悲しみの果てに、死者の群れをお願いします。

演歌・オブ・ザ・デッド 公式サイト(2005-2026©りょんりょん) ※(主に)映画感想dis blogです。かなりdisってるので、不快になられた方にはお詫び致します。ごめんなさい。

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クリーン ある殺し屋の献身

ネタバレしていますし、disってしまっていますねぇ。

Amazonプライムビデオにて観賞

 エイドリアン・ブロディがとうとう最強オヤジ映画に殴り込んできてくれてたのかーと期待して観賞しましたが、抑えたトーン、冷たい質感は好みだったものの、何も起こらないまま中盤を過ぎ(主に主人公の心情描写が延々と)、やっと起こったと思ったらアクション場面はモサモサしているしと、嫌いではないけど商業映画としては焦点が定まっていない映画だと思いました。

 制作とか脚本、音楽にもエイドリアン・ブロディが関わっていて、凄く意気込みは感じるのですが、最強オヤジ映画だけど映画通にも支持されるような(おバカなだけじゃない)映画を作りたいっていう邪念みたいなものが障壁になってしまったような気もします。この罠に結構皆さん嵌まるんですよね。

 前半は元殺し屋役を演じるエイドリアン・ブロディの演技博覧会みたいな形で進み、これはこれで面白いのですが、エイドリアン・ブロディのファン以外で果たしてこの映画を観ようと思った人がどれだけこの何も起こらない日常の展開を楽しめたのかは疑問です。

 よくあるような前半のタメが後半にズシンとくるような重みをもって影響を与えるっていう類のものでもなかったというのもなんともね。亡くなってしまった娘と、今回のヒロインポジの少女とを重ね合わせているっていう意味は分かりますが、劇中で既に出会っていてお弁当を届ける仲になっているというのも、二人の出会いが描かれておらず、作劇的にはマイナスではないかなと。

 ラストバトルの武器とか諸々を自分の手で改良して敵地に乗り込むという場面はかなりよかったですが、よかったのはここだけというのも正直なところ。

 ラスボスも単なる小さな地方都市の一区域で代々続いているヤク売人の反社系のボスってだけで、スケールが小さすぎるし。ラスボスとして頑張ってはいたけどね。格闘系も体格を活かした感じでそこそこ強かったし。

 主人公は元殺し屋なのに背後を迂闊に取られすぎるのもね。ラスボスのおっさんにも普通に背後を取られているし。まぁ、8年程度のブランクがあり且つ戦闘モードではなかったという言い訳はあるんだろうけど。挙げ句にストリートギャングのおっさんにも背後を取られて鈍器で殴られて病院送りになり、メインの仕事場からは怪我が治るまで出勤停止の処分となるし(出勤停止中には給料は出ないというオマケ付き)。

 守る相手は、歳の割には幼すぎる少女と、歳の割には世間知らずな婆さんで、なんかそこも緊張感を醸成できなかった要因な気がします。婆さんとの交流もほぼ描かれないし(一場面のみでしたよね。婆さんとの出会いはセラピー会のようです)。

 なんだろう、こじんまりと小さく纏めてしまうしかない(予算の都合からでしょうけど)ので、エイドリアン・ブロディの演技力でなんとか尺を伸ばそうとしたのかなとも思ったり。

 エイドリアン・ブロディプレデターとも戦っていたくらいなので、元殺し屋という設定とはいえ、もう少し強さを持たせてもよかった気がしますね(違う、そうじゃない)。

<ネタバレあらすじここから>

 クリーンは娘を亡くした(自殺?)ことで殺し屋稼業からドロップアウトし、ごみ収集員の仕事をメインに、ゴミ収集時に修理したら使えそうなガラクタを回収して、修理を施し古物商(というかハードオフの個人商店みたいなところでRZAが店主の役ですというか、折角出演してんだから戦えよw)に売って臨時収入を得るという生活を、小さな街で8年間続けていました。

 セラピー会で出会った婆さんの孫娘と自分の娘をダブらせて、毎日お弁当を持たせるほどには仲がよくなっていました。

 クリーンはなかなか他人に自分の心の中を打ち明けられませんでしたが、セラピー会に来ている散髪屋のおっさんにはとうとう打ち明けることができました。因みにこのおっさんは口だけ野郎で、クリーンに踏み出せとか言いながらも、踏み出した結果についてあまり協力はしません。

 そんなある日、孫娘は地元のヤンキーの溜まり場で思春期全開で幼さを発揮しておりましたが、そこで襲われかけます。偶然いたクリーンは(っていうか見張ってたんかな、忘れましたw)、その少し前に趣味で空き家の壁の塗り直しをしていたときに発見した鈍器を持っており、助ける為に溜まり場に乗り込みます。

 そこで鈍器でガシガシ後ろから殴りまくり孫娘を助け出しますが、スマホでその様子が記録されており、またその中の一人が地元反社系売人のボスの息子であった為にボスの怒りを買い、孫娘と婆さんの命が狙われます。

 クリーンは婆さんと孫娘を乗せて逃避行を図ります。婆さんは世間知らずな為に不満タラタラで緊張感がなかったのですが、車の交換とトイレ休憩に立ち寄ったボーリング場(というか、バーにボーリング施設がある感じなのかな)で殺し屋集団に襲われることで現実を知ります。

 足手まといになる婆さんと孫娘をモーテルに残し、クリーンは古物商で銃を用意し、廃車置場から色々と部品をくすねて戦う準備をします。ボスにも事前連絡します。クリーンは殺し屋としての自分を解放したかったということなのでしょう。

 ボスの自宅に乗り込み、ワチャワチャしながら手下共を屠りまくり、クリーンはボスとタイマン勝負に挑みますがやられかけます。凄腕の殺し屋だったという設定は……。

 そこに、ボスの息子がやって来て父親であるボスに弾を何発も打ち込んで屠ります。息子がやっと本格的にワルの世界に踏み出してくれたという満足感を抱きながらボスは亡くなります。

 息子はクリーンにやられて自宅療養していましたが、このままでは後遺症が残ると医者から言われ、専門医にしっかりと診てもらえという提案をボスが拒否っていたのもあって、これまでの鬱憤が爆発してしまったのでした。

 息子はクリーンに向けても銃を発砲しますが弾切れでクリーンは助かります(というか、息子は弾切れを分かっていて撃っていたような)。

 婆さんと孫娘は街に戻り、クリーンもそれまでの日常生活に戻って映画は終わります。だったと思う(笑)。

<ネタバレあらすじここまで>

 ボスの昔気質なやり方に息子は馴染めず、ボスはボスで息子に跡を継がせたいけど息子はだらしないしなーっていう親子のすれ違いがありつつ、母親はいつもビクついているというステレオタイプな家庭環境です。

 クリーンがボス宅に突入したときも、母親(あ、ボスの配偶者ね)はボスはあっちの部屋って教えたりしてましたもんね。あれはボスが待ち構えている部屋にクリーンを誘導したっていうよりかは、クリーンにこの機会にボスを屠ってくれっていう希望だったように見えました。

 とまぁ、エイドリアン・ブロディのファンの方なら楽しめるでしょうし(演技は素晴らしい)、アメリカン・ニューシネマ的な雰囲気のある映画だと思いますので、それらの映画が好きな方も楽しめるかなと思います。最後はビターエンドとかではないですが。