悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2024©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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メモリー

ネタバレしています。

 

 

TOHOシネマズ新宿にて鑑賞

 

 リーアム・ニーソン主演で最強オヤジが活躍する映画となれば、観に行きたくなるじゃないですか。うん、確かに劇中最強ですよ、リーアム・ニーソン(の演じるキャラ)は。暴れますよ。ただ、皆さんが想像し期待するような内容の映画でないことは保証します(ってどんな保証やねんw)。

 ガイ・ピアースとのダブル主人公みたいな感じで、序盤から中盤にかけては二人が交わりそうで交わらない感じで進んでいきますが、これでどちらのキャラ(の流れ)に注目していけばいいのかが散漫になったと思います。リーアム・ニーソン演じる殺し屋視点か、ガイ・ピアース演じるFBI捜査官視点のどちらかに絞って展開させた方がよかったのではと鑑賞中は思っていたのですが、本作はベルギー映画の『ザ・ヒットマン』のリメイクということで、リメイク元の映画(私は未見です)も少しググってみますと本作同様の展開のようなので仕方がなかったのでしょう。

 俳優陣の重厚な演技かつ劇中は派手さを抑えた演出(リーアム・ニーソンは暴れまくりますが)となっており、退屈とまでとはいきませんが、アクション映画にあるような高揚感は得られませんでした。

 リーアム・ニーソン(の演じるキャラ)がターゲットを殺す、FBIチームが殺人現場でワチャワチャするの繰り返しで展開していきますが、少女売春という重いテーマを扱っていることや、劇中の重厚な雰囲気もあってか、重苦しいというよりもどよーん(どんより)としているといった印象でした。

 リーアム・ニーソン演じる凄腕の殺し屋アレックス・ルイスは、年齢のせいかアルツハイマーに罹患し、そのせいで物事を忘れたり、記憶があやふやになったりしており、殺しの仕事にも影響が出始めたのを機に殺し屋稼業から引退しようとしておりました。ただ、アレックスを昔から雇っている組織は引退を認めず、彼に新たな仕事を依頼しました(依頼というより強要ですなw)。

 アレックスはアルツハイマーによる症状を薬でなんとか誤魔化しつつ、ターゲットを確実に殺していきますが、そのターゲットの一人が13歳の少女と分かったとき(つか事前にPadでターゲットを確認してんねんから少女だと気付いてるやろ、実際に少女を見て何をびっくりしとんねんw)、子供は不殺主義なので仕事を中断し、今回の依頼の仲介者に契約解除を申し入れますが聞き入れてもらえませんでした。組織も組織で、アレックスのポリシーを知ってるはずなのにどうして依頼しちゃうのか。多分、アレックスも処分したかったんでしょうね(もう年だし病気にもなってる割には強いし、今までの実績から表だって始末できないけど、なんとか共倒れしてくれればラッキーみたいな)。

 自分が殺すのを止めた少女は他の殺し屋(アレックスの上司ポジ?の人)に殺され、アレックスは組織に逆らったことになったからなのか、上司ポジの人に逆に殺されそうになりますが返り討ちにします。そこからアレックスは今回の仕事に関わる人物をターゲットと切り替えて殺していきます。

 一方、FBIの捜査官であるガイ・ピアース演じるセラは折角助けた少女を殺され、挙句に特別捜査班も解散となり、メキシコから呼び寄せ捜査協力してもらっていたメキシコ人刑事もメキシコに送り返されることになりましたが、なんとか刑事という身分ではなく、捜査協力者として残してもらえることにはなりました。このメキシコ人刑事が本作のキーです。本作を鑑賞される際にはこのキャラを覚えておいてください(劇中にもよく出てくるので忘れはしないですがw)。

 アレックスは順調に黒幕の息子(こいつが少女売春を斡旋していた元締めで元凶)も殺し、黒幕である不動産女王をあと一歩のところまで追い詰めますが、丁度銃の弾切れで現地の警察に捕まってしまいます。ここで、リーアム・ニーソンレイ・スティーヴンソンとのマッチアップが少ない時間ながら見ることができます。リメイク元の映画の黒幕は爺さんだったらしいのですが、本作の黒幕は若作りに執念を燃やす、アラフォーの息子がいる女性という設定です。

レイ・スティーヴンソン氏は2023年5月21日(現地時間)、撮影で訪れていたイタリアで緊急入院し、その後お亡くなりになられたとの報道がありました。お悔やみ申し上げます。

 アレックスは殺した一人から奪ったUSBメモリー3つのうちの2つを郵送でセラ捜査官に送っていました。このUSBメモリーは今回の事件の全容が分かる内容のものです。ただ、黒幕を捕まえるための肝心なもう一つのUSBメモリーは、自分ですら隠した場所を忘れてしまっています。病気なので仕方ないですよね。つーか、最初から3つ送ればいーじゃん。保険のために残しておいたというのは分かりますが、劇中ではあまり意味がなかったですね。

 黒幕はアレックスを脅威に感じており、自分の主治医に「お前も息子から少女を買ってただろ」と脅して、アレックスが収容されている病院に医師として乗り込んで殺してこいと毒薬注射セットを手渡しします。

 医師は病室で眠っているアレックスを殺そうとしますが、やはりただの医師でしかなく殺しは素人なので逆に人質にされます。ただ、病院はSWATに包囲されており(てか用意周到だよな。医師の失敗は織り込み済みなのか、失敗してかなり時間が経って包囲されてしまったのか、セラ捜査官を呼ぶために病院で時間を潰している間に包囲されてしまったのかは不明)、アレックスは人質解放の交換条件として呼び出したセラ捜査官となんとか話をし、彼に後を託すかのように自らSWAT隊の前に飛び出て撃たれて死にます。

 リーアム・ニーソン、映画が終わろうとする10分くらい前に死んで退場です。これはびっくりしましたね。映画館の中で思わず声が出てしまいそうになりましたよ。

 アレックスの最後の言葉で、黒幕の恐喝音声が録音されたUSBメモリーの隠し場所が分かりあっさりとゲットするセラ捜査官ですが(あの建物を調べるのは何度目なんだよと思いつつ劇中では3度目ですね)、判事(ですよね、あいつ)は相手は金持ちだし権力者だし、どうせ立件しても無罪になるので何もしないよーと言って、このUSBメモリーは無駄になったのでした。ちゃんちゃん。

 休暇という名の停職を喰らったセラ捜査官は同僚の刑事に誘われてバーで気晴らしに飲んでいたところ、黒幕が誰かに殺されたという速報をテレビで見ます。そう、同僚の刑事はセラ捜査官にアリバイを提供するためにバーという不特定の大勢がいる前に連れていったのでした。

 黒幕を殺したのは、メキシコ人刑事でした。いや、お前、手際良すぎるよ。ナイフであっさりと首を掻っ切って殺します。証拠になりそうな着ていた服とかも焼いて隠滅します。凶器のナイフはぞんざいに放り投げていますが(笑)。まぁ、このメキシコ人刑事、表向きは国(メキシコ)に帰国途中なのでおそらく何も追及されないだろうから、という理由なのでしょう、凶行に至ったのは。

 それから、このメキシコ人刑事、アレックスに重傷を負わせるという成果も上げてます(まぁ、アレックスが車で逃げるときに後ろから発砲したのが偶々アレックスの左下腹部に命中しただけなんですけどねw)ので、元々そういう素質があるのかもしれません。私はこのメキシコ人刑事、途中で殺されると思っていたんですよ。本作は結構ネームドキャラ的ポジの人が殺されますからね。

 いやいやいやいやいや、ちゃうちゃうちゃう。リメイク元の映画もそういう展開なんかもしれないけど、これはこれでモヤるというか、こういう物語の決着のさせ方は気に入らないというか。映画的にどうなのよと思いました。実際に起きた出来事の映画化とかならともかく。全くスカッとしない。主人公ポジの二人を差し置いて、脇役キャラがですよ、劇中に不穏な雰囲気を醸し出してはいましたけど、あっさりと黒幕を屠って終了って。しかも手際よく(笑)。主人公ポジ二人が可哀想というか、なんやってんなお前らって感じじゃないですか。

 ベタな展開ですが、アレックスが病院から抜け出して改めて黒幕を殺し、セラ捜査官の配偶者と息子を轢き逃げした挙句、証拠不十分でのうのうと暮らしている犯人(劇中には登場しません)も殺して、どこかに人知れず去っていって終了、だと思うじゃないですか。幾ら、病気で余命が3ヶ月から半年程度と言われていたとしても。いや、ま、リメイクだから仕方がないかもですが、私が製作者ならこういう形で変更してますね。