一部ネタバレしています。かなりdisっているかも。
シネマート新宿にて鑑賞
ブーストサウンド上映
能書きばかり垂れて脇が甘く、計画はするもののそのとおり実行できず、心拍数を異様に気にして絶好の機会を逃すという殺し屋が、自分の失敗を棚に上げ、逆ギレする映画です。
映画冒頭からの能書き、いえいえ独白が「できる自分」を演出しつつ、いよいよ暗殺を実行というところで失敗し、かなり焦って逃走するという場面から、あぁこれは私はノレない映画だな、と。雰囲気系で、丁寧に作られているとは思いますが、私の好みには合いませんでした。
マイケル・ファスベンダーはいい俳優さんではありますよ。誠実に役柄に取り組んでいるのは分かりますし。でもね、面白さを感じられなかったんですよね。可も不可もない器用貧乏の優等生を見ている気分というか。映画でそういうものは求めてないんだよな、と言いますか。
ティルダ・スウィントンとの対決以外にも、チャプター4(だったかな)の自分の恋人をボコった筋肉隆々の野郎相手との戦いも、普通なら主人公の殺し屋を応援するところだと思いますが、私は逆でした(笑)。ここでの筋肉隆々の野郎との戦いは面白かったんですけどね。なかなかリアルな感じで、迫力も緊張感もありましたが、こういうところを多く見たい人には物足りなさだけが残って合わないと感じてしまうかなとも思えました。
独白が多いけど表面的には無口な殺し屋で、でもなんか結構ドジっ子というか、自分で立てた計画や信条に雁字搦めになっていたり、計画どおりにいかないとかなり焦るタイプの割にはその場のノリを大事にしたりで、ふとした即興性がマイナス方向に行くこともあるという展開から、コメディ映画だったんじゃないかと、鑑賞後ですが思えてきましたね。
原作は小説なのかな。小説というスタイルでは面白いのかもしれませんが、それを映画化、映像化したときに同様の面白さを維持できるのか、という参考にはなるかもしれません。
ブーストサウンド上映というのを初めて体験したのですが、ブーストサウンドという仕組みそのものなのか、映画館側の問題なのか分かりませんが、なんか音的な不気味の谷現象になっているように感じました。割れそうで割れないという、微妙に気持ち悪い感触でした。そもそも、本作にこの上映スタイルが合っていたのかどうか。うーん。
元々Netflix用の映画で、もうすぐネトフリでも配信されるようなので、ネトフリ会員の方はご覧になって確かめてください。