り扱う音楽雑誌『GOLD WAX』誌で、プリンス吉田氏が連載していた記事を読んだ頃からです。連載は、プリンスへの愛情が溢れ出していて、それが故にプリンスをおちょくってるような感じがあったり、かと思うと真面目になっていたり、また、軽妙な文章ということもあり、かなり楽しんで読ませていただきました。

 そんなこんなで、プリンスの音楽を聴いていないボクがここまで連載を楽しめるんだったら、プリンスの音楽を聴いていたらもっと楽しめるんじゃないのかな、なんて思い始めました。ただ、当時はほかにもたくさん音楽を聴いていて、CDなんて1日1枚は買ってるなんていう生活だったので、プリンスを割り込ませるまでの(時間というよりも精神的な)隙間はありませんでした。

 暫くして、プリンス、というか、もうTAFKAP(The Artist Formerly Known as Prince)と呼ばれていた頃ですが、以前に発売日の告知までされていたのに直前で発売中止となっていた『ブラック・アルバム』がCDにて待望の正規リリース(マニアはブート音源でとっくに聴いている状態でしたw)という状況になりました。当時は限定発売だったと思います。

 そこで、何故かボクの心に火が付いたというか、「あ、オレ、プリンスのこと好きになるわ」って思ったんです。理由なんてありません。ただただ、そう思ったんです。だから、この『ブラック・アルバム』は買っておかないといけない、と。

 そこから、『ブラック・アルバム』の前にまずは当時出ていたCD3枚組のベスト盤『ザ・ヒッツ & Bサイド・コレクション』を買って聴いていました。特にシングルB面集がツボに入りましたが、これは先に書いた『GOLD WAX』誌でのプリンス吉田氏の連載の影響です。「なんでオレは今までプリンスを避けてきたんだろう。いや、今ここでプリンスと出会うのが宿命だったんだよ」なんてひとりごちていました。至福の時でした。

 プリンスのアルバムでは、2枚目の『愛のペガサス』(原題『Prince』で、邦題は恥ずかしいタイトルになっていますが、個人的には邦題の方を気に入っております)が特に大好きでした。また、『The Gold Experience』もお気に入りでの1枚でした。

 プリンスを聴き始めてからは、もう圧倒的な音楽の喜びに感謝しました。そして、プリンスは色々な楽器を弾きますが、特にギタープレイ、それもギターソロが大変素晴らしく、ギターソロ大好きなボクとしては、のめり込むのに十分なポイントでした。

 CD-ROMで発売されたパソコン用の作品『INTERACTIVE』を観たいがためだけに、ボクにとって初めてのパソコンとなるMacを購入したんです。あぁ、懐かしい。いや、まぁ、森高千里さんのCD-ROM『渡良瀬橋』も観たかったというのは、裏の理由だ(爆)。のちに、そういう関係の仕事を少しすることになったので、プリンスはボクの人生にもかなりな影響を与えてくれたっていうことになります。

 プリンスの音楽については、是非聴いてほしいとしか書けません。聴いてダメだったらそれでもいいし。でも、一度も聴かないというのは、かなり損だと思います。

 数十年先、20世紀後半から21世紀初頭にかけての有名・著名な音楽家として、ボクはプリンスとYngwie J. Malmsteenは残ると思います。音楽教室にバッハやモーツァルトの顔写真が掛けられていたりしますが、そこにシレっと二人は登場しているでしょう。インギーはコラで先に登場してますけどね(笑)。

獣は月夜に夢を見る

若干ネタバレしていますし、disっています。




 北欧(ノルウェーデンマーク?)の片田舎が舞台で、閉塞的で退廃的なムードを醸し出してるのはなかなかいいのですが、大きくは動かないストーリー(ジワジワ系のストーリーと言った方がいいのかな)とが、うまく合わされていなかったように思いました。映画の上映時間は1時間半もないのですが、退屈でした。単に最後までダラダラと退屈な内容にしてしまっただけなのが勿体ないというか。閉塞的で退廃的なムードの映画って、一歩どころか半歩でもズレると、ただただ退屈だったっていう落とし穴に落ちちゃうんですが、この映画はその典型的なものだったように感じました。

 終盤の主人公の爆発も、なんとも微妙というか、弾けきれてないというか。どうして弾けきれなかったのかって考えたのですが、説明不足というか、主人公を含めた登場人物や周辺事情、環境を含めて、描写不足なところが多いのがやっぱり大きな理由になるのではないかなーと。

 主人公の母親は、自殺だったのか、それとも村の人に殺されたのか。この描写が曖昧なので、主人公の最後の殺戮にプラスαの要素を加えられなかったこと。

 船に乗っていた人達は、主人公の母親が過去にしでかしたことが理由なんでしょうけど、主人公を幽閉しようとしたのか、それとも殺そうとしたのか、はっきりしなかったところ。

 船に乗っていた人達の仲間の一人(主人公と同じ職場のいじわる男子)が、主人公を襲って(というか嫌がらせをして)逆に殺されてしまったことに対しても、それを知らないはずはないだろうに(主人公のカレシが知ってることからしても)船に乗っていた人達の危機感が薄いこと。

 主人公の母親がロシア船籍の船に幽閉?監禁?されていた事件について、もう少し踏み込んだ状況の提供はほしかったこと。

 父親は母親の病気を知っていて、それを抑えるために全身不随になるように薬を定期的に注射し、母親は傍目から見ると全身不随で車椅子生活を送っているという体の割には、主人公がピンチ(?)だったとはいえ、医者を襲ったということはどう説明するんだろう。薬が切れていたわけでもなさそうだし。

 主人公の父親も、何を考えているのかよくわからない描き方だったような。トラブルを起こしたくないということからの行動なんだろうけど、家族を愛するためなのか、自分の保身のためなのか、どうもその境界線がわからなかったというか。

 観客に想像してくださいというだけの投げっ放し系の映画は個人的に大嫌いということもあるのですが、最初にも書きましたように閉塞的で退廃的なムードにしてしまったこととストーリーの展開が弱いということも相まって、中身が薄いっていう感想しか抱けませんでした。

 まぁ、大人への成長という部分を、化け物という要素を使って表現したかったのかもしれませんが、なんか化け物という対象へのリスペクトは感じられませんでした。そういう人が化け物っていう要素を使うなよって、化け物映画が大好きな自分としては思うわけですよ。

 化け物映画でよく(人間の)ドラマ部分が弱かったって言われる映画は多いですが、これは逆に化け物の殺戮部分が弱かったっていう映画とも言えるかも。

 

僕だけがいない街

ちょっぴりネタバレしています。disっています。




藤原竜也だけがいない街

 予告編で面白そうだったので突撃しました。タイムリープものだからなのか、地雷臭はかなりしてましたけどね……。

 原作未読ですが、原作の幾つかの場面をただ繋げてみただけなのかなと思いました。ぶつ切り感が強いというか。それはタイムリープものであるというのも影響はあるのでしょうけど。

 登場人物が頭が不自由な人が多いように思えるのは、製作陣のレベルの低さを反映してるんだと思います。

 ミッチーが出てきた途端、この人ラスボスだろって一発で分かる配役はどうなんでしょうね(笑)。

 藤原竜也は凄い役者ですが、この映画にはミスマッチだったように思います。藤原竜也という役者は劇薬だと思うのですよ。うまく使っていかないと崩壊するしかないっていうくらいの。なのでこの映画は、展開がうまくまとめきれてないから余計に本来の意味でぶっ飛ばされちゃったんですよ。

 藤原竜也は、役の色に染まるというタイプじゃなくて、役を藤原竜也の色に染めるというタイプだと思うのです。織田裕二石原裕次郎、三船三郎ら、スターと呼ばれる役者ってこういうタイプだと思うのですが、ただ違うのはオーラがないんですよ。いや、貶してないですよ。だからこそ、引き込まれるんですよ。で、うまい役者だったって錯覚するんです(←褒めてます)。

 あ、映画の話でしたよね。

 小学生に戻った主人公が、ミッチーに川に落とされて現在(2006年)に戻ってきますが、え?どういうことなんですか、あれは。主人公が生きているということは、ミッチーを捕まえられるじゃん。ということで、配役と物語の進行でミステリーな要素をなくしてしまうのはどうなんでしょうか。

 

ボーダーライン

かなりdisってますし、ネタバレもかましてます。





 視点の固定化に失敗した映画だったように思います。大きく分けると、主人公(エミリー・ブラント)と、嘆きの検察官(いいネーミング)と、メキシコの制服警官の視点があるのですが、前半から中盤はきちんと主人公の視点というもので固定されていて、それによって、張り詰めた空気感、緊迫感、そして乾いた風景が相まって、いい相乗効果をもたらしていたと思うのです。

 しかし、物語面での一応の終結をもたらすイベント(ラスボス的な人物の暗殺)を担っていたのは嘆きの検察官であり、物語を中盤あたりから終盤に向けて動かそうとしたときに、どうしても嘆きの検察官の側面を描く頻度が多くなり、結果、主人公の扱いがぞんざいになってしまったように思います。それによって物語の展開がどうにも平坦な形に見えてしまい、終盤に向けてかなりの失速をしてしまい、そのままダラっと駆け抜けて映画は終わったという印象となりました。

 メキシコの制服警官は、家庭ではサッカー好きな息子に優しい、どこにでもいる警官という描き方をしていて、そういう警官でもメキシコではヤクの運び屋をやっているんですよっていうことを提示するのはいいのですが、あまり画面に出てこないし、はっきり言って嘆きの検察官がラスボスの家に行くまでの道具扱いになるだけの需要に、視点を有する重要な立場の登場人物を出す必要があったのかどうか疑問です。

 もう一人、主人公の相棒男性がいるのですが、この人もいらなっちゃーいらないんですよね。何か主人公が大きく変わるようなきっかけを与えるわけでもないですし。

 映画としては、立場や環境等が全く違う登場人物の視点から麻薬カルテルの実態を通じて、現実世界を表現したかったため、比較対象としての幾つかの視点はほしかったことから、大きくは三つの視点を用意したんだと思うのです。群像劇とするのは方向が少し違ったんでしょう。

 もしかして、かなりカットされてしまって、結果的に視点がボヤけてしまうということになってしまったんだろうか。

 映画的な盛り上がりは、嘆きの検察官の過去(妻と娘がラスボス一味に殺される)が判明してからのその復讐劇となるのですが、それによって主人公は置いてけぼりという事態になるというのは、物語的なリアルさを求めるのか、映画としてのウソを盛って高揚させるのか、という選択で前者(よりかな)を選択したんでしょう。個人的には映画を観に行ってるので、映画としてのウソをついてほしかったです。

 トンネルの場面のところで、赤外線映像を使ってPOV的な映像をやったりしてましたが、せっかくの乾いた映像をそれまで見せてきたのに、この選択が雰囲気すら台無しにするような形となっていて、ここで一気にテンションが切れました。まぁ、ここでアクセントを付けて、物語の展開の視点が変わりますよって言いたかったんかなと想像はしますが、映画全体として考えると良い効果はもたらさなかったように感じます。

 最初の、麻薬カルテルが人質を取っている家への突入劇は面白かったです。ホラー映画の画ですよ、あれは。掴みはかなり良かったんですよね。死体が埋められている壁の描写や、爆発に巻き込まれて吹っ飛んだ腕とか。

 最後は、利用されたというよりかは騙されたみたいな格好になった主人公が、全てを話すと喚きちらして、嘆きの検察官に何も喋らないと証明書に署名するか、自殺を偽装して殺されるか選べと言われ、証明書に署名して、それでもムシャクシャする主人公は、帰ろうとする嘆きの検察官に向けて銃を向けるが結局打てずに終了という終わらせ方は良かったとは思います。主人公視点ではバッドエンドですけど。よくある、自分に能力はないのに自分はできると思い込んでいて、頭が固く他の考え方を受け入れられず、全体を見渡して行動できないイライラする系の主人公だったので、溜飲は下がりました。

 嘆きの検察官が、主人公に対して、「お前は狼じゃない、小さな街にでも行って、法律に守られて小さくまとまれ」(by 本城裕二)と言い捨てるところは良かったですね。嘆きの検察官視点ではハッピーエンドですね(笑)。

 メキシコの制服警官の視点は、バッドエンドでしかないですね。殺されますし。(映画としてもラストの場面である)息子のサッカーの試合(練習試合かな)中にも銃撃戦の音は聞こえて、一瞬試合は止まりますが、またそれも日常ですという感じで試合が再開されるという場面は良かったです。この場面を撮りたいがためだけに、メキシコの制服警官を(映画の中での)視点を持つ登場人物として用意したのかな。それなら、もっと彼を描かないとダメだと思います。カットされたのか、カットせざるを得なかったのか、もともと撮ってはいなかったのか、どうなんだろう。